【第2回】粗利が上がると年収がアップするって本当ですか?

古屋 悟司

花屋ゲキハナを経営する傍ら、昨年と今年、2冊の会計書を出版させていただきました。
失敗続きの連続ですが、僕の失敗が誰かのお役に立てるならうれしいです!
身をもって体験した、売上、利益、お金の話を少しばかりさせていただきます。

<過去記事はコチラ>
【第1回】売上が上がると年収がアップするって本当ですか?
https://ecnomikata.com/column/20168/


こんにちは!古屋です。

粗利を高めて、利益をより多く出すことができれば、年収をアップさせることは可能かもしれません。

そのあたりは、あなたの会社の社長さんが考える「利益の分配率」が大きくかかわってくるのは言うまでもありませんね。

ただし、粗利を高める方法は2つしかありません。値上げをするか、原価を下げるかです。


今のままの売り方で、値上げをしても大丈夫そうですか?
今の仕入れ先から、さらに安く仕入れることは可能ですか?

今日はこの大きな問題の2つと、給料に関して、少しお話しさせていただきたいと思います。


■値上げをして粗利を上げるには?



送料が軒並み上がっている現状を加味した上で、今の価格よりも値上げをすることは可能でしょうか?

おそらくほとんどの会社が、値上げをしたくてもできない状況で唸っているのが正直なところだと思います。

送料値上げがまだまだ続く中、消費税は来年10月に10%になる予定です。値上げしたくなくても、値上げせざるを得ない状況ですから、否が応でも粗利は下がる一方。

資材費も軒並み値上がった一方、パートさんの最低保証給もどんどん上がっています。「もうこんなことなら、早くベーシックインカム導入してくれよ!」なんて声も聞こえてくる状況。

※ベーシックインカムとは、国民全員に国が現金を支給する制度。導入されるかどうかはまだわかりませんが、将来的に導入されるであろう制度と言われています。


値上げを成功させるためには、たった1つの大切なポイントがあります。
セミナーなどで必ずお伝えしている事なのですが

「値上げは実質的な値下げであるべき」という事です。

値上げは値下げであるべき???


購入するという行為は、「その商品に見合った、その価格分以上の価値を提供できているかどうか」に尽きます。

ですから、商品の価値だけで、価格以上の価値おお届けできるのであればそれでもよいのですが、モノ余りのこの時代に、なかなかそこまでの商品力を持った商品には出会いません。

価格が高くても、商品プラスアルファの価値があれば、お客さんは喜んで商品を買ってくれます。お客さんが喜んでくれるというのがポイントです。


例えば、コンビニのコーヒーは100円。
スタバのコーヒーはショートでも280円。


この、約3倍の価格差をスタバはどうやって埋めているのでしょうか。

テイクアウトの場合には、スタバのロゴマーク(ブランド)を買っています。スタバのコーヒーを持って歩いている僕は、セブンイレブンのコーヒーを持って歩いているよりもイケている。こんな感覚を買っています。店内で座って飲むなら、「居心地」を買っています。


僕は基本的にはセブンイレブン派ですが、タバコを吸うので喫茶店の500円のコーヒーをよく飲みます。ドトールやエクセルシオールでもタバコは吸えますが、純喫茶を主に使います。すし詰め状態のモクモクした場所でタバコを吸いたくないので、高いですが喫茶店を利用します。

この場合、500円のコーヒーが飲みたいわけではなく、一服する場所を買っています。

純粋にコーヒーという飲み物を買う場合もあれば、ブランドという雰囲気を買う場合もありますし、居心地の良い場所を買う場合も、一服する気持ちの良い場所を買ったりすることもあるわけです。

これがプラスアルファの価値というものですね!

コーヒーの原価は安いので、500円は高いと思いますが、気持ちの良い場所や居心地に500円は安いと思っています。

この価値観というのは人それぞれです。それでいいんです。どんな価値を求めている人に買って欲しいかで、価格も価値も変わってきます。

「静かな場所でゆっくりとスマホをいじりたい」
それができるなら500円払いたい。

そんな風に思っている方に向けて、カフェはそれを500円で販売しています。インスタ映えするテーブルや雰囲気に改装した上で、300円から500円に値上げしても、おしゃれな雰囲気でコーヒーを飲みたい、のんびりとくつろぎたい方にとっては、むしろ、500円は安い!と思ってもらえたならば、この値上げは成功です。


では、通販ではどうでしょうか。手前味噌ですが、僕のネットショップの花は高いです。おそらく、楽天市場の中で同じ商品を扱っているお店の中では、一番高い部類に入ると思います。


どうやって差別化をしているかというと、


・サポートの充実
・産地直送の鮮度
・作り手との密なコミュニケーションから得られる鮮度の高い情報
・他のお店が扱えない最新の品種の花が取り扱える
・お店独自のオリジナルの仕立ての花を取り扱う

このあたりです。

買った後も安心だから、それを含めれば安いと感じる。
鮮度が高いからお値打ちに感じる。
産地の情報もメルマガで届くし、楽しいから安いと感じる。
他では買えない商品だから、交通費や手間を考えたら安いと感じる。
見た事もない仕立てのオリジナル商品は、他では買えないので安いと感じる。

こんな理由でご購入してくださるお客さんとお付き合いしているつもりです。


当たり前ですが、どんなお客さんでもこの方法で買ってくれるかというと、そういう訳ではありません。圧倒的多数のお客さんを振り向かせる強力な価値は「安さ」です。

ですから、売上規模で行くと、僕のお店は上位には入ってこないんです。その代わり、粗利を大きくとり、きちんと黒字化するような設計をしています。もちろん、経費を使いすぎれば、すぐに赤字になってしまいますので、そこは気をつけるべき部分です。


上記5つのことを魅力と感じ、購入したくなるようなお客さんとお付き合いをしているわけです。


単純な値上げだけでは、お客様離れを引き起こすだけですので、安易な値上げはオススメできません。値上げの方法は100万通りあると思いますが、実質的な値下げに見える、感じる、そう思える状態を作り出すことがポイントだと思っています。



■実は値上げにの罠に落ちたことがあったんです



ここまでのことが言えるのは、実は一つの大きな経験によって「値上げは実質的な値下げであるべき」という考え方が根底にあります。

うちのお店は値上げによって、売り上げを70%も落としたことがあります。ええ。もう潰れると思いました。自己破産して全部おしまいにした方がよっぽどマシな状態でした。

売り上げが落ちた際、もう怖いものもなくなったので(あ、借金取りからの電話は怖かったです)値段を上げてみたり下げてみたり、色々と実験をしてみたんです。もちろん、送料無料やポイントなど、それはもうできるものは全て試してみました。

実際に試してみてわかったことが2つあります。

1つ目は、「安いという魅力」で購入していたお客さんは、間違いなく買わなくなる。ということです。そもそもの購入動機が「安いから」というお客さんの場合には、残念ながら値上げ後は購入してくれません。

ページを作り込んでも、一生懸命に価値を伝えても、うんともすんとも言いません。ただただ、黙って去って行ってしまいます(たまに捨て台詞を言われることもあります)。

2つ目は、「ただ高い」というだけで、購入してくれるお客さんが、ある一定層だけいらっしゃいます。値上げしてみてわかりましたが、「高い=安心」だったり「高い=良いモノ」と思う方が一定数いらっしゃるんです。

おそらく、お金で安心や信頼を買うイメージだと思いますが、これにはビックリしました!ただただ価格を上げると、反応してくれる方がいらっしゃるんです。不思議です。同じ商品なのにわざわざ高い方を選ぶんです。こういう方もいらっしゃることを知っておいてください。

とまあ、色々実験しましたが、今現在、「なぜ自社の商品を買ってくれるのか?」が「安いから」になってしまっている場合には、僕が経験したように値上げはうまく行きません。その場合には、大変申し上げにくいですが、覚悟が必要です。(もちろん切り抜け方はありますが、文脈からズレるのでここでは割愛します)

「粗利を高める」と、一言で簡単に言えますが、簡単な場合とそうでない場合もあります。僕の場合は、簡単には行きませんでしたが、なんとか山を越えることができました。逆に、僕の友人の場合には、価格を上げた事により、さらに売れ行きが良くなったケースもあります。

値上げに関しては、いろんな方法がありますし、この回だけでは語りつくせませんので、この辺にしておきますね。

(プライシングに関しては僕の個人ブログの方で取り上げておりますので、フェイスブックで僕に申請を出していただければリンクをお送りします)

■安く仕入れて粗利を高めるには?



これ、簡単そうで意外と難しいと思っています。

あなたのお店が値上げしたい状況なのと同じように、お取引先様も値上げをしたい状況なのは間違いないからです。

僕自身、昔はゴリゴリと値切って仕入れを行っていました。でも、疲れました(笑)

ただ、このコラムは沢山の方が読まれていらっしゃると思いますので、安く仕入れるための方法を少しだけお話したいと思います。

最初にお伝えしておきますが、「値切る」のではなく、「共にたくらむ」という感じです。取引先様が喜んで安く卸したくなれば、結果的に安く仕入れられたことになります。そんなイメージです。



仲の良いお取引様と一緒に企画を考えてみてください。

例えば、
これから世の中に広く広めたい商品だったり、
在庫を何とか処分したい商品だったり。

基本的なスタンスは、お取引先様のお役に立つことが大切だと思っています。

企画を一緒に考えて、購入するお客さんに喜んでもらえれば、そのお取引先様もお客様もハッピーです。

安易に安売りに走ってしまうと、お取引先様のブランドイメージが崩れます。ですので、楽天市場的に言うとこんな感じです。

・訳ありのミカン(色は悪いが味はA品と同じ)
・訳ありのおせんべい(割れているけど一流店の味)

この辺が有名ですね。

そして、販売方法もたくさんあります!

6時間タイムセール
24時間限定ポイント10倍
メルマガ会員さんだけの企画
30%オフクーポン

楽天以外であれば、

クラウドファンディングなどを使って支援を募る
ふるさと納税の返礼品に採用してもらう
カタログやチラシで販売するなどなど

やり方は沢山ありますよね!!


在庫過多で困っていれば、全部買い取るので安くしてもらえないだろうか?その代わり、次のロットの制作予定がないのであれば、価格はある程度まかせてほしい。

こんなやり取りをしながら、取引先様と一緒に企画を考えてみてください。そしてその後に、商品ページを作ると思います。

その際に、在庫処分!半額!みたいな売り方は面白くないので、キッチリと商品の価値を伝えていただき、お客さんが「良い商品を購入できた!」と思ってもらうことが最低限のマナーだと思っています。


ウチのお店では、キャンセルになってしまった商品や、残り物になってしまった商品、また、試作品なども同じような企画で販売することがあります。

他の同じような商品よりは安いけれど、買ってよかったと思ってもらえるような工夫をしています。

売れ行きが悪かったからと、大手ホームセンターさんからキャンセルをされてしまった花苗を販売したこともありますし、旬が過ぎてしまったチューリップの球根を販売したこともあります。

植えてしまえば、同じようにきちんと育つものであれば取り扱いますが、あからさまなB品で、お客さんにご迷惑がかかるようなものは取り扱わない。

そんなスタンスであれこれ一緒に企画を考えたりしています。



■粗利が増えたら給料は上がるのか?



ここが一番大切な部分かもしれません。今まで書いた方法で粗利を高めて会社に貢献できたとしましょう。
それでも給料が上がる保証はどこにもないんです。

まず、給料を決めるのは社長もしくは上司の方かと思います。会社の場合は何も言わずに、粗利を高めても、誰も見ていない可能性があるので評価の対象になりづらい可能性があります。

そこで、大切になってくるのが「粗利額をいくら稼げば給料は上がるのか?評価の対象になるのか?」を、きちんと聞いておくべきだと思っています。

上場企業の場合に多いのが、利益を出しても評価されない場合があります。そもそもの、会社の大切にしている部分が違うからなんです。

まず、上司の方、もしくは社長さんに「売上をいくら上げれば評価されますか?」という質問から「粗利をいくら出せば評価されますか?」に切り替えてみてください。

そして、その目標となる粗利がいくらになったら給料が上がるのか?または評価されるのか?を聞いてみてほしいんです。

10人程度の中小企業の場合には、その質問をしても答えが返ってこない場合もあります。そもそもの評価制度が出来上がっていないケースが多いんです。

そんな場合には、社長さんと一緒に、数字とにらめっこをしてみると良いと思います。一緒に仕組みづくりを考える感じですね!

そしてもう一つ。粗利がいくら上がったとしても、その粗利が経費を越えて行かないと、黒字にはなりません。

粗利>経費

この状態で初めて黒字となります。また、黒字になったとしても、消費税や法人税の支払い、はたまた、資金繰りの問題もあります。会社は税金を国からたくさん持っていかれる対象です。あなたが住民税や都民税、自動車税や消費税を払うのと同じ原理です。

黒字化したからと言って、すぐに給料をアップさせる余力がないケースもありますので、大きな黒字を3年から5年継続しなくては、会社は潤ってきません。

そして、それを一人の力でやろうと思ってもなかなか難しい場合もあります。


粗利を高めて、しっかりと利益の出やすい環境を作ることは、給料を上げていく過程の中での基本事項です。まずはここから始めて頂き、次のステップに進んでいただければと思います。


評価は全て相対的です。誰かとの比較、何かとの比較で成り立っています。

そして、1つだけ確実に言えることは、「嫌われている人の給料は絶対にあがらない」という事です。社長さんや上司の方とは仲良くしてくださいね!!

上役の方が、何を考えているのかを聞くだけでも、打ち解けることができます!何に悩んでいるのか、困りごとは何かを解決することは確実な近道です!

社長さんとともに、ぜひ頑張ってください!応援しています!!



■次週は・・・。



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次回のお話は、『損益分岐点がわかると年収がアップするって本当ですか?』をお送りいたします!

【第3回】損益分岐点売上高がわかると年収がアップするって本当ですか?
https://ecnomikata.com/column/20290/


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ECのミカタさんでもコラムを連載している「ノービアノービオ」の酒匂さんとYouTubeチャンネルも開始しました。ECサイト運営者のヒントになるトークライブを中心にお届けしておりますので、是非チャンネル登録お願いします。
https://www.youtube.com/channel/UCjFq1MzH2g9UPeXxfjpQ3vg



彼(酒匂さん)が連載中のコラムも、かなり人気のようです。
僕も毎回読ませていただいてます!

値上げするにも、企画をするにも、基本的にはアクセスがあってこそです。
広告費を湯水のように使えばアクセスも簡単に集まりますが、中小企業はそこが難しいです。
お金が無ければ知恵を使うのがセオリー!

ということで、すっごく面倒なやり方ですが、正攻法です!
読むとめちゃくちゃ参考になりますが、出来るかできないかはあなた次第です!!
https://ecnomikata.com/column/18406/


また、値上げで参考になる記事として
体が弱い割には頑張っている、ヨナイの愛称で親しまれている佐々木伸一くんのコラムがとても参考になります!

ただし、栄養にもなりますが、毒にもなりますので、
もしも、この先のリンクをクリックするならば、覚悟してください!
https://ecnomikata.com/column/9886/




よろしければこちらもご参考に!!
とても売れております!ありがとうございます!!
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著者

古屋 悟司 (Satoshi Furuya)

1973年東京生まれ。
あとりえ亜樹有限会社代表取締役
V字回復研究所 所長
「さしすせそ」がうまく言えない東京育ち。
大学卒業後、トヨタのディーラーに就職。新人賞を獲得後、さらなる収入アップのためにブラック企業へ足を踏み入れる。
訪問販売業で荒稼ぎするも、自宅が火事になり全てのやる気をなくし退職。
2002年再起をかけ花屋ゲキハナを開業。2004年楽天市場へ出店。
倒産の危機を経験し、三方よしを学ぶ。
その経験を生かして書いた会計本『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』は、国内外で高い評価を得てロングセラーに。台湾で翻訳され、中国でもその予定あり。
好きな食べ物は、ラーメンとカレー。
現在、「V字回復研究所」を立ち上げ、会う人と会社を元気にする活動をしています。


花屋ゲキハナ
https://www.gekihana.jp/

V字回復研究所
https://furuyasatoshi.com/

フェイスブックアカウント
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