【第1回】売上が上がると年収がアップするって本当ですか?

古屋 悟司

数字が読めると年収がアップするって本当ですか?

花屋ゲキハナを経営する傍ら、昨年と今年、2冊の会計書を出版させていただきました。
失敗続きの連続ですが、僕の失敗が誰かのお役に立てるならうれしいです!
身をもって体験した、売上、利益、お金の話を少しばかりさせていただきます。

担当ECC「古屋さん凄いじゃないですか!売上100万円超えましたね!」
僕「超えたね!次の目標は300万円で行きます!」

こんなやり取りから始まったネットショップの運営。僕は売上を上げるために、とにかく必死に頑張りました。

寝食を忘れ、夜中までパソコンとにらめっこ。その甲斐あってか、わずか数年で、月商3000万円を突破しました。

月商3000万円を超えると、楽天EXPOで首から下げる名札の色が黄色になるんです。月商1000万円を超えるとオレンジ、月商3000万円を超えると黄色、月商1億円を超えるとピンク色。

すれ違う人の月商レベルがわかるのは、僕にとっては刺激になりました。「いつか、あの人達みたいに、黄色い名札を首から下げてみたい」そう憧れていました。


その憧れは現実となり、遂に黄色の名札を下げられる日がやってきたんです。

その名札を首から下げた時は、何とも言えぬ優越感に浸れました。

「僕も遂にここまでやってきた!」

ただ、財布の中身が物凄く潤っているかと言えば、そうでもありませんでした。でも、見栄を張って、会場となるホテルのラウンジで、1杯1000円のコーヒーを飲みました。

自分にふさわしい値段のコーヒーを飲むことは、僕にとってはステイタスだったんですよね。「高いな・・・。」と思いながらも、飲んだコーヒーは美味しかったなぁ。


この時の僕は、売上が大きな会社は素晴らしい会社で、売上が小さな会社は、まだまだな会社。そんな風に思っていたんです。


それがそもそもの間違いだと気付いたのは、その日から5年ほど経った頃でした。



■売上を上げること自体がKPIになってしまっていた

売上を上げるために、誰しもが頑張っています。

経営者もサラリーマンも一緒になって、売上を上げることに必死になり、毎日売上をチェックして、目標売上を達成するために、試行錯誤をしています。

これはネットショップに限らず、一般的な会社でも同じでは?と思うんです。


今月の売上ノルマが・・・。
今月、売上もう少し伸びてくれないかな。
セールで売り上げを稼いでいこう!


会社の規模を大きく成長させようと、売上を上げていくことに必死です。会社が潤うようにと始めた目標設定、売り上げ目標。


それがいつしか、「売上を上げること」が目的になってしまい「どんな手を使ってでも売上を上げるぞ!」と鼻息荒く頑張った僕。

値引きもするし、ポイントもつけるし、もちろん広告も使います。毎日がセール!エブリデーロープライス!

お客さんを値引きで熱狂させ、売上をどんどん上げて行きました。

売上が上がるたびに高揚感を覚え、売上が下がると気分も下がる。だから、その高揚感を得るために、売上を上げていくようになりました。


それなりの規模の会社になると、KPI(主要業績評価指標)というものがあります。その指標が「売上だけ」になってしまうと、利益を度外視した販売方法に陥っていました。

でも、銀行口座の見えるお金の金額はどんどん上がっていきます。売上が上がり続けていくと、自分の能力が高いんじゃないかと錯覚します。売上がどんどん上がることで、お客さんからも好かれているように感じます。

会社に貢献できていると、実感してしまうんですよね。




■売上を上げたけど年収がアップしなかったわけ

でも、悲しいかな、自分の年収を大幅にアップするほど、お金の余裕はありませんでした。

月末になると支払が多く、銀行口座に沢山あるお金は、従業員の給料や仕入れの支払いに消えて行きました。

「こんなにたくさん売っているんだから、もう少し僕の給料も上げたい」

でも、その余裕がなかなか見つけることはできませんでした。

もちろん、頑張ってくれている従業員のみんなの給料も上げてやりたい。アルバイトの子達も、きつい仕事を朝から晩までやってくれているんです。東京都の最低賃金で雇うのは申し訳ないほどです。だから、時給を上げてやりたい。でも、このままだと上げてやれない。

そんな葛藤が僕の中にもありました。

そんな時、友人の一人がぼやいてました。

「社長がさ、売上1000万円達成したら給料100万円にしてくれるって言ったのに、してくれないんだ・・・」

彼が値引きをしていたのかどうかはわかりません。でも、売上さえ上がれば、年収がアップするとは限らないのは、どこの会社でも同じようです。



■売上を上げることは悪い事じゃないが条件がある

売上を上げて行って、会社の規模を大きくすることは悪い事ではありません。

売上が上がるということは、販売個数も大幅に伸びる事ですよね。だから、仕入れ個数も大きくなるので、仕入れ値が安くなるメリットもあります。

また、沢山売れるということは、沢山のお客さんが出入りすることになるので、お店のファンが増えていくきっかけも作りやすいです。それが上手くいけば、ファンが増えることも意味します。

商品が動く(売れる)ということは、お店や商品に何らかの魅力を感じてくれていることの証拠。だからこそ、その強みを生かして、お客さんにとってなくてはならない存在になれば良いのだと思います。

そして、売上を上げる事自体は悪くありませんし、値引きをすることも全く悪くないと僕は思います。値引きは強力な販促施策ですから、どんどん工夫してやってみたらいい。

何が悪いのかと言えば、「利益が出ないこと」です。利益が出る値引きをすればよいだけなんです。

でも「利益が出る値引きの仕方がわからない」という現場の声をよく耳にします。いくらまでの値引きであれば良いのかすらわからない。その値引きでは他社に比べて見劣りをしてしまう。

どうやって売れば良いかわからない。

これを解決するためには、現場と社長もしくは現場と会社が、お金の話をきちんとすることが大切だと思います。



■売上の話とセットで利益やお金の話も社内で共有するようになった

誰しもが「自分の年収を上げたい」と思うもの。そりゃー僕も、もっと年収を上げていきたいです。

「年収よりも休みが欲しい!!」という方もいらっしゃると思います。仮に週休3日にするのであれば、必然的に1日あたりの報酬が上がるので、これも、年収を上げることにつながると解釈してみてください。


ベストセラーの「LIFE SIFT」という本の中にもあるとおり、これから寿命は延びて行き、100歳まで生きていくようになります。

日本の場合は、年金もあまり期待できませんよね。そして、80歳を過ぎたあたりから、自分の身の回りのことを自分でするのもままならなくなります。

さらに、ケアホームなどに入るには一時金で2000万円~3000万円が必要になります。その後の月額費用も介護保険があるとはいえ、数万円から10万円ほどかかります。もちろん、お子さんの学費もありますし、家を買えば住宅ローンがあるわけです。

それを踏まえた上で、年収を上げていきたいと思うのは当たり前のこと。これは、経営者だけではなく、現場で働いてくれている社員もそうですし、上司の方も同じです。

会社全体で利益を生み出して、年収を上げていくほかないと思います。
副業は、今現在では、会社全体の4分の3が認めない方向だそうです。

じゃあ、どうすればよいか?

僕が今現在、会社内でやっている事の一つをご紹介します。


まず、スタッフも僕も含め、生涯いくらかかるのか、人生設計を組み立てます。できるだけ理想の人生を歩みたいので、理想の人生設計を組むんです。

家が欲しい、車が欲しいというような所有欲もあるでしょうし、南の島に移住するとか、ケアホームに入るとか、両親の介護に関することなど、必ず訪れるであろうことも書きだします。

そして、そこに金額を入れていくんです。すると、生涯必要年収が計算されます。さらに、何歳の時に年収でいくら必要か、いくら欲しいのかを書き入れて行きます。

逆引きで書き入れて行き、最終的に今年もしくは来年の年収も書き出します。

全員の欲しい年収が出そろったら、それを組み込んだ場合、会社に利益がいくら必要なのか。これを計算していきます。(計算方法に関してはここでは詳しく触れませんが)

すると、みんなの想いの詰まった、「利益計画書」が出来上がるわけです。これを元に、月次計画に落とし込んで、目標利益から逆算した、目標売上が算出されます。
計画を作る段階で無理強いはしませんし、全てはみんなの理想をみんなで叶えていこうというスタンスです。

そして、その目標の「利益」がクリアできたら、それぞれのスタッフに分配するという約束をしています。



もちろん、モチベーションは年収だけではありません。

でも、人生においてかなり大きな役割を担っているお金という存在。それを認め、きちんと向き合い、話し合って行ける関係性を作っていくことが、これからは大切なのだと思います。


次回のお話は・・・。





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ECのミカタさんでもコラムを連載している「ノービアノービオ」の酒匂さんとYouTubeチャンネルも開始しました。ECサイト運営者のヒントになるトークライブを中心にお届けしておりますので、是非チャンネル登録お願いします。
https://www.youtube.com/channel/UCjFq1MzH2g9UPeXxfjpQ3vg


また、彼(酒匂さん)が連載中のコラムも、かなり人気のようです。
僕も毎回読ませていただいてます!

今回は、ツイッターの極意に関して書いてありました!
「話しかけやすい転校生」を演じろ!と訳の分からないことを言い始めてますが
そろそろ疲れが出てきたんじゃないでしょうか?

酒匂さんのコラムはこちら(読まなくてもイイです)
https://ecnomikata.com/column/20125/


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次回のお話は、『粗利が上がると年収がアップするって本当ですか?』をお送りいたします!

【第2回】粗利が上がると年収がアップするって本当ですか?
https://ecnomikata.com/column/20188/

「毎週木曜が更新日」と覚えて頂ければ嬉しいです!


著者

古屋 悟司 (Satoshi Furuya)

1973年東京生まれ。
あとりえ亜樹有限会社代表取締役
V字回復研究所 所長
「さしすせそ」がうまく言えない東京育ち。
大学卒業後、トヨタのディーラーに就職。新人賞を獲得後、さらなる収入アップのためにブラック企業へ足を踏み入れる。
訪問販売業で荒稼ぎするも、自宅が火事になり全てのやる気をなくし退職。
2002年再起をかけ花屋ゲキハナを開業。2004年楽天市場へ出店。
倒産の危機を経験し、三方よしを学ぶ。
その経験を生かして書いた会計本『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』は、国内外で高い評価を得てロングセラーに。台湾で翻訳され、中国でもその予定あり。
好きな食べ物は、ラーメンとカレー。
現在、「V字回復研究所」を立ち上げ、会う人と会社を元気にする活動をしています。


花屋ゲキハナ
https://www.gekihana.jp/

V字回復研究所
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