【初心者向け:第1回】越境ECの基礎知識や始め方を解説!成功させるためのポイントも紹介

岩本 夏鈴

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。これまで海外進出サポートを行ってきた中で、越境ECについての質問を多くいただくことがありました。

今回のコラムでは初心者向けとして「越境ECの基礎知識・始め方」や「成功させるための気をつけるポイント」など具体的に下記4点について2回にわけて徹底解説していきます。
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1.越境ECとは?
2.越境ECを始める前の必要な準備
3.越境ECのやり方・始め方
4.越境ECを成功させるために必要な3つのポイント
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越境ECを始める前に販売開始までの流れや注意点などを把握して、無駄なコストをかけずに成功する確率をあげていきましょう。

実は、近年越境ECの市場は急激な拡大成長を遂げています。準備や費用などのハードルも下がりつつあるので、国内の実店舗やインターネットショップを運営している方で今後海外展開していきたい方や、EC事業をこれから始める方にとって、越境ECは必見の販売方法です。

とはいえ知識ゼロから越境ECを運営するためには何から始めたらいいのか、どのように進めていけばいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回のコラムでは、『1.越境ECとは?』と『2.越境ECを始める前の必要な準備』についてご紹介いたします。

1.越境ECとは?

越境ECについてすでに耳にしたことのある方も多いかと思いますが、越境ECとは国内商品をインターネット通信販売によって国境を超えて販売するオンラインショップのことを指しています。※EC(イーシー)とはElectronic Commerce(エレクトロニック コマース)の略で、日本語では電子商取引の意味を持ちます。

日本国内のみで販売するよりもマーケット規模が広がるため、新しい顧客の獲得や売上拡大に期待できるほか、海外に実店舗を構えてビジネスを行うのに対し、コストやリスクを抑えることにも繋がるので、国内だけでなく世界でも注目の販売手法となっています。

数年前、訪日中国人による”爆買い”現象が起こった際も、帰国した訪日中国人は越境ECを通して商品を購入し続けました。これにより越境ECも盛り上がりを見せたのですが、傾向として、インバウンド人口が増加するほど越境ECでの購買件数も比例して増加していくことが見受けられています。現在は新型コロナウイルスの影響によりインバウンドは減少していますが、日本を訪れる訪日外国人が多かった近年、越境ECのマーケット自体も成長しました。

今では越境ECビジネスを手助けるサービスも増え、日本国内で人気のECサイトの多くが越境対応を行っています。

1-1越境EC市場の規模

1-1越境EC市場の規模

次に越境ECの市場規模について説明します。少し前のデータにはなりますが、2018年の調査では、日本の越境EC市場は前年度から7.6%伸長した合計2,765億円の市場規模となりました。うち、アメリカ経由での購入額は2,504 億円、中国経由での購入額は 261 億円となり、日本・アメリカ・中国の越境EC市場規模を合計すると前年比16.9%伸長、市場規模は4兆9,309億円と拡大しています。

また、以降も越境ECの市場規模は毎年右肩上がりの成長を果たしています。

2018年から2022年の越境ECのポテンシャル推計値は、アメリカでは約1.69 倍、中国は約1.64 倍の市場規模となっています。実は中国やアメリカでは日本以上に越境ECビジネスを取り入れることが浸透しており、このように、越境ECの市場規模は今後世界的にもますます大きくなっていくことが想定されます。

出典:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/H30_hokokusho_new.pdf

1-2.越境ECを運営するメリット

では、越境ECを運営するメリットには何があるのでしょうか?具体的には下記のようなものが挙げられます。

■海外で実店舗を置くより、越境ECの方がリスクを抑えつつ低コストで運用できる
■世界へと商圏が広がることで、新規顧客の獲得と売上増加の可能性が上がる
■ECモールには既に多くの店舗が入っているため集客がしやすく、広告をする必要がない
■現地企業でなくても参入しやすい環境やサービスが増えた
■言語対応・決済・専門的知識を代行するサービスやECサイトが増えた
■日本国内の自社運営ECサイトを持っていれば、越境ECにも対応できるサービスが増えた
■Amazonやebayなど国際的ECモールによって、開設ライセンスの取得が簡単になった

ECを利用したショッピングが普及した現在、国内外で様々なECモールが展開されています。また、そのECモールの運営や越境対応を手助けするようなさまざなまなサービスを提供する企業が増えています。これにより、参入するハードルが低くなっていることも注目の要因になっているでしょう。

また、多くのユーザーが定期的にモールを訪れていることから、売上・集客の面でもゼロから構築する必要がありません。新規商品の展開やマーケティング調査など別なところへ力を注げるので、ビジネス展開には大きなメリットです。商品カテゴリーに関してはアニメキャラクターグッズや食器類などの嗜好品といった、日本限定の物は価値が高まり、さらに量より品質に重心をおいている傾向から、日本の商品は人気があります。

2.越境ECを始める前の必要な準備

これまでは市場規模やメリットをお伝えしてきましたが、越境ECを開始・成功させするにあたり、具体的にどのような準備をすればよいのでしょうか?第2章では、準備についてご説明していきます。

前提として、インターネットを繋がっている世界各国なら、例外を除き基本的にどこへでもどの商品でも販売できますが、個人・企業の方も越境ECを始めるためには、まず「どの商品」を「どこで売るか」を決めることが最も大切です。

今回はステップを分けて順番に解説していきますので、戦略立てや商材選びの参考にしてみてください。

2-1.越境ECを始めるための準備①商品の用意

2-1.越境ECを始めるための準備①商品の用意出典:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001160.000003091.html

最初のステップは「どの商品」を扱うかです。日本の商品は「品質」と「安全面」から海外では人気がありますが、すべての商品が売れるとも限りません。

国によって人気のカテゴリーは異なりますが、世界で売れている商品ジャンル別では「食器・キッチン」用品が1位で、特に台湾や中国から人気があります。世界的にも和食ブームが広がったことやテレビ番組で取り上げられていることで、日本の伝統的な和食器や陶器をコレクションしたい人が増えています。

出典:https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001-2.pdf

上記のグラフでは中国人を対象に越境ECを利用して購入した日本の商品と今後購入したい日本の商品の調査レポートです。世界と比べると第1位に「食器・キッチン類」でしたが、「化粧品」が6割ほどを占めています。

中国だけでなくその他の国でも「日用品・コスメ・ヘルスケア」のカテゴリーが前年と比べても大きく伸びているのは、日常で使う物や実際に肌につけるコスメ類など安全安心を求めるユーザーのニーズに日本の品質へのイメージが合っているからだと想定されます。

2-2.越境ECを始めるための準備②ターゲット国を決める

販売する商品を決めたら、次は「どこでその商品を販売するか」を決めます。

取扱おうとする商品がそれぞれの国の法律に基づいて輸出や販売が可能なのか、関税や手続きはどのようなものがあるのか、その他規制があるのかなどの確認をしながらターゲット国を決める必要があります。

規制や関税などについて調べる方法は、JETRO(ジェトロ)のホームページから各地域別に合わせて詳細を確認することができます。

関税率・輸出入などに関する【JETRO】のページはこちら 
https://www.jetro.go.jp/world/trade.html
国際郵送禁止の物を確認する【日本郵便】のページはこちら
https://www.post.japanpost.jp/int/use/restriction/index.html

上記JETROのページでは関税や輸出手続きなどに関する「よくある質問」の確認や、「貿易投資相談」としてオンラインや電話で相談することが可能です。また、各国の文化や国民性によって違いが表れるので、ターゲット国にその商品のニーズがあるのか購買行動の特徴がどうなのかなどマーケティングすることが大切です。ターゲットの特徴を調査した上で絞るこむことによって無駄なコストがかからず売上増にもつながりやすくなります。

2-3.越境ECを始めるための準備③越境EC出店サイトを決める

販売する商品とターゲットの国が定まったら、「どこで商品を売るか」です。越境ECで出店するには大きく5つの方法があります。

1.現地サイトでBtoC-EC向けに出店する(天猫国際(TmallGlobal)など)
2.現地サイトでCtoC-EC向けに出店する(微店(ウェイディエン)など)
3.現地法人を設立し、BtoC-EC サイトを立ち上げる
4.日本国内で独自のBtoC-ECサイトから販売する
5.日本国内にもあるサイトで国際対応のBtoC-EC向けに出店する(Amazon、Yahoo!など)

上記の中でハードルが低いのが5のグローバル対応した国内サイトで出店することです。一方で3と4は現地サーバーのレンタル・言語対応・決済などでプログラミングなどの専門的知識を必要とするため難易度は高いですが、売上の期待値は比較的高めでしょう。

以上が『1.越境ECとは?』と『2.越境ECを始める前の必要な準備』のご紹介でした。『3.越境ECのやり方・始め方』と『4.越境ECを成功させるために必要な3つのポイント』については、次回の【初心者向け:第2回】越境ECの始め方ややり方を解説!成功させるためのポイントも紹介にて、掲載します!

越境ECに少しでも興味が沸きましたら、ぜひご覧ください!尚、越境ECや海外進出に関するご相談がありましたら、プロフィールのところに問い合わせフォームがございますのでご連絡ください。

世界の市場を獲得しにいく皆様のお力になれれば嬉しいです。


参考:越境ECの始め方ややり方を解説!成功させるためのポイントも紹介
https://beecruise.co.jp/contents/cross-border-ec/article3/


著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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