【越境ECの新たな可能性】VTuberが広げる世界とのつながり

岩本 夏鈴

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。

今回は国内のエンターテインメントの中でも爆発的な人気を誇るVTuberと越境ECに注目してみたいと思います。具体的には、以下について徹底解説していきます。
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・VTuberの現状
・海外への浸透度と越境EC
・既存コンテンツを活かした事例
・VTuberと企業のコラボレーション
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VTuberの現状

2018年ころから爆発的に知名度を上げたVTuber(バーチャルYouTuber)。彼らはCGグラフィックによるアバターを使用したバーチャルなyouTuberです。YouTubeというプラットホームの強みは世界的なユーザー数の多さで、2020年9月時点のYouTube月間利用者数は、6,500万人超でした。グローバルでは月間20億人になります。この数は驚異的です。https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2020-2/


そんな巨大プラットフォームで2016年12月に登場したキズナアイさんを筆頭に人気はどんどんと高まり、動画技術の進歩も相まって現在では数多くのVTuberが存在します。彼らはゲーム実況や音楽ライブ、企画ものの動画配信などYouTubeと同様に様々な配信を行っており、YouTuberと同様に活躍をしております。

リアルでの顔出しをしないこともあって参入障壁が低く、VTuberの数は爆発的に増加しました。「ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング」提供のユーザーローカルは2021年4月時点でのVTuberのランキングを発表していますが、ファン数という切り口で、1位にKizuna AI 株式会社に所属している「キズナアイ」、3位に「キズナアイ(ゲーム配信専用チャンネル)」、2位にはカバー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:谷郷元昭)が運営するVTuber事務所「ホロライブプロダクション」所属の英語圏向けのVTuber「Gawr Gura」が登場するなど海外層に向けてのアピールもとどまることを知りません。

「ホロライブプロダクション」はほかにも多数の英語圏向けのVTuberを抱えており、言語をローカライズすることを強みとして海外へ進出しています。
出典:https://virtual-youtuber.userlocal.jp/document/ranking

https://omr.com/en/vtubers-hololive-kizuna-ai/

VTuberの海外への浸透度は相当高いものになっており、1コンテンツとしてユーザーに親しまれています。アニメやホビーと同様にVTuberは越境ECと非常に相性の良いコンテンツだといえます。

海外への浸透度と越境EC

「ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング」の中で1位を独走しているのがキズナアイさん。彼女は写真集の販売や単独音楽ライブの開催などのほか、自身の冠テレビ番組への出演を継続しており、マルチに活躍しています。彼女が人気を獲得した理由の一つに海外ユーザーからの後押しがあります。出典:https://kimu3.net/20180222/10682

デビュー初期にファンが動画に字幕を付けるなどのボランティア行為を行ったことがきっかけで海外にて一気に広まり、ブレイクすることとなりました。日本はそれに遅れて火が付いた形です。キズナアイさんには公式サイトが存在し、ライブグッズなどの販売を行っています。英語版サイトでは海外への発送も行うなど越境ECを取り入れています。

「ホロライブプロダクション」所属VTuberのグッズを販売している、pixivが運営するECサイト「BOOTH」では、Buyeeと連携しており、海外発送が可能な状況であるため越境ECを叶えています。Buyeeでの売り上げは非常に好調です。すでにあるプラットホームを利用しての越境ECは敷居が低く、自分たちで準備をする手間がないため取り入れやすいのが魅力です。

https://hololive.booth.pm/

既存コンテンツを活かした事例

既存の国内ECサイトに「Buyee Connect」を導入し、ECサイト上に新たに海外からのアクセス者に向けた専用カートを開設。海外からも気軽に商品を購入できるようになることで海外のファンを獲得します。

こちらも一から海外向けサイトを制作する手間がなく、既存のサイトを利用して越境ECが叶えられるため便利な手法です。これまでにも多くの日本のアーティストやエンタメコンテンツのサイトを手掛けてきましたが、何より自社サイトの世界観を失わずに海外進出できるというところは魅力がかなりあるようです。

日本のコンテンツが言語の壁を越えて親しまれる昨今において、この流れは越境ECについてもよい潮流だといえます。

VTuberと企業のコラボレーション

VTuberと企業のコラボレーション

2020年にはコロナ禍での酒蔵応援プロジェクトとしてお酒の通販サイト「KURAND」において「VTuber酒蔵応援プロジェクト」が立ち上がりました。
https://kurand.jp/pages/vtubersupportsakagura

「VTuber酒蔵応援プロジェクト」は、お酒好きなVTuberたちが集まり、コロナ禍の影響を受けて在庫を抱えてしまった酒蔵のお酒を、限定デザインのラベルで販売。ファンと同じお酒を飲むことで、酒蔵を応援しよう!という企画です。

さらに参加VTuberが出演するライブ配信など、一緒にお酒を飲む気分を味わえる企画も開催され成功を収めました。この成功を受け、今年2021年にも第二弾を3月24日~5月7日の期間限定で実施した結果、昨年よりも多くのVTuberに参加いただき、イベントは大盛り上がりでした。

イベント詳細はこちら:https://kurand.jp/blogs/springsale2021/vtubersupportsakagura-2

国内ECではありますが、VTuber自体をコンテンツとして物販を扱うのではなく、既存コンテンツとの組み合わせで相乗効果を生む事例としてお手本となるのではないでしょうか。

このほか、スポーツドリンクとのコラボなど、VTuberと企業のコラボ企画は様々ありますが、どれも越境ECにおいても活用できうる内容です。タレントとしてのVTuberの可能性は無限大です。企画次第で様々な効果を生むVTuberは今後も注目必須でしょう。

越境ECの手法は様々です、キズナアイさんのように英語版サイトを作成したり、「ホロライブプロダクション」のように既存のプラットホームを利用したり、もともとある自身のサイトを活用したり、VTuberとコラボした企画を立てたり…海外市場への開拓にはそれぞれのコンテンツにあったやり方がありますので、自社コンテンツについてどのやり方があっているのかをいま一度考えるきっかけになれば嬉しいです。

国内での多くのVTuberの事例は同様に海外展開に利用できると思います。VTuberを自社企画と絡めて考えることもできますし、オンライン環境を利用したライブ配信と組み合わせた越境ECや海外でのVTuberの知名度を考えた越境ECを企画することも良いでしょう。

そのほかの連載記事はこちら

【初心者向け:第2回】
越境ECの始め方・やり方を解説!成功させるためのポイントも紹介
https://ecnomikata.com/column/29251/

【第3回】
越境ECを始める前に知っておきたい市場規模や課題など基本知識を徹底解説!
https://ecnomikata.com/column/29317/

【第4回】
越境EC成功の道!基本から最新事情までをお伝え
https://ecnomikata.com/column/29318/

【第5回】
昨今よく聞くShopeeとは?台湾でのエヴァンゲリオンイベント事例も紹介
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著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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