インバウンドの「旅アト消費」とは?施策は越境EC活用が有効か 実態調査

ECのミカタ編集部

越境ECおよびジャパニーズコンテンツの海外進出をサポートするBeeCruise株式会社(以下:BeeCruise)は、tenso株式会社(以下:tenso)が運営する海外向け購入サポートサービス「Buyee Connect」を導入する日本の企業を対象に、「越境EC活用」に関するアンケートを実施した。

「活用方法が分からない」越境EC事業を始めるうえでの課題

インバウンドの「旅アト(旅行者が旅行後、母国に帰って間もない期間)」に注目が集まる中、本アンケートでは、来店したインバウンド客のリピート購入施策として、越境ECを活用していない企業は約90%にものぼることが判明した。

越境ECが活用できていない理由については、「活用方法がわからない」が最多で46.9%。僅差で「現場の対応が難しい」が続き、活用方法や運用方法に課題を感じていることがみてとれる。

越境ECの開始には一定のノウハウが必要である上に、人材確保や環境構築といった課題にも直面することが予想される。

これらの課題の解決について、BeeCruise担当者は「時代の変化に伴い、簡単に越境ECが始められるサービスも多く世に出てきているので、他社サービスをご利用いただくことも一つのソリューションかもしれません」と語る。

現在、「Buyee Connect」を始めとした越境ECサービスが数多く提供されており、越境EC事業への参入を成功させるには、既存サービスを活用することが一番の近道かもしれない。

店舗におけるインバウンド向け販売、実施企業の共通点は

店舗におけるインバウンド対応への課題については「言語対応」「免税対応が煩雑」「海外配送を依頼されるが対応できない」などが上位に並ぶ。

「まずは店頭にいらしたお客様に対し、自社商品が越境EC対応をしていることが明示されていることがファーストステップになるかと思います」(BeeCruise担当者)と、実店舗からECサイトへの導線確保が重要になるという。

加えて「越境ECの旅アト消費に関するアンケートでは、訪日経験があり、その後のリピート購入経験がない方のうち、『その商品が越境EC対応しているか分からなかった』ためリピート購入ができなかったという回答が12%ありました」(BeeCruise担当者)と、店舗からのチャンスロスが一定数発生していることも指摘している。

一方、越境ECを活用している企業の共通点として、「ECのQRコードが記載されたチラシや、SNSへの誘導など、帰国後もつながるためのいくつものツールを用意していらっしゃる」(BeeCruise担当者)と語ることからも、実店舗を入り口とした施策が重要になることが分かる。

ECだけでなく店舗も含めた売上拡大へ

本アンケートにおいて、越境ECの導入企業は活用の意向はある一方、実際の活用には至っていない実態が明らかになった。

今回の結果を踏まえ、今後の展望についてBeeCruise担当者は「ECだけでなくリアル店舗も含め会社全体の売上拡大に寄与できればと思います。(中略)リアルの接点が回復しているので、国内外問わずポップアップショップや展示会の開催などに積極的に取り組みたいと考えております」と語る。

2023年8月現在、入国規制の緩和によって、インバウンド来店の戻りを実感している企業は多い。その一方で、言語や免税対応といった面で十分な販売ができていないという課題も浮き彫りになりつつある。インバウンド、越境EC市場は今後も大幅な伸長が期待されるだけに、BeeCruiseを始めとした各サービスのサポートがより重要になりそうだ。


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