【第4回:越境EC成功の道!基本から最新事情までをお伝え

岩本 夏鈴

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。「越境ECの市場規模」については第3回でも基本的なことに触れましたが、4回目となる今回は日米中と東南アジアのさらに詳しい事情をご説明します。

越境ECの市場規模は年々成長し、特に中国と東南アジアの成長率はとても大きなものです。越境ECをこれから始めようと検討している方はどんな国をターゲットにするべきか参考にしていただけると嬉しいです!

---------------------------------------------------
1. 日本・米国・中国の越境EC市場規模
2. アジアの越境ECの伸び率
3.越境ECの今後の動向
4.インバウンドと越境ECが関係している理由
---------------------------------------------------

1. 日本・米国・中国の越境EC市場規模

日本の越境 BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模は 3,175 億円となりました。このうち、 米国経由の市場規模は 2,863 億円、中国経由の市場規模は 312 億円です。米国経由の市場規模は 2,863 億円、中国経由の市場規模は 312 億円でした。表を見るといずれも中国の購入価格が大きいことがわかります

一方国内ECはというと毎年順調な伸び率を見せており、2019年には19兆円を突破しました。現在コロナ禍の中、ますますEC市場は伸びていくことが予想されています。また国内EC市場のみならず、落ち込んだインバウンド消費を補うためにもより越境ECによる海外進出が必須となってくるでしょう。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/200722_new_hokokusho.pdf
令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査):経済産業省

1-1世界の越境EC市場規模は?

2019年は中国が 1兆 9,348 億 US ドル、続いて米国の 5,869 億 US ドル、英国の 1,419 億 US ドルでした。中国の市場規模はひときわ大きく、第 2 位の米国とは 3 倍以上の開きがあります。2018年から比べてみても上位国は前年度よりも飛躍しており、中でも中国の伸び率は非常に大きいです。中国ではスマートフォンを中心とした購入が多く、例えば日本での越境ECの場合は品質や現地でしか購入できない点などを念頭に商品を購入している場合が多いです。さらに中国では農村部の EC 利用がこれから本格化すると見られおり、市場規模拡大の余地があるとされています。

2-1アジアの越境ECの伸び率

2-1アジアの越境ECの伸び率

中国が急激な拡大成長を見せる中、日本の市場規模はあまり伸び率はありません。この背景には自国サイトで十分に満足できるという理由が半分を占めており、次に多言語の対応に苦労してしまうことや海外サイトへの信用度がないといった理由にあります。

主要ASEAN6カ国(インドネシア・シンガポール・タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア)のEC市場規模は、2017年の178億米ドルから5年後の2021年には約2倍の338億米ドルの規模へ成長すると予想されます。ASEANの中で人口が多いインドネシアは年間20%の伸び率、その他の国では年間平均15%も伸びている計算になります。

その理由にはスマートフォンなどのモバイル利用者が増加していることにあります。中国や米国などと比べ規模は小さいですが、若い世代が多い東南アジアのGDPの成長、今後まだまだポテンシャルが高い市場として考える必要がありそうです。

3.越境ECの今後の動向

越境EC市場は今後どのような動きになっていくのでしょうか。

越境ECの売上を大きく成長させる理由には、スマートフォンの利用がやはり鍵となってきています。売上とユーザー数を増やす中国が42%の割合でスマートフォンを利用しています。この結果には中国で人気の「ライブコマース」や「SNS」を利用した販促が大きく関係しています。支払いに関しても主流となりつつある「キャッシュレスQRコード決済」の利用率が高いことも後押ししているでしょう。

現在中国ではリユース市場の拡大も注目されており、越境ECとしては日本の中古ブランド品などに信頼が寄せられ評価を受けています。中古品であっても日本製というだけで信頼度が高いのです。

越境ECで購買率やユーザー数を増やすには、スマートフォンでのプロモーションやSNSをうまく連携し活用することが大切です。

4.インバウンドと越境ECが関係している理由とは

訪日者が日本でお金を使うインバウンド(訪日外国人旅行者)と、インターネットで海外から購入する越境ECとはあまり関係がないように思われがちですが、実はインバウンド人口が増えると越境ECも比例して盛り上がる傾向にあります。

4-1越境ECで商品を購入するまでの流れ

インバウンドと越境ECが密接な関係である理由は、訪日することがまずきっかけの一つとなっています。下記は訪日中国人が越境ECで日本製品を購入するまでの流れの例です。

中国人が訪日して日本製品を購入

中国へ帰国後、気に入った商品を越境ECサイトでリピート購入

口コミサイトやSNSによって周知されて行く

訪日経験のある人は別な製品を試したい欲から、口コミなどで得た情報によって新たな製品を購入

訪日経験のない人は訪日して購入、そしてSNSなどで共有することで情報がさらに拡大

つまりインバウンド市場が盛り上がれば盛り上がるほど、越境EC市場も比例して拡大へとつながっていくことができます。

4-2越境ECで購入する理由

そもそもなぜ日本製に人気が集まるのでしょうか。

中国からの訪日者数が増加後、自国に帰った人たちが越境ECを使って購入した理由は大きく「訪日旅行で購入し気に入ったこと」や「価格が安い」ということです。

2017年頃まで中国人による爆買いとして多くのモノが消費され、それらは転売業者によって中国国内でかなりの高値で取引されていました。しかし転売業者に対して厳しい法律が決まったことによって、越境ECで売られる正規ルート販売業者が活性化され、ニセモノ品や釣りあげられた高価格の製品が少なくなってきている現状があります。

参考:越境EC市場規模の動きが止まらない!日米中と東南アジアその後の動きは?
https://beecruise.co.jp/contents/cross-border-ec/article4/

そのほかの連載記事はこちら

【初心者向け:第2回】越境ECの始め方・やり方を解説!成功させるためのポイントも紹介
https://ecnomikata.com/column/29251/
【第3回】越境ECを始める前に知っておきたい市場規模や課題など基本知識を徹底解説!
https://ecnomikata.com/column/29317/
【第5回】昨今よく聞くShopeeとは?台湾でのエヴァンゲリオンイベント事例も紹介
https://ecnomikata.com/column/29335/


著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

◆越境ECや海外進出に関するお問い合わせはこちら
https://beecruise.co.jp/inquiry/
◆越境ECや海外進出のノウハウ、事例集はこちら
https://beecruise.co.jp/contents/