AIなんて使えない ~ ドンマイコラム【OMOはよくわからないけど、ECも実店舗で考えたら簡単だった】

佐藤 英俊

ドンマイコラム OMOはよくわからないけど 、ECも実店舗で考えたら簡単だった Don't worry!

ベンダの売り込みを真に受け過ぎて失敗する(失敗しながら成長する)人のための、ちょっとやそっとでうまく行かないからってドンマイなコラム

リアルとネットが一体化してお客様に商品とサービスを提供する(OMO: Online Merges with Offline)今日だからこそ、ECが実店舗を凌駕する部分ばかりでなく、リアルな人間の行う接客を実店舗に学びます。

ハレの日消費 vs コモディティ消費
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AIなんて使えない

某クライアントから、「最近うちの社内で難しいことを言うと、『サトってる』って苦笑いされるんです」といったこぼれ話を耳にしました。はい、わたくし佐藤の姓が動詞化しています。正直、私の言葉がミソッカスにされた気分です。

「AI(人工知能)だとかDX(デジタルトランスフォーメーション)だとか、デジタルには追いつけません。」

そんな泣きは日常茶飯事です。でも心配いりません。あなたの商品を買ってくれるのも売っているのも人間です。「ECはコンピュータが売る」という呪いから解放されてください。インターネットの向こう側で買い物をしているのは、犬でも猿でもありません。「ECは人間が買う」のです。

「ツール導入は省力化」と理解すべし。忘れていけないのは「考える力 = お客様を想う気持ち」です。

レコメンドはアマゾンの発明ではない

飲食店や小売店で普通に行われているのを、あなたも見ています。




実店舗と同じ
● 当店のオススメ

売る側のオススメは悩める買物客の背中を押します。あるいは、思いがけず未知の魅力ある商品を発見する助けになります。ECで同じことをすれば、「レコメンド」というカタカナになります。

アマゾン躍進の原動力「この商品を買った人は」も実店舗のパクリに過ぎない

スーパーに行けば、このような陳列を目にしますよね。

これがネットショップでは以下のようになっています。

これはコンピュータによる機械学習の例です。しかし、「牛肉」のページに「焼肉のたれ」を紹介する。これだったら、レコメンドエンジンを買わなくてもできますね。

大事なことは、全てコンピュータ任せにするのではなく、あなた自身の消費者視点を忘れないことです。逆に、ツール任せにすると、どの商品でキャンペーンしたらいいのかもわからなくなります。「その商品を使用・消費する場面やヒトも想起させましょう」と言われると難しく感じるかもしれませんが、あなた自身が知っています。

箸を持って待ってる同居人はいませんか。自分や身近な人に改めて想いを寄せ、心を膨らませてください。それだけで、今日からバナーやメルマガも生き生きとしたものになるはずです。

余談ですが、ここに掲げた写真は全て、私が日曜日に近所のスーパーに行って撮ってきました。スプーン持って待ってる奥様に「ヨーグルト買ってきて」と言いつけられ、左手に200円、右手にスマホ。ヘタクソですね。

でも、これがフリー素材やメーカ提供の画像だったらどうでしょう。「胡散臭い」と感じる人もいるはず。商品を実際に手に取れないECでは、「プロのカメラマンに頼んできれいに撮ること」と言われがちです。それ以上に、あなたのお客様と商品への想いを込めましょう。

背表紙 < 表紙 < 平積み

実店舗では、プロモートする商品ほど面積が増えていきます。たくさんの数、同じ商品が陳列されもします。

ECでは、在庫がある限り、陳列(出品)をやめる必要はありません。どの商品も(例えば、カテゴリや検索結果で)占める面積は同じです。なぜなら、店舗全体の床面積は無限にあるからです。季節外れの商品でさえバックヤードに引っ込める必要がありません。

ただし、スマホやPCで最初に表示される画面を「棚」だと考えると、そこでの面の取り合いは起きます。平積み(同じサムネイル)でファーストビュー全面を占めるのは愚策。その代わりに、プロモートする商品の表示順位を上げましょう。






実店舗との違い
● バックヤードにしまう必要はない
● ファーストビューは「棚」
● 「面積」に換わる「表示順位」

AIだとか機械学習だとか

人工知能といえども、人間のすることをコンピュータに代行させるに過ぎません。

ただし、コンピュータには抜群の「記憶力」と「高速・大容量」の処理能力があります。人間が100人の常連さんの趣味嗜好を憶えるのは至難の業ですが、コンピュータなら1万人でも朝飯前。そのパワーにものを言わせて、より多くに最適でより緻密な接客を行おうということなのです。

ECサイト内での買物客のビヘイビア(振る舞い)、すなわちお客様が手にしたもの(クリックや閲覧履歴)などによって、動的に表示順位を出し分けるといいですね。実店舗のスタッフは自然と買物客の動きを見て応対しています。

24時間営業で買物客の顔が見えないECでは、コンピュータの力を借りることによって叶えます。場所が判れば、こんなこともできます。「スコップはありますか?」と尋ねる(検索する)お客様に対して、山形県なら雪かき用を、香川県では園芸用を案内するといった具合です。

消費税の総額表示で値札の貼り換えにご苦労された小売業は多く、「だったら値下げしちゃえ」のユニクロが羨ましいかもしれません。デジタルのもう一つの利点は、2日目のサロンパスのように簡単に剥がせることです。「あれ、違う」と思ったらスグに修正できます。

どうですか。ECってビビるほど難しくない気がしますよね。今から一緒に学んでいきましょう。




今日のチップス
テクノロジーに盲目的な依存をすると、ECの本質を見失います。長い歴史のある実店舗には商売のヒントが山積みです。それらにも学び、自分で「考える力 = お客様を想う気持ち」は決して忘れずに。


著者

佐藤 英俊 (Heyday Satoh)

一級小型船舶操縦士。潜水士。座右の銘は「Discover new horizons! - 新しい視野を発見しよう」です。「視野=水平線・地平線」という言い回しが素敵ですよね。しかも、複数形。つまり、水平線は一つではありません。丘に登れば、別な水平線を見ています。一緒に新しい水平線を目にしましょう。

世界で最初の「震度計」を世に送り出したという異色の経歴。その後、IT 系に転じ、日本で二番目に co.jp ドメインを取得。21世紀に入って起業。カリフォルニアに居を構え、日本発のマルチメディア技術をハリウッドと世界の映画産業に浸透させた。モノ作りや新規事業の実体験を活かしてクライアントの支援をしている。

長年の夢、まだ叶っていない夢は、吐噶喇列島を旅すること。

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