【人気YouTuberに聞く】ファンとコンテンツをつなぐECサイトの活用 ー前編ー

岩本 夏鈴

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。
今回はエンタメジャンルのECに注目し、今やエンタメジャンルの花形的職業であるYouTuberのEC事情にスポットを当てていきます。人気YouTuber「きおきお」さんにグッズやアパレルを販売するECサイトの運用についてお話を伺いました。前後編でお送りします。

新型コロナウイルスの流行によって在宅時間が増加し、オンラインの利用が拡大したことで以前から人気を集めていたYouTubeなどの動画サイトはより身近な存在となっています。YouTubeでは自身で動画の企画・編集・配信を行うYouTuberの動画が人気を集めていますが、人気YouTuberの活動の一つとしてそのクリエイティビティを活かしてECサイトなどでオリジナル商品を販売することが定番化しています。
エンタメジャンルではグッズはファン活動を盛り上げる重要なアイテムです。ファンにとってグッズはただのモノではなく、グッズを購入し所有することがコンテンツそのものへ愛情表現の側面を持ち、ファンとコンテンツをつなぐコミュニケーションツールとしても重要なものになっています。
こうしたグッズなどは実際にはどのようなプロセスを経て企画・運用されているのでしょうか?今回BEENOS株式会社(東証プライム:3328)の連結子会社で、エンターテインメント産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するBEENOS Entertainment株式会社がECサイトの制作・運用をサポートした、人気YouTuber きおきおさん(「 necosan official shop 」 https://necosan.shop/)にECサイト開始のきっかけや制作フローなどについて伺いました。

ECサイト制作のきっかけはファンに最高のクオリティの商品を届けたいと思ったから

ECサイト制作のきっかけはファンに最高のクオリティの商品を届けたいと思ったから

―ECサイトを作ろうと思ったきっかけを教えてください

きおきおさん:購入するときにワクワクしてほしいので、公式感のあるサイトが作りたかったんです。 帰宅部のときはグッズが欲しいという要望が結構あり、作ってみたらすごく反響があったというのもあり、アパレルで最高のクオリティのものを作って視聴者さんに届けたいと思ったことが始まりですね。

―グッズ制作の中で大変だったことや面白かったことなどあれば教えてください。

きおきおさん:アパレルについてはコンセプトを「仕事でも寝間着でもプライベートでも使える」としているんですが、このコンセプトを成立させるためには品質はもちろんなのですが、生地の肌触りが大切だと思っています。肌触りの良し悪しはすごく主観的なものですし、ECだと商品を手に取っていただくことが出来ないので、商品を購入した人に満足していただけるクオリティを模索することにとても時間をかけました。確かな質の商品をお届けすることで購入者に僕の活動に信頼感を持ってほしい。そのためにも生地選びが大変でした。こだわりをちゃんと伝えられるように生地の情報を入念に調べたりメーカーに問い合わせたりと動いていました。
前回初めてBEENOSさんに協力いただいて帰宅部のグッズを作ったときは経験がなくて、いろんな展開が初めてで、視聴者さんはどんな商品が欲しいのかを考えるのが楽しかったですね。動画ではお客さんの反応を逆算して制作したりするんですが、グッズ制作でもそういった想像を膨らませてつくるのがたのしかったですね。

―その部分は難しいと感じる人も多いと思いますが

きおきおさん:謎の自信があるんですよね(笑)。これをしたら喜んでくれるんじゃないかと察することが好きなんです。

ファンとの双方向性のある関係を大切にコミュニケーションを取っている

ファンとの双方向性のある関係を大切にコミュニケーションを取っている

―普段からファンの皆さんとコミュニケーションをとる機会はあるんですか?
 
きおきおさん:そうですね、生配信とかで視聴者さんの名前とコメント読んだりしてコミュニケーションを取っています。会話している感じですね。

―普段の撮影からコミュニケーションを取っていたことでお客さんが求めるものを想像しやすかったのでしょうか

きおきおさん:ある種友達というか、視聴者さんも僕のことを友達みたいに思ってくれていたら嬉しいと思っているのでコミュニケーションを大切にしています。コミュニケーションを通して求められるものが見えてくることは確かにありますね。

―ファンとの繋がりなどはどうされていますか。

きおきおさん:先日YouTubeでチャンネル登録者数50万人を達成したんですが、こういった節目にライブ配信などをして視聴者の方と一体となった場をつくっていきたいというのはありますね。みんなが喜んでくれる場を作っていきたいです。

―事前告知をして開催するんですか?

きおきおさん:50万人突破の時はいつ50万人に到達するかわからなかったので、到達直後にいきなり「1時間後に配信します」と宣言して配信を始めました。到達の数日前には「きおきおそろそろ50万人いくからお祝いしよう」なんてSNSでツイートしてくれる人もいてうれしかったですね。エゴサは一時間に一回くらいしちゃってます(笑)。

―ファンの方がどんな思いで視聴してくれているかも普段から見えているんですね

きおきおさん:そうですね。特に僕は演者と席に座っている人という関係性にはしたくないと考えているんです。これは直感的なものかもしれないです。僕がYouTubeをはじめたきっかけははじめしゃちょーさんやヒカキンさんの影響からなんですが、彼らの視聴者との距離感が近かったことに憧れがあったことも影響していますね。

―ファンとは双方向の関係でいたいということですか?

きおきおさん:そうですね。SNSでリプライを返したり、僕のことを話題にしてくれている人をフォローしたりして、うれしい反応をいただいています。積極的にコミュニケ―ションをとりにいっていますね。単純に気にかけている人からフォローが返ってきたらうれしいんじゃないかって。自分で言うのもなんですが(笑)。喜んでほしいという気持ちが強いです。打算的とは思われたくないんですが、相手が喜んでくれることを常にやっていきたいと思っているんです。グッズやアパレル制作は僕にとって挑戦でしたが、動画配信以外の場所でもいろんな楽しいことを視聴者の方に届けていきたいと考えています。

ECサイトはモノを届けて人を幸せにするツール

―同じような業態の方がECをやろうか迷っていたらどう声をかけますか?

きおきおさん:やったほうがいいと言うと思います。僕の場合は動画づくりしかしたことが無かったので、グッズ制作では初めての経験が多かったです。お客さん視点でサイトを作ることが勉強になりました。ビジネス的な観点をとても勉強させていただきました。人間的成長としておすすめできます。YouTuberやインフルエンサーは10年後とかに自分の発信力を生かしてお仕事をしていくというモデルになっていくんじゃないかなと思います。今のうちからそういった未来を見据えて実践していくのが大事と心から思っています。僕は初めての経験だったのでわからない部分はBEENOSの担当者の方にサポートしていただきました。まだまだ知識がないのでサポートを受けながらやっていっています。

―BEENOS Entertainmentは一気通貫サポートですが、こういった形態のほうがやりやすいですか?

きおきおさん:最初は何もわからないのでフルサポートしていただけるのはありがたいですね。僕はアパレルやECの業界用語も全く分からなかったので、大小を問わず都度質問して進めていきました。配送方法などのメリット・デメリットなども細かに教えていただいて判断することが出来ました。


―ECサイトを使って今後どんなことをやっていきたいですか

きおきおさん:これは僕のエゴなんですが、自分が使うものは自分でプロデュースしたいという思いがあるんです。僕は服の質感にかなりこだわりがあって、気に入った生地の同じ服を5着買って毎日着るぐらいなんですよ。この強いこだわりを反映させてECを通してお客さんに届けるツールにしたいと思っています。ちょっときれいごとに聞こえると思うのですが、僕の人生の使命が人々を幸せにするということなんです。動画も人に元気を与えたりして幸せにするツールだと思うんですが、ECサイトはモノをとどけて幸せにするツールとして使っていきたいと思っています。今後はヘッドホンやブルーライト眼鏡なんかも手掛けられたらおもしろいですね。ゲームを1日に8時間することもあるので、かけ心地などを追及した眼鏡もいいと思います。

―決まった服を着るというのはスティーブジョブス的な感じがしますね

きおきおさん:選ぶ時間を節約するというのもありますね。ちなみに僕の家ではネイビーはTシャツ、灰色はタオルと決めています。視覚的に選別できるので負担がないんですね。それに同じものを日々着ていると、体重の増加やむくんでいるとか体調のコンディションも分かりやすくなって便利です(笑)。

ー前編ではきおきおさんがECサイトを始めたきっかけやファンとの関係性で意識していることなどを中心にお伺いしました。きおきおさんはグッズ制作において商品そのものの品質への強いこだわりがあることはもちろん、ECサイトを通して商品をファンに届けることで人を幸せにしたいという強い気持ちがありました。後編ではECサイトを具体的にどんなフローで制作したか、今後の展開などについてお伺いします。


著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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