エンタメ業界のOMOとは? オフラインとオンラインを複合的につなぐ効果的な施策

岩本 夏鈴

前回のエンタメECのコラムが好評だったので、今回もエンタメ領域でのECの新たな取り組みについてご紹介しようと思います。今回はECに取り組む皆さんが関心を寄せているオフライン×オンライン施策について解説いたします。

オンラインとオフラインを掛け合わせるOMO施策、エンタメでも

オンラインとオフラインを掛け合わせるOMO施策は、百貨店などの小売業界を中心に飲食店などあらゆるジャンルで取り入れられています。お客様の利便性を向上しながら新たな購入体験を提供できるのが特徴ですが、エンタメ業界でも最近OMOの概念を取り入れたサービスの活用が増えています。今回はイベントごとにつきものの物販のシーンでECとリアルをつなぐOMOを叶える、モバイルオーダーサービスについてご紹介します。

情報を集約して管理できるOMO

以前はオンラインとオフラインはまったくの別チャネルであり、ビジネスの基盤はあくまでオフラインの店舗にあるという考え方が主流でした。しかし近年ではDXが急速に進み、スマホ決済も一般的な決済方法の1つになりました。さらに店舗に設置される各センサーやAI搭載カメラなどの発達により、これまでオンラインとオフラインでばらばらだった顧客のデータが、ネットワークの垣根を越えて来店情報や購入の履歴、顧客情報などまで1つに統合できるようになってきました。情報が1つに集約されることで顧客には利便性を、店舗にはマーケティングに有効な情報の収集が叶えられます。こうした点からOMOに取り組む企業は増加しています。

エンターテインメントというオフラインでの活動が必要不可欠のジャンルにおいてもOMOは重要です。特に物販の面においてモバイルオーダー・決済サービスの導入は業務の効率化とコスト低減に有効です。ライブなどの会場では物販には長時間にわたって列が形成され、商品の受け渡しにも時間を要することが多いことから、肝心のイベントを楽しむための時間が損なわれることがありました。モバイルオーダーを利用することで、お客様がイベント開催前から、またイベント当日においても商品の注文・受け取り時間の選択・決済をすることができるため、長時間列に並ぶことなく商品を購入することができます。また、イベント運営企業はモバイルオーダーの導入によって売上管理や分析を行えるので、業務効率化や人手不足の緩和も図れます。

エンターテインメント業界特有のオフライン活動

エンターテインメントジャンルにおいてライブ、展示会、舞台、映画等…多くがオフラインでの体験がセットになっています。観劇や鑑賞、ファン同士の対話や交流など、コロナ禍による障壁はまだあるものの、依然としてユーザーのエンゲージメントを高めるためにオフラインでの活動は必須といえます。しかもエンタメジャンルのファンはグッズの購入意欲が高いため、オフラインのイベントでは物販が用意されていることが多いものです。しかし前述の通り、物販では長蛇の列が長時間形成されることがままあり、その解消および販売機会を増やし売り上げを高めたいという思いから、イベント時のみの販売だけでなく、事前・事後通販をECで行うなど、運営側も努力を重ねているのです。

特に会場での物販で時間がかかりやすいのが、決済やレジの処理など煩雑とした作業です。よって会場の物販対応にこそ人的なリソースに頼らない、オンラインとの融合が必要なのです。モバイルオーダーとECの組み合わせでは決済はスマートフォンやタブレット端末で完了し、お客さまは会場や自宅で商品を受け取るだけで済み、行列の解消によって顧客体験は大きく向上するでしょう。それだけでなく、モバイルオーダーをECと組み合わせることで、公式ECサイトの会員数の増加が見込めるほか、顧客情報の一元管理が可能になります。

オンラインとオフライン双方を活用して売り上げを拡大する

新型コロナウイルス流行の後押しを受けてあらゆるジャンルにおいてDXの波が到来ました。エンタメジャンルも例外ではありません。

特にエンタメジャンルでは、すべてのものをオンラインに置き換えるよりも、オフラインでのお客さまの体験をより盛り上げるかたちでのDXが必要とされています。例えばライブや演劇での会場入場チケットのオンライン化は、会員情報と結びつき円滑な入場を可能にしますし、物販・店舗などでのモバイルオーダーは会計・商品受け渡しをスムーズにし、しかも両者ともに時間・人件費のロス削減につながります。さらにいずれの場合も顧客情報の一元管理が叶えられることで、マーケティングに有効な情報が蓄積できるのです。

また、モバイルオーダーを起点とし、会場に設置するセンサーやAI機器などと組み合わせたお客様のより詳細な消費行動の把握ができる仕組みがあれば、お客様の利便性がさらに向上しますし、売上を伸ばす施策も生まれるでしょう。

ECにおいてもモバイルオーダーによって複合的なチャネルとなったことで、オフライン・オンラインを問わずに、イベントごとの商品のピックアップが可能になります。すると事前事後通販などとの組み合わせで、販売機会が拡大の増進を図ることで売り上げの拡大が見込めます。これからはますます、オフライン、オンラインどちらかに一極集中して管理するのではなく、複合的なOMOを活用した運用が求められています。BEENOSグループではモバイルオーダー機能を盛り込んだエンタメ特化型EC構築サービス「Groobee」を提供しており、包括的なECの運用をサポートしています。OMOの活用によって効果的に売り上げの拡大を目指しましょう。


著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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