一貫性のある顧客コミュニケーションが重要!「定期通販」がビジネスとして優れている理由

安藤 祐輔

一貫性のある顧客コミュニケーションが重要!「定期通販」がビジネスとして優れている理由

EC事業者、特に食品や美容商材などを扱う事業者なら「定期通販」について一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

定期通販は、実はECが始まる前からずっと続いているビジネスモデルです。
にもかかわらず、いい印象をもたれないことが多いです。

さらに昨今では厚生労働省が薬事法の規制を強めたりとますます定期通販に対する風当たりは悪くなってきています。

今回は、そんな定期通販について
・なぜ定期通販は嫌われるのか
・定期通販のビジネスモデルが優れている理由
・定期通販をはじめてみよう

この3本立てで解説いたします。
以下のような課題などを抱えている事業者はぜひ記事をチェックしてください。

・定期通販を始めようか迷っているEC事業者
・すでに定期通販を扱っているEC事業者
・ECサイト構築において定期通販を検討している構築会社

なぜ定期通販は嫌われるのか

なぜ定期通販は嫌われるのか

私は商売人として、「人のニーズに応えている商売が儲かる商売だ」と教えられてきましたし、今もそう思っています。

ところが定期通販は、昔からあるビジネスモデル、つまり「儲かる」事が証明されているビジネスモデルであるにもかかわらず、敬遠されたり規制が厳しくなったりしています。

なぜこんなにも定期通販は嫌われているのでしょうか?

それはひとえに、「嘘やごまかし」をしてお金を儲けようとする事業者がいることが要因です。
例えば「3か月継続しなければならない」旨を気づかないくらい小さく記載したり、申し込みはスムーズにできるが解約は電話出ないとできない、ましてやその電話がいつまで経っても繋がらないなどのお客さまのために一切ならない小技です。

結果、顧客のユーザー体験を損ねてお金を儲けようとしているのが定期通販不評の最も大きな要因です。

そのようなビジネスは、一切顧客のためになっていないため、いつかは衰退していってしまうでしょう。
そういった意味では、改めて厚生労働省の規制が厳しくなったことはいいタイミングであったと言えるでしょう。

定期通販は、基本的には非常に理にかなったビジネスモデルです。例えるならば、居酒屋の店主が毎日来てくれている常連さんに1杯おまけするのと同じです。

ではどういった点が優れているのか、改めて考えてみました。

定期通販のビジネスモデルが優れている理由

顧客の一般的な購買ファネルを整理すると下記のようになります。

顧客が各ファネルごとに接するメディアはそれぞれ異なっています。

例えば、タクシー広告で知り(認知)、後日友達からおすすめされ興味を持ち(興味喚起)、Instagramで検索、(比較検討)、その後ECサイトに飛び購入(購入)、ついでにInstagramアカウントもフォローし、新商品はチェックするようになる。

購入、さらにファン化するまでには、かなりコミュニケーションが分断されることが分かります。

そこで日本の定期通販はどのように進化したのでしょうか。

まず広告で知ってもらい(認知)、広告のリンク先を記事LPに設定(興味関心)、そこからさらに縦に長いLPに飛んでもらい詳細な情報を提示(比較検討)、LP内のちょうどいい1にコンバージョンボタンを配置、そのまま購入してもらうというフォーム一体型LP(コンバージョン)、購入者には購入商品にあった文脈のメールマガジン送付(ファン化)というような流れ

※フォーム一体型LP:商品ページなど他ページに遷移せず、決済まで完了できるLPのこと。

自社商品を認知してもらってから購入してもらうまでの間の大きな課題は「離脱」です。
特に「カゴ落ち」により7割以上の顧客を離脱させてしまっていると言われています。

「定期通販」は顧客から見た時のコミュニケーションに一貫性を持たせることにより、最大限離脱を防ぐ工夫が施されています。

定期通販をはじめてみよう

フォーム一体型のLPは、日本の定期通販で独自に進化してきました。
この進化を支えたのは、定期通販に特化したカートであるたまごリピートやリピスト、またec forceなど、主に国内のECプラットフォームです。

最近では、国内のECプラットフォームだけでなく、Shopifyなど海外のECプラットフォームもフォーム一体型LPに対応し始めています。


海外製のECプラットフォームはフォーム一体型決済ができないという理由から「定期通販には向いていない」との声も多くありましたが、現在は対応可能になっています、特にShopifyなどはサーバーが強く、さらに管理費用も比較的安価なため、むしろ定期通販を始めやすいと言えるでしょう。

◉フォーム一体型LPの事例(カッコ内は利用プラットフォーム)
美容/コスメ
https://tolux.jp/shopping/lp.php(リピスト)

食品/飲料
https://myflora.jp/shopping/lp.php(リピスト)

食品
https://seikabiyori.jp/lp (ec force)

サプリメント
https://inhop.shop/pages/hopkoka-h01(Shopify)

まとめ

これまで定期通販にあまりいいイメージがついていなかったのは、表現をわかりにくくし、消費者を騙すようなビジネスをする事業者が、少なからず存在した事が要因です。

しかし、本質的には定期通販はコンバージョンに至るまでのコミュニケーションを一貫して行うことができ、さらにその後も継続して顧客とコミュニケーションを取ることができるため、商品開発や戦略設計など本来ストアが注力するべき業務に集中できる非常に効率的でフェアなビジネスです。

さらなる技術の進化により、ec forceなどの国内プラットフォームだけでなく、Shopifyなど国外プラットフォームでも定期通販を実施する事が可能になっています。
扱っている商品の特性やどんな体験を顧客に提供したいかによって最適なカートを選び、ぜひ定期通販にチャレンジしてみてください。


著者

安藤 祐輔 (Ando Yusuke)

東京消防庁に入庁後、筑波大学体育専門学群へ進学。スポーツ経験のある学生の採用に特化した採用支援事業を学生時に起業し、ケンコーコム(現Rakuten Direct)へ。その後、海外向けEC事業などに携わり、Socketを創業して「Flipdesk」をリリース。代表を退いた後、「Shopify」向けアプリの企業であるハックルベリーを立ち上げた。計4度の起業。
ハックルベリーでは、「Shopify」向けの集客アプリの開発を行っている。

https://huckleberry-inc.com/