【FBA vs 自己発送】Amazonで利益を最大化する運用ガイド

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株式会社Cyber-records

Amazonで商品を販売する際、FBAに任せるか、自分で発送するか―どちらが自分の販売に合っているか迷っていませんか。実は一方に絞らず、状況に応じて両方を組み合わせる「ハイブリッド運用」が効果的なことが多いです。
この記事では、コスト感覚・在庫の置き方・配送スピード・顧客対応といった観点から、初心者にもわかりやすくFBAと自己発送の使い分け方や判断ポイントをやさしく解説します。
自分に合った運用のヒントをつかんで、売れ方に合わせた無理のない運用を目指しましょう。

この記事の読み方と進め方

まずは「どんな症状が起きているか」を確認にし、その原因を整理したうえで、実際の打ち手に落とし込む三段構えで進みます。FBAは、Amazonが保管・出荷・問い合わせ対応まで担う仕組みで、プライムの表示が付きやすいのが特長です。自己発送(FBM)は、保管や出荷、返品の対応を出品者が担う方法で、自由度が高い分、実務の負担や見落としコストが乗りがちです。

読み進めながら、ご自身の商品を思い浮かべて「これはFBA」「これはFBM」「これは両方」と仮置きし、最後に意思決定ルールへまとめると理解が早まります。

問題把握から実行までの流れ

問題把握から実行までの流れ

FBAとFBMの使い分けを考える際には、次のような流れで進めていくと整理しやすいです。

1.症状の言語化:「粗利が出ない」「在庫が積み上がる」「問い合わせが増えた」など、現在感じている課題を明確にします
2.原因の分解:費用構成、配送の速さ、在庫の置き方、返品の負担などの観点から原因を探ります
3.数字に落とす:販売価格、手数料、保管料、送料、返品率を商品ごとに見える化します
4.小さく試す:FBAとFBMの両方を同じ商品で販売してみて、実際の売れ行きと利益を比較します
5.ルール化:商品の条件ごとに「FBA」「FBM」「併用」の判断基準を明文化します
6.定期見直し:料金や需要の変化に合わせて、配分や在庫の置き場所を調整していきます

この流れに沿って考えていくと、自分の商品やビジネスに合った最適な運用方法が見えてきますよ。

問題の特定

まずは「何がつまずきか」を具体的に捉えます。数字や現場の声を集め、症状をはっきりさせるほど次の打ち手が楽になります。

■粗利圧迫とプライム表示やBuy Box獲得が噛み合わないSKU
プライム表示が付くとお客さまの安心感が増し、カート(Buy Box)を取りやすくなりますが、最終的な判定基準は複数の要素で変動します。FBAにすることでBuy Boxやプライム表示の獲得に有利なケースが多いですが、常に最新の基準や通知を確認してください。

一方で、サイズや重さが大きい商品はFBAの出荷手数料や保管料が重く、粗利を圧迫しがちです。結果として「FBAにすると売れるけど儲からない」「FBMだと儲かるけどカートが取れない」といった噛み合わなさが生まれます。

商品ごとに「FBAでの粗利」「FBMでの粗利」「カートの取りやすさ」を並べてみると、どこで食い違っているかが見えてきます。

■FBA導入で増える費用と売上増の相殺が不明な点
FBAにすると、出荷の手数料、月々の保管料、長く残った在庫への追加費用、返品処理に関わる費用などがかかります。具体的な金額は随時変更されるため、最新の金額はAmazon公式の料金表で確認してください。

FBA/FBM比較はAmazonの手数料計算ツールや収益計算機を使い、配送業者の追加料金(燃料費・繁忙期手数料等)も反映させてください。「FBAで販売数は何割伸びる前提か」「その伸びが追加費用を上回るか」といった点を、仮の数字でも良いので置き、差し引きで粗利を比較することが大切です。

■在庫回転やキャッシュフロー、オペレーション負荷の未把握
在庫が長く倉庫に眠ると、保管料や追加費用が積み上がります。自己発送でも、保管スペースの圧迫や棚卸しの手間は見過ごせません。さらに、出荷・梱包・問い合わせ対応にかかる人の手間は見えにくく、粗利の計算から抜け落ちがちです。

SKUごとに「月間販売数」「在庫日数」「1件あたりのFBA手数料と自己発送費用」「返品率」を比較し、FBA/FBMを決定してください。こうした見えにくいコストを可視化することで、より正確な判断ができるようになります。

原因の分析

原因の分析

症状の裏側にある仕組みを分解します。費用の内訳と売れ方のクセを商品ごとに捉えると、打ち手が具体化します。

■SKUごとに変わるFBAコスト構成と誤解
FBAの費用は、商品の大きさ・重さ・保管期間・準備の有無などで変わります。たとえば以下のような要素が関係します。

1.出荷の手数料(サイズ・重量で変動します)
2.月次の保管料(時期や在庫量で変動することがあります)
3.長く滞留した在庫への追加費用
4.返品に関する費用(対象カテゴリのみ発生します)
5.ラベル貼りや梱包の代行費用、想定外の作業が発生した際の費用

よくある誤解は「FBAだから常に高い/安い」と一括りにしてしまうことです。実際は商品によって差が大きく、数字を入れて比較しないと判断を誤ることがあります。

■FBMの実効コストや返品対応の見落とし
自己発送は「手数料が少ないから有利」と考えがちですが、実際には次のような見えないコストが乗ります:

1.送料(サイズ・重さ・届け先で変わります)
2.梱包資材や緩衝材
3.出荷・問い合わせ・返品対応にかかる人の手間
4.再発送や住所不明によるロス

自己発送の配送品質向上策として、Amazonが提供する自配送支援サービス(例:FBM Ship+など)や、信頼できる配送業者の契約、配送トラッキングの自動化を活用すると効果的です。サービスの詳細はAmazonの公式を確認してください。
返品費用や負担ルールはカテゴリや時期で異なります。該当商品の返品ルールはAmazonセラーセントラルの最新ポリシーでご確認ください。

■カテゴリや価格帯で変わるCVR効果と在庫滞留リスク
プライム表示や早い配送は、お客様の購入決定率を引き上げる効果がありますが、費用との釣り合いはカテゴリと価格によって変わります。例えば、

1.小型・軽量で回転が早い日用品:FBAで売れ行きが伸びやすい傾向
2.低単価で重い・かさばる商品:FBA費用が重く利益が削られやすい
3.季節品や流行品:売れ残ると保管料や追加費用のリスクが増す

この「売れ方の違い」を踏まえずに一律でFBA/FBMを決めてしまうと、在庫が滞留したり粗利が悪化したりする原因になります。商品特性に合わせた判断が重要です。

解決策

解決策

ここからは、「測る→比べる→決める→見直す」を繰り返せる形に落とします。小さく試して、納得感のあるルールにしていきましょう。

■必須の計測モデルとテスト設計
まずは商品ごとの簡単な計算表を用意します。Amazonの料金表・収益計算機能と、自社の実費を組み合わせて埋めていきましょう。

出せると良い指標は「1個あたりの粗利」「粗利率」「1日あたりの販売個数の目安」です。この3つをFBAとFBMで並べ、差分の理由を言葉でメモしておくと整理しやすいでしょう。
さらに同じ商品でFBAとFBMを同時に販売し、実際の売れ方・問い合わせの量・返品の中身を比べてみると、机上の見積もりと現実のギャップがわかります。繁忙期や閑散期の偏りを避け、普段の売れ方を反映できるタイミングで観察するのがコツです。

運用ルールは四半期ごと、繁忙期前後、料金改定通知を受けた場合に見直すことを推奨します。

■FBAとFBMそれぞれの見積もりチェックポイント
抜けやすい観点をチェックリスト化して、見積もりの精度を上げましょう。

【FBAで確認すること】
1.出荷の手数料(サイズ・重量・形状)
2.月々の保管料と、在庫が長く残った場合の追加費用
3.ラベル貼り・梱包代行・想定外作業の費用
4.入庫の送料や、セット品の組み上げコスト
5.返品時の費用が発生するカテゴリかどうか
6.プライム表示の効果(売れ行きの伸び方)を実績で確認

【FBMで確認すること】
1.配送方法ごとの送料(サイズ・重量・地域)
2.梱包資材・緩衝材・段ボールの実費
3.出荷・問い合わせ・返品対応の手間(人の稼働)
4.配送スピードの目安と、遅延時の対応ルール
5.再配達・住所不備・破損時のロス
6.お客さま評価やカート獲得への影響

これらを商品ごとに埋め、数字が揃わない箇所は小さく試して補強していきましょう。

■ハイブリッド運用の意思決定ルールと在庫・運用対策
最後に「こういう商品はFBA」「こういう商品はFBM」「両方で持つ」のルールを明文化します。例としては次のような分け方が実務に役立ちます。

【FBAに寄せる商品】
1.小型・軽量で回転が早いもの
2.プライム表示で売れ行きが明らかに伸びるもの
3.返品があっても負担が重くなりにくいもの

【FBMに寄せる商品】
1.低単価で大きい・重いもの(FBA費用が粗利を圧迫するもの)
2.季節性が強く、売れ残りリスクが高いもの
3.オーダーメイドやセット組みなど、出荷時の融通が必要なもの

【併用(ハイブリッド)する商品】
1.回転はするが波がある商品:基礎在庫はFBA、増えた分はFBMで対応
2.カラーやサイズが多い商品:売れ筋はFBA、希少なバリエーションはFBM

まとめ

FBAに任せるか自己発送にするかは”一択”ではなく、商品ごとのコスト構成、購入率や配送スピード、在庫回転や資金の回りを見比べて決めるのが近道です。まずは必須の計測で実効費用と売れ方を小さくテストし、FBAで優先する商品と自己発送に回す商品を明確なルールで分けましょう。運用負荷や返品対応も織り込めば、利益と顧客満足の両立がしやすくなります。定期的に商品ごとの結果を振り返り、利益率が下がりそうなら梱包や送料、表示戦略を見直す。小さい改善の積み重ねが運用負担を減らし、売上につながります。結果をもとに柔軟に切り替え、無理のない運用を目指しましょう。

<ご注意>
本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。


著者

株式会社Cyber-records

2008年にGLOBAL EC COMPANY(GEC)として創業し、以来、ECビジネスの啓蒙者として、運営代行、コンサルティング、ブランディングなどに従事。モールおよびマーケットプレイスのEC支援サービスの提供に加え、ふるさと納税事業や越境ECの支援も行う。

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