顧客ごとのチラシで再購入率アップ、最先端の効果計測

ECのミカタ編集部

サイジニア、再購入へ繋げる発明で特許取得

 サイジニア株式会社(以下、サイジニア)は、顧客一人一人の属性や購買行動に基づいて判断した価値のある商品や情報が印刷された紙媒体の効果を計測する方法について、特許を取得したことを発表した。これにより以前は広告の効果を検証することが難しいとされてきた紙媒体でも、インターネット広告などと同様に広告効果の検証が可能になる。そしてサイジニアは今後、特許を取得した手法を、O2O(Offline to Online)やオムニチャネルの領域で活用するとしている。

 サイジニアは、北海道大学大学院 複雑系工学講座の准教授と研究メンバーが「検索エンジンでは見つけられない幸せがある」という思いを持ち、立ち上げたテクノロジー企業である。現代においての情報が多すぎて欲しいものが見つけられないという問題を解決するべく、解析技術を実用化している。

一人一人に合わせた商品を、紙媒体の効果計測

一人一人に合わせた商品を、紙媒体の効果計測

 サイジニアは2014年より顧客それぞれが購入した商品に基づき解析した、顧客が興味も持つであろう商品などのデータを、チラシや明細書上にデータを送り出すサービス『デクワス.POD』を提供している。そして2015年にECサイトでの行動履歴を分析し、人工知能技術により顧客一人一人に合わせた情報を紙媒体に出力する技術・手法について、特許を取得している。(図の橙色矢印部分)

 現在サービスの提供開始から2年近く経過しているが『デクワス.POD』チラシ経由のECサイトでの再購入率が30%を超えている事例もある。こういった結果から紙媒体を活用したO2Oサービスは評判が高い。

 そして今回、実際に紙媒体に出力した顧客一人一人に合わせた商品や情報が効果があったのかを計測する発明について新たに特許を取得した。この発明の内容とは、顧客個人に最適化したチラシを作成する際に、顧客ごとに出力したチラシデータを特定の識別子とともに記憶しておく。そして後日その顧客がECサイトを再訪問して商品を購入した際に、その識別子を照合し成果を計測する。

 しかし、それだけではない。この発明は照合結果を報告に使うだけではなく、人工知能技術によって次回の顧客にとって更に価値のある商品を提案するために学習データに活かすまでの過程を含むのだ。そのため回数を重ねていくごとに、顧客が興味を持つような商品を提案する精度が上がり、再購入率も上がっていく可能性が高くなるのである。(図の青色矢印の部分)

サイジニアの発明から感じる、紙媒体への可能性

 今まで紙媒体による広告では、掲載している商品ごとの広告効果計測は困難とされ、ネット広告といったデジタルマーケティング領域においては広告効果計測の技術が進歩し、分析されてきている印象がある。しかし今回のサイジニアの発明によって、『デクワス.POD』を利用しているECサイトは紙媒体を使って顧客一人一人に合った商品を提供し購入に繋げていく戦略において、投資に対して将来どのくらいのリターンがあるのかを具体的に把握できるようになる。

 また計測した結果を、次回へ生かすための学習データとし、『デクワス.POD』に搭載されている機能と組み合わせて、人工知能技術に基づいた自動的なPDCAサイクルを回すことができるようになる。つまり担当者に大きな負担を掛けずに、再購入への可能性を高めてくれる。

 かつては通販業界はカタログ通販などが主流だった。やがて通販業界のノウハウも生かしながらECが誕生。そしてECの技術が進歩してきた現代においては、マーケティング活動はインターネットが主流になってきている。その中でサイジニアが発明した紙媒体の未来を明るく照らす発明は、元々の通販業界、いや商売の原点に戻ったように紙媒体の影響力を再度私たちに気付かせてくれるのではないだろうか。


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