日本郵便、ついに本気のEC業界参戦か?

日本郵便が東京ドーム級大規模物流局の新設を発表

日本郵政グループの日本郵便が大規模な「メガ物流局」を全国20カ所に新設すると発表した。その広さは東京ドーム級。2018年度までに約1800億円を投じ、郵便や宅配便の区分け作業を同局で集中処理し、配達にかかる時間を短縮する。
メガ物流が想定するのは、ネット通販時代の物流拠点である。宅配便の取り扱い個数は2012年度に前年度比3.7%増の約35億個(国土交通省調べ)。ヤマト運輸、佐川急便の2社が市場の8割を握る結果となった。日本郵便は価格面に加え、配送スピードや当日配送の対象地域拡大などのサービス面で競争を迫られているようだ。

「メガ物流局」新設でヤマト運輸と佐川急便を追走

「地域区分局」と呼ばれる日本郵便の大型郵便局は全国に約70局あるが、多くが鉄道輸送が主力だった時代の名残で旧貨物ターミナル駅の近くや都心部に立地し、手狭で物流効率も悪かった。新設するメガ物流局は高速道路の出入り口近くなど物流効率を最優先する。敷地面積も3万〜5万平方メートルと、現在ある地域区分局より広くする予定だ。

メガ物流局には最新鋭の自動区分機を設置し、一括して区分けできる仕組みをつくる。これにより、今まで郵便の配達先の区分けをしていた「集配局」は配達や集荷に専念することができるため、利用者は郵便物や宅配便をこれまでより早く届けたり、受け取ったりできるようになる。宅配便「ゆうパック」の当日配送ができる地域はこれまで東京都内と大阪府の一部のみだったが、メガ物流局の整備で対象地域も広がる見込みで、EC業界の物流事情にも大きく加担してくれそうだ。

「EC-CUBE」との連携も発表。注目の「シングルサインオン対応」とは?

また、日本郵便が提供する会員制Webサイト「ゆうびんポータル」と株式会社ロックオンが運営する、オープンソースのEC向けコンテンツマネージメントシステム「EC-CUBE」が連携することも発表された。これだけを聞けば、EC-CUBEと単純な物流との連携が想像されるが、どうやらその内容には更なる可能性が秘められているらしい。
ゆうびんポータル内で発行できる「ゆうびんID」を作成することにより、ゆうびんポータルでは再配達の申し込みや集荷の申し込みなどのサービスを、毎度の住所入力をせずに受けることができる。それに加え、ゆうびんIDを所持していればEC-CUBEの会員登録時に名前や住所などの個人情報を登録せずにEC-CUBEにログイン、商品の購入が可能になる。これが今回、日本郵便とEC-CUBEの第一弾の取り組み「シングルサインオン対応」である。

今後の日本郵便。最大の魅力はその会員層

メールやSNSが発達した現在、若年層が切手を購入し手紙を送ったり、積極的に年賀状を送るといった文化が薄れてきているのが実情ではないだろうか。しかし、当然のことながらメールやSNSを利用せず、現在でも手紙や年賀状を送る文化が根強い世代の人々は多く存在する。

つまり、今回始まる日本郵便の新サービスには、ECを積極的に利用する若年層とは異なった、今までまったくECを利用して来なかった利用者層が、ゆうびんIDの会員層と合致する可能性が十分に考えられる。ゆうびんIDを通して、この独自の会員層をEC業界に取り込むことができれば、EC業界全体として大きなメリットであり、ビジネスチャンスにつながるのではないだろうか。今後のECの発展にはリアルとの連携が欠かせない。その大きな一歩に一役買ってくれそうな、日本郵便の魅力と可能性に今後も目が離せない。