大阪府とヤマト運輸が連携!生活がより豊かに

ECのミカタ編集部

 大阪府とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)は、魅力ある地域社会の実現を目的として、府政のPRや地域活性化など7つの分野において公民一体となって取り組む「包括連携協定」を締結し、8月10日に大阪府庁において締結式を行った。

大阪府とヤマトはなぜ連携したのか?

 少子高齢化、人口減少などを背景として、今や行政だけで地域のさまざまな社会課題を解決できる時代ではなくなっている。そうした中で、大阪府は民間企業との連携によって、社会課題の解決に取り組む公民連携モデルを確立するため、平成27年4月に都道府県では初となる民間企業等の専任窓口「公民戦略連携デスク」を設置し、様々な企業と連携しながら社会課題の解決を通して地域の活性化と府民のサービス向上に取り組んでいる。

 ヤマト運輸は、「一番身近で、一番愛される企業」になることを目指し、全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、産物の販路拡大などの地域活性化や課題解決に行政・地方自治体と一緒になって取り組む「プロジェクトG」を推進している。また、ヤマトグループは、2011年に長期経営計画「DAN-TOTSU経営計画 2019」を策定し、創業100周年にあたる2019年に「アジアNO.1の流通・生活支援ソリューションプロバイダー」として、各ステークスホルダーの満足度をダントツにすることを目標に、「よりグローバルに」「地域と生活により密着しながら」をテーマに事業を展開している。今回の連携にもこのような背景が伺える。

 大阪府とヤマト運輸は、「包括連携協定」を締結することで、それぞれが有する人的・物的資源を有効活用することで社会課題を解決し、地域活性化と府民生活の向上に取り組んでいくそうだ。これまでにも岩手県や京都府などと連携し、地域の活性化に向けた取り組みを行ってきたので、今回の大阪府との連携も期待が高まっている。

7つの分野での連携と期待される効果

7つの分野での連携と期待される効果   ▲左 「もずやん」がデザインされた宅急便BOX 右 「もずやん」がデザインされた送り状

 7つの分野での連携による具体的な取り組みは以下の通り。

1.府政のPR(ご当地宅急便BOXや送り状政策)
 大阪府の地図や大阪府広報担当副知事「もずやん」がデザインされたご当地宅急便BOXが、府内のヤマト運輸営業所で販売される。また、「もずやん」がデザインされたご当地送り状をヤマト運輸営業所や宅急便の受付窓口である取扱店、宿泊施設で使用することで、全国に向けて大阪府をPRする。

2.地域活性化
 観光客の利便性向上のために、JR難波駅に直結し、手荷物の発送や一時預かりなどのサービスを行う「クロネコヤマトOCATセンター」において観光パンフレットの配布などの観光案内にサービスの提供を行う。また、大阪産のパンフレットをヤマト運輸営業所に掲示したり、府内の生産者や事業者の方が海外とのビジネスを積極的かつ安心して展開できるように輸出支援セミナーや海外バイヤーとの商談会を共同開催で行い、国内外への販路拡大を支援する。

3.雇用促進
 宅急便・クロネコDM便の仕分け業務などの職場体験を通じて、障害者の自立支援を目的とした雇用促進を府と連携して行う。また、女性や若者の職域が拡大するように雇用の環境整備に取り組む。

4.防災・防犯
 災害時における救援物資の輸送協力や、ヤマト運輸のセールスドライバーが道路の異常等を発見した際に、関係行政機関に報告し、早急に対応することで災害対策の向上に努める。また、ヤマト運輸の営業所を「こども110番の家」として活用し、府民の安全・安心な暮らしの確保に努める。

5.人材育成
 府が開催するイベントや幼稚園・小学校などでヤマト運輸の社員が「こども交通安全教室」を実施することで、こどもたちに交通ルールや交通安全の知識を伝える活動を積極的に実施する。また、ヤマト運輸の施設見学など、児童養護施設のこどもたちの職場体験の受入を府と連携して取り組む。

6.福祉
 ヤマト運輸の社員が「認知症サポーター養成講座」を受講し、認知症に関する正しい知識の習得に努め、支援に取り組む

7.環境
 リヤカー付き電動アシスト自転車や台車、天然ガス自動車などを活用し、環境にやさしい集配やエコドライブを推進する。

 今回の連携は、特に大阪産の商品を扱っているEC事業者にとって見過ごせないものになるのではないだろうか。なぜなら、今までは何の特徴もなかった宅急便BOXが、今回の連携によってキャラクターがデザインされたものになるからである。EC市場が急激に拡大している昨今の状況では、このような少しの違いが競合との差別化につながるだろう。ECは、地域を限定せずに、商品の販売を行えることが強みではあるが、だからといって「地域」というものを完全に捨て去ってしまっては勿体無い。視野を広げ、活用できることは積極的に取り入れてみてほしい。

 また、大阪府は今回同時に佐川急便株式会社との包括連携協定も締結している。大阪府と2社の連携により、社会問題の解決と、さらなる地域の活性化につながることは間違い無いだろう。


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