Yahoo!のイズムを胸に、無料の新生R∞発進!

ECのミカタ編集部

 “eコマース革命”から約3年後、Yahoo!がまた動いた。この動きは、EC業界において“一種の革命”となりそうだ。

 本日ヤフー株式会社(以下、Yahoo!)が、9月14日(水)(※予定) にYahoo!ショッピング上でマーケティングオートメーションツールを展開することを発表した。その名は「STORE’s R∞(ストアーズ アールエイト)」。こちらのツール、ヤフーが提供する「PRオプション」利用事業者限定で無料で提供するという。

Yahoo!ショッピングストアに向けて「STORE’s R∞」提供

Yahoo!ショッピングストアに向けて「STORE’s R∞」提供

 2016年、Yahoo!は大きく分けて4つの戦略を立てている。それは、ロイヤルカスタマーの醸成・集客の大幅増・販促施策の拡大・お客様からの信頼である。この戦略を実行した2016年度第1四半期決算では、ショッピング事業取扱高が999億、前年同四半期比37.9%増と大幅に成長している。

 今回リリースが発表された「STORE’s R∞」は4つの戦略の中の、主としてはロイヤルカスタマーの醸成、そして集客の大幅増の施策である。また本サービスは、Yahoo!ショッピングを取り巻くYahoo!プレミアム会員・Yahoo!JAPANカード会員・Tポイント会員ソフトバンク契約者のうち、Yahoo!プレミアム会員・Yahoo!JAPANカード会員に特化してロイヤルカスタマーを醸成していく。

写真は、今回お話いただいた、(右から)ヤフー株式会社 五十嵐 雄斐氏、平田 源鐘氏、常澤 邦幸氏である。

Yahoo!2016年度第1四半期連結業績、詳しくはこちら

 また、2015年度第4四半期決算にて、プレミアム会員のショッピング取扱高シェアは、57%と半数以上を占めていることが分かった。2014年度第4四半期では43%だったため、プレミアム会員向けの施策はロイヤルカスタマーを醸成したと言えるだろう。そして「STORE’s R∞」を利用することで、さらにプレミアム会員のYahoo!ショッピング取扱高シェアの成長が見込まれる。

Yahoo!、EC業界を天下統一?

新サービス「STORE’s R∞」とは?

新サービス「STORE’s R∞」とは?「STORE’s R∞」分析・効果検証画面

 では「STORE’s R∞」とは、一体どのようなサービスなのだろう。元々「R∞(アールエイト)」というマーケティングオートメーションツールを株式会社デジミホ(以下、デジミホ)が開発・提供していた。今まではマーケティングツールを個々で運用していたため全体像が見えにくいといった問題があった。しかし「R∞」はメール・広告出稿・顧客分析・販売分析・ROI管理・顧客育成シナリオ・アクセス解析・ウェブ販促・アプリプッシュといった機能を一元管理することにより、全体像の把握と自動配信を実現しているのだ。

 そして、2015年にデジミホをYahoo!子会社のバリューコマース株式会社が同企業を買収した。そこから、Yahoo!が「R∞」をYahoo!ショッピングストアのために特別パッケージ化を図り、提供するのが今回新しくリリースする「STORE’s R∞」なのだ。

 「STORE’s R∞」とは、これまでYahoo!ショッピングの機能では実現していなかった、リピーターなどセグメントを取りクーポンやお知らせを商品ページ上でPUSHすることができるサービスである。自社ストアの顧客を分析し、“誰に何をいつ”といった最適な施策を自動配信することができる。そして、その施策を効果検証しながら顧客育成のPDCAを回すことができるのだ。施策の設定は3ステップと、比較的手間をかけることなく始めることができる。本サービスは、モール初、無料で提供される既存顧客を維持・育成する「リピート顧客育成ツール」である。

 そんなツールが9月14日(水)(※予定)にリリース、「PRオプション」利用者限定に無料で提供される。PRオプションとはYahoo!ショッピング内の検索を上位にするための広告商材であり、一定の売上を上げているストアに提供されている。そして、現在は約10,000ストアが利用している。

STORE’s R∞の効果的な活用方法はこちら

Yahoo!「STORE’s R∞」、3つの機能

 「STORE’s R∞」の最大のメリットとして、1人1人に最適な接客が可能になることが挙げられる。ここでは具体的な3つの機能を紹介しよう。

①アラート機能
「リピート限界アラート」
 ストアごとにリピートする確率が著しく低下する、リピート限界値を設定する。そしてそこのラインを超えそうな顧客をアラート表示し、注意喚起することができる。リピート購入しやすい時期に行う、攻めのアラート機能なのだ。

「顧客ランクダウンアラート 離反アラート」
 顧客ランクダウンもしくは離反してしまう会員を購入時期で定め、黄色信号や赤信号で視覚的にも分かりやすく、アラートを表示し注意喚起することができる。顧客ランクダウン・離反を防ぐための守りのアラート機能なのだ。

②優良顧客に絞り込んだ施策
 Yahoo!プレミアム会員やYahoo!JAPANカード会員といった顧客価値の高いユーザーにセグメントする。そして「Yahoo!プレミアム会員に、特別クーポン」「Yahoo!JAPANカード会員に限定セール」といった施策を打つことができる。そのため、価値の高いユーザーのリピーター化が可能だ。

③最適なタイミングで施策を投下
 既存顧客の属性を「リピーター」や「離反しそうな顧客」にセグメントする。そして「“あなただけに”特別セール」「“再購入”お客様限定クーポン」といった施策を打つことができる。顧客に合わせて、最適なタイミングで施策を打つことができるため、リピーター育成に効果的である。

 これらの機能を利用し、顧客分析・施策の実施・効果検証など1人1人にアプローチを行うことによって、売上アップに直結させることができるのだ。

次のページ「さらに新機能をリリース?これだけでは終わらない」

Yahoo!、今後の展開

 Yahoo!は、「STORE’s R∞」リリース後も機能を増やしていくとしている。

 現状、既存ストアクーポンを配信することができるが、制限も多くなっている。しかし「STORE’s R∞」ではバナーの出し分けができる他、ABテストや効果測定も行うことができるようになる。そしてその後10月中旬頃には、クーポンシステムと連携をし、「STORE’s R∞」上でクーポンも配信可能にすると発表している。そうなると、マーケティングオートメーションツールながら、その可能性は大きく広がっていくことだろう。

 今までは、キャンペーンを行ってもリピーターにある顧客は少なかった。なぜなら施策実施対象のセグメントが出来ずに、来訪客全員が対象になっていたからだ。

 しかし「STORE’s R∞」は、Yahoo!プレミアム会員やYahoo!JAPANカード会員などにセグメントすることが可能になる。そのため、優良顧客にセグメントすることでリピート率が上がっていく。そしてリピート率が上げると、売上も上がっていくだろう。

 Yahoo!ショッピングで提供されるマーケティングオートメーションツールの「STORE’s R∞」。今後多くの店舗のマーケティング施策を支えていく存在になっていくことだろう。モールでは初の試み。これがYahoo!の“革命”である。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事