東南アジア越境EC進出の鍵「台湾」攻略②インフラ事情と越境ECの課題
越境ECに挑戦したいとは思いつつも、情報が少なく、なかなか挑戦できないというEC事業者も多いのではないだろうか。そして、やっと得た情報も、果たして正しい情報なのか怪しい部分もある。そこで、ECのミカタは、実際にEC市場として注目されている国に向かい、その国の最新の市場について調査してみた。
第二弾は、第一弾の「台湾の国民性から見る日本企業参入のヒント」で紹介した内容を踏まえ、「台湾のインフラ事情そして越境ECの課題」について紹介していく。
東南アジア越境EC進出の鍵「台湾」攻略①国民性から見るヒント
(https://www.ecnomikata.com/ecnews/10130/)
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(http://ecnomikata.com/knowhow/detail.php?id=11225)
台湾のインフラ事情から見る越境ECの課題
ここ何年かで台湾では、企業のEC事業への参入が増加し競争が激しくなっている。前回の「台湾の国民性から見る日本企業参入のヒント」でも台湾のEC市場の伸びについてふれたが、2014年のEC市場規模は小売業市場の22%を占めるなど、益々これからの成長を期待できる。
国内ECは着実に普及してきているとのことだが、インフラ事情はどのようになっているのだろうか。
①インターネット
インターネットインフラはしっかりと整っており、台湾全土の観光地や公共施設などにも無料のWi-Fiが完備されている。また、2015年のスマートフォンの普及率は73.4%、タブレットPCの普及率は32%となっており、気軽にECを楽しめる環境であることが、企業のマーケティングにも影響している。
②物流
同じ市内間の配達であれば最速3時間で届くほど発達している。台湾はテレビのチャンネルが100チャンネルくらい存在しており、テレビ通販が人気であるため、それに対応したBtoCの物流が出来上がっている。荷物の受取はコンビニでの受取が多い。日本の物流企業が介入しており、ヤマト運輸が市場の5割を占めている。
③決済
国内ECサイトの支払いには、クレジットカード払いかコンビニ払いが多く利用されている。越境ECでは、クレジットカード払いが主流となるため、クレジットカードをもっていないまたはクレジットカード払いに不安を感じている消費者のカゴ落ちの原因となっており、後払いへの対応が求められている。実はこの決済が、台湾向け越境ECをいまひとつ成長させない要因となっているのだが、今年8月に、台湾法人:築巢科技行銷股份有限公司が、台湾で唯一となる後払い決済サービス「後付款」(AfterPay)の提供を開始した。(https://ecnomikata.com/ecnews/10147/)これにより、台湾の越境ECが今後どのように変化していくのか注目である。
台湾は、インフラが整っているためにアジア諸国の中でも越境ECを行える数少ない国だ。そんな台湾内では、どのようなECモールが人気なのだろうか。
台湾で人気のECモールは日本あのモール?
台湾でも、日本国内でおなじみのECモールが人気を集めている。
①Pchome商店街
他のモールよりも比較的早く2000年にEC市場に参入し、会員数は1400万人にも及ぶ。BtoCのPchome線上購物、BtoBtoCのPchome商店街、CtoCの露店拍売を展開。システム利用料は売上の2%と、安価なのも特徴的だ。
②Yahoo!超級商城
2005年に台湾EC市場に参入、BtoCのYahoo!奇摩購物中心、BtoBtoCのYahoo!奇摩超級商城、CtoCのYahoo!奇摩拍賣を運営している。日本のヤフー系列企業ではなく、アメリカのグループ会社であり、台湾ではナンバー1インターネット通販企業である。
③樂天市場
2009年に日本から台湾EC市場に参入。出店者のサポートを完備、日系商品を好む台湾消費者に新しい消費体験を与え、台湾で大きく成長した。顧客の3/4が女性であり、ファッションやグルメ商材が特に人気となっている。
上記以外にも様々なECモールが台湾で展開されており、その競争は激化している。日本のEC事業者が注目すべきポイントとしては、やはり日本発のECモールである「樂天市場」だろう。EC事業者は、「樂天市場」のプラットフォームを利用することで比較的手軽に台湾への出店が実現できる。
中国向け越境EC行うテストマーケティングの場としても注目される台湾。そのため、アジアへの進出を考えているEC事業者にとっては「樂天市場」への出店というのも方法のひとつとして考えられるのではないだろうか。
台湾EC事情まとめ
台湾攻略と題し、これまで①台湾の国民性から見る日本企業参入のヒント②台湾のインフラ事情そして越境ECの課題の二軸で、台湾のEC事情について触れてきた。
台湾はアジア諸国の中でも特にインフラが整っており、台湾内にて複数モールも展開されているが、越境EC市場としては大きな課題があった。それが、決済だ。台湾では、コンビニ決済やクレジットカード決済が主流であり、越境ECに必要とされる後払い決済が普及していなかった。
そのため、今までは台湾の消費者が越境ECに対し積極的になれる環境ではなかったが、後払い決済を提供する企業の登場により、来年には、台湾の越境ECの環境も整い、また違った台湾を見ることができるのではないかと期待している。
2回に分けて紹介してきた台湾のEC事情については、PDF資料のダウンロードが可能だ。(http://ecnomikata.com/knowhow/detail.php?id=11225)来たる2017年、EC業界全体にとって越境ECは現在よりももっと身近なものになっているかもしれない。