台湾EC市場へ新しい決済の提案、築巢科技行銷股份有限公司が後払い決済サービス「後付款」開始

ECのミカタ編集部

 インフラが整っていることから、中国進出前のテストマーケティングの場としても注目されている台湾EC市場。しかしあと一歩、越境EC市場としては”決済”の機能が足りていなかった。そこで、今回、台湾法人:築巢科技行銷股份有限公司の後払い決済サービス「後付款」(AfterPay)が開始されることになった。それにより、台湾の越境EC市場はどのように変化してくるのだろうか。

台湾のEC市場の盛り上がりと課題とは

 日本企業への台湾・東南アジアEC進出支援を行う株式会社トライリンクアジア(以下、トライリンクアジア)は、築巢科技行銷股份有限公司(以下、築巢科技行銷)と業務提携を行うことで台湾向け越境ECにおける、台湾で唯一の後払い決済サービスとなる「後付款」の日本総代理店として提供を開始した。

 なぜ”台湾EC市場向け”の後払いサービスなのだろうか。その答えは、台湾のEC市場規模の伸びと国民性、そして台湾が抱える越境ECの課題にある。

2013年台湾EC市場規模推移、単位:億台湾元(出典:台湾産業情報研究所)

 上の図は、台湾産業情報研究所による「台湾EC市場規模推移」のグラフだ。このグラフによると、台湾のEC市場は年15%の成長を遂げており、2014年のBtoCそしてCtoC市場を合わせると8,833億元(日本円でおよそ3兆5千億円)に達している。ちなみに、同年の日本のEC市場規模(BtoC)は12.8兆円であった。

 このように、EC市場で急激な成長を遂げている台湾では、企業のEC事業参入が増加し競争が激しい。台湾のEC事業が伸びている要因のひとつとしては、台湾の女性の社会進出が一般的なために共働きの夫婦がほとんどであり、お金は持っているものの買い物に行く暇がないという人達が多いことがあげられる。

 しかし、台湾内の決済方法としては、クレジットカードではなくコンビニでの商品受取支払いや代引き支払いなどのいわゆる現金決済が主流であるため、クレジットカードでの決済がほとんどである越境ECは、台湾の人々にとってハードルが高く、カゴ落ちに繋がりやすい。

 そこで、今回築巢科技行銷の後払い決済サービス「後付款」 が、越境ECのハードルになっている決済をフォローする。

築巢科技行銷「後付款」開始で何が変わるのか

築巢科技行銷「後付款」開始で何が変わるのか台湾後払い決済サービス「後付款」の流れ

 上の図は、「後付款」流れを表しているものであり、EC事業者は注文情報を築巢科技行銷へ登録し、「②審査依頼」と商品発送後の配送伝票番号を登録する「⑤出荷報告」のみで、「後付款」サービスを利用することができる。

 「後付款」 を利用することで、台湾への越境ECを考えているまたは既に展開している日本のEC事業者にとっては、越境ECの課題である「クレジットカード決済しか選択できない決済方法」によるカゴ落ちを防ぎ、これまで越境ECで後払い決済が利用できなかったために獲得することができなかった顧客の囲い込みを行い、売上を上げることができる。

 また、EC事業者が後払い決済を導入するにあたり不安に思うことといえば、代金未回収のリスクだろう。しかし、万が一、購入者が商品代金を払わなくても、築巢科技行銷が商品代金を立て替えてくれるので、EC事業者は安心して顧客満足度を最大限に引き上げる施策に取り組むことができる。

 では実際に、「後付款」を導入する企業は何を決め手にして、今後の台湾EC市場をどう見ているのだろうか。

「私が導入を決めた理由」後払い決済の重要性

 今回、「後付款」 を導入するティーライフ株式会社(以下、ティーライフ)にコメントをいただいた。ティーライフは、特定の商品を何度も購入してもらう単品リピート通販モデルの加盟店であり、ダイエット関連の健康食品などを販売している。

ーサービスを導入することの決め手と目的を教えてください。

 「現在、ティーライフのECサイトで利用していただける支払い方法はクレジットカードのみとなり、支払い方法が”代引き”がメインの台湾においては、支払い方法の拡充が売上拡大につながると判断し導入しました。」

ー今後、台湾の市場はどのように発展していくとお考えですか?

 「台湾は中国本土と違い、越境ECに関する規制が多くないところが魅力的です。また、同じアジア圏のため商品との相性も良いです。今はまだECで物を買う人は若年層が多いですが、今後は年配層もECで購入する割合が増えていくと考えておりますので、越境ECはより拡大していくと考えております。」

 また台湾では、インフラが整っていること以外にも、SNSが普及していることからwebマーケティングがしやすいことなど、越境EC市場に向いているポイントがいくつもある。しかし、今まではあと一歩、”決済”について踏み込めていなかった。

 だからこそ、台湾の人々にとっては越境ECをしやすい、日本のEC企業にとっては越境ECでの売上を上げることができる、そんな両者にとってメリットの大きい「後付款」 に注目してみてはいかがだろうか。

 今後の台湾での越境ECにどのような影響を与えるのか、台湾の越境ECがどのように変化していくのか、見逃せないサービスとなりそうだ。


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