グッドデザイン賞から学ぶ、現代のEC戦略必勝法

ECのミカタ編集部

 先日、グッドデザイン賞が発表された。

 受賞したデザインの中には、ECサイトの商品も多数ある。今回は受賞作品からいくつかピックアップして、人々に注目される商品のポイントを探っていく。

グッドデザイン賞とは?

 グッドデザイン賞とは、世の中の様々な事象から「よいデザイン」を選び、表彰する「総合的なデザインの推奨制度」のことである。この賞を受賞したデザインは人々の注目を集めるため、応募総数は約3,600件にものぼった。対象はあらゆる領域に渡っており、人々の暮らしや産業、そして社会全体を豊かなものへ導くことが目的である。2016年度版は現在、グッドデザイン・ベスト100まで選出されており、特別賞各賞は10月28日に発表される。

 2016年の受賞したデザインを見ていると、洒落ている机や椅子から、一冊しか本が置かれない本屋、イベント活動など、多岐に渡る。今までになかったような、社会を豊かにするような、そんな印象のデザインが並んでいる。そこでグッドデザイン賞を受賞したECサイトに注目し、この賞から人々や社会から好まれるECサイト商品のポイントを読み解いていく。

良品計画「いつものもしも」

受賞対象名:活動 [無印良品 いつものもしも]
事業主体名:株式会社良品計画
分類:個人・公共向けの意識改善
受賞企業:株式会社良品計画 (東京都)


 「いつものもしも」とは、株式会社良品計画(以下、良品計画)が主催する防災プロジェクトである。実店舗の「無印良品」やECサイト、他社との取り組み、イベントの出店を通して、防災の日常化や備えを啓発している。ECサイトでは、もしもの際にあれば便利な商品を紹介し、そのまま購入まで完結できるようになっている。

 コンセプトとしては、普段(いつも)利用している日用品が、いざ(もしも)という時に防災グッズになりうることを想定した提案をしている。日常の道具が防災用品になるため、デザインもしっくりきて安心感を生んでいる。この活動を通して、防災グッズを日常に取り入れる「安心」を与えているのだ。

チカク「まごチャンネル」

セットトップボックス [まごチャンネル]
事業主体名:株式会社チカク
分類:生活家電
受賞企業:株式会社チカク (東京都)


 「まごチャンネル」とは、祖父母の自宅のテレビに、まご専用のチャンネルを追加するコミュニケーションに特化したサービスである。受信ボックスに電源ケーブルとテレビに繋ぐケーブルをセットするだけで完了する。普段のテレビリモコンで操作を行うため、特別構えることなく、離れた孫が祖父母の生活に溶け込むことができる。

 祖父母と親子の同居率は30年間低下し続けている。そんな中、より多く孫の顔や成長を見せてあげたいという想いから、まごチャンネルは誕生した。この商品を使えば、離れている祖父母と孫の気軽なコミュニケーションが実現し、家族間のつながりをより濃いものにする。

静岡木工「かみさまのたな」

神棚 [かみさまのたな]
事業主体名:有限会社静岡木工
分類:生活・日用品、雑貨
受賞企業:有限会社静岡木工 (静岡県)、マグ デザインラボ (静岡県)


 生活に馴染むように、丸いシルエットで「包容力」と「親近感」を実現している神棚である。最小限のお祀りの形式を用いて、現代人の忙しい日々の中でも毎日に感謝できるデザインだ。洋の文化が浸透するにつれて人々の生活もスタイルを変えてきた。そして変化に応じて家具や仏壇もサイズや形を変えてきたが、「神札は祀りたいが、暮らしの中に祀れる神棚も場所もない」という家庭が多くあるのが現状だ。その中で、家庭でお祀りできる最小限の条件をクリアした、かみさまのたなが誕生した。

 人々はこの神棚を取り入れることで、今の生活にプラスした「神様のいる暮らし」を実現することができる。


これらの受賞デザインから見えてくる、ECサイトに今求められているコトとは?

「モノ」ではなく、「コト」を売る姿勢

「北欧、暮らしの道具店」より、ティッシュケース

 以上、3つの受賞デザインを見てみると、共通したものがある。

 それは、「商品があることによって、豊かになる生活を提案している」ということだ。あくまでもECサイトで「モノ」を売るのではなく、「モノ」を手に入れて取り入れた先の暮らし、つまり「コト」を提供しているのだ。消費者もデザインが良い商品を購入するというよりも、デザインが良い商品を購入することで得られるコトを重視している。

 これは“安心”を提供している良品計画「いつものもしも」や“コミュニケーション”を提供しているチカク「まごチャンネル」、“神様のいる暮らし”を提供している静岡木工「かみさまのたな」、全てに共通している。

 現在「モノ」消費から「コト」消費に移り変わりつつある。ただECサイトにて商品を販売するだけでなく、商品によって感じることができる感情や生活、豊かさを提案する必要があるのだ。そして、それが消費者の心を掴み、購入へと繋げていく。

 コトを提案しているECサイトとして代表的なのが、株式会社クラシコムが運営している「北欧、暮らしの道具店」だ。このECサイトの売りはメディア型というところにある。

 1つの商品にピックアップして、その商品がある暮らしを文章にて提案している。そして気に入ったらそのまま購入できる仕組みだ。生活に華を添えることを想像させるシンプルな写真と、キャッチコピーたち。購入して商品を利用して生活した際の、胸のトキメキが想像できるはずだ。

 今回グッドデザイン賞を受賞した企業において「コト」重視の傾向が見られるとおり、今ECサイトは消費者が商品を利用するイメージを膨らませ、提供することが求められているのではないだろうか。

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