動画 、メール対応の本当のところ【現場レポその1:ECのミカタセミナーフェア】

ECのミカタ編集部

セミナーフェア

2016年10月18日(火)開催、ECのミカタセミナーフェア「パルコが教える!購買心理を踏まえた売上アップ方法」の現場レポート。その1ではGlossom、ラクスの2社の講演内容をご紹介。その2ではパルコ・シティ、その3では日本郵便、ecbeingと続きます。

脱プラットフォーム依存!動画を活用したSNSマーケティング

脱プラットフォーム依存!動画を活用したSNSマーケティング

講師:Glossom株式会社 中村陽祐

 EC事業者からの声で最近多いのが「今までの方法が効かなくなってきた」という悩みだという。その大きな原因となっているのが2点、1つは「ブラウザ中心主義」、もう1つが「PF(プラットフォーム)依存」だ。

 中村氏は大学で講師をすることがあり、学生に話を聞いていると、今の若い世代はほとんどブラウザで情報を見ていないそうだ。情報を検索するときは、InstagramやTwitterでハッシュタグ検索を行うという話だ。2013年時点のデータ(博報堂調べ)でも、全世代のインターネット接触時間のうち、SNSが78分、ブラウザが50分、そして動画が50分という結果になっている。インターネット利用はブラウザではなくまずSNSという傾向は、2016年現在では更に進んでいるものと思われる。そういった状況の中で「ブラウザ中心主義」のECサイトであれば、当然売上は伸び悩むことになるだろう。

 「PF(プラットフォーム)依存」に関しては、これを脱却した有名な例が「北欧、暮らしの道具店」だという。「北欧、暮らしの道具店」では、従来PFに依存していた部分の施策を自ら手がけることで、売上と利益率を共に改善させた。具体的には、家具の扱いが多かったことから、写真映えする家具はInstagramに向いているという判断で、Inatagramを入り口として誘導先のウェブブラウザを最適化した。Instagramは、雑誌に置き換わるメディアとも言われている。PFに依存しなくとも自分達でできるインフラは整ってきているので、取り扱い商材によって何が適しているかを判断しながら、活用していくべきだろう。

 以上のようなEC市場の状況を踏まえ、SNSを活用する際に、ユーザーへの浸透度を上げるために有効なのが動画だという。Glossomでは、親会社であるグリーのノウハウを活用した動画広告サービス「WOOZ(ウーズ)」を提供している。文字から静止画、そして動画へと、コミュニケーションの手法は進化してきている。その進化を無視するわけにはいかないだろう。動画というと、これまでは通信速度とコストの問題があったが、技術の向上と需要の増加により、その問題も解決されてきている。

 WOOZの事例の一つとして、大手ホテルグループから、従来のメディアがマーケティングとして効果が出なくなっており、ブラウザではROIが合わないという相談を受けたという事例がある。この場合、顧客データベースから年代を分析、露出するメディアとしてfacebookが最も適しているという判断から、投稿+広告運用でタイムラインに頻繁に露出させ、ファンを増やしていった。普段の投稿は静止画で、ここぞというところでブランディング動画を流し、それを広告にも利用するといった方法で、着実に効果を上げていった。

 しかしこういった動きがあるとはいえ、従来の構造を一から作り直すのはリスクも伴う。そこで中村氏が提案しているのが、従来かけていたコストの中で効果があまり出ていないものの一部を、新しい施策に回してみるという方法だ。最初はコストや手間を小さく始めて、結果が出るとなったら本格的に着手すれば良いという。
 
 WOOZでは、動画制作、タレントキャスティング、運用代行、インフルエンサーPR育成など、動画広告に必要な手配を一気通貫で行っている。また、ニーズの増えてきたSNSに最適化したウェブブラウザへの改善も、今後検討しているそうだ。

ハッシュタグ、ユーザーの購買行動のヒントに(PASTURE調べ)

顧客対応の品質が問われるイーコマースの実情

顧客対応の品質が問われるイーコマースの実情

講師:株式会社ラクス 尾崎一索

 ネットショップの「レビュー」は、大きな影響力を持っているという。少し前になるが、2007年のアメリカで行われた調査によると、ユーザーは商品詳細ページよりもレビューページの方をよく見ている、レビュー書き込みを行う40%の人がリピーター、レビューの中でも注目度が高いのが「スタッフの対応=顧客対応」という結果が出ている。

 ラクスの調査によると、商品の購入決定時、口コミやレビューが気になるという回答は80%以上、中でも女性は90%近くが強く意識すると答えている。また、特に注意すべき点は、良い評価と悪い評価のどちらが気になるかという質問に、良い評価は約30%なのに対し、悪い評価は約70%という結果が出ている。さらに、悪い評価を見て購入をやめた経験のあるという回答は約70%に上っている。

 この調査結果から、口コミやレビューというのはユーザーの購買行動に大きな影響を与えており、顧客満足度を上げることで、悪い評価を防ぎ、良い評価を得ることは、非常に重要なことだということが分かる。

 だが、顧客が満足する瞬間とはどういう時だろうか。顧客満足は、顧客が感じた価値が期待値を上回った場合に生まれるという。それは商品だけでなく、サービスに対しても同様だ。そして、ラクスでは、このサービスの部分において、メール対応から顧客満足度を高めるためのサービス「Mail Dealer」を提供している。

 メール対応において顧客満足度を上げるためには、3つのポイントがあるそうだ。それが「迅速であること」「丁寧であること」「品質が一定であること」の3つだ。だが、スピードと品質というのは両立できるのだろうか。実は、一般的なメーラーというのは、そもそも個人対個人のやり取りに適応したもので、ネットショップの問い合わせ対応には不向きな作りとなっているそうだ。それはラクス自身が課題に感じていたとこで、それを解決するために、もともとは自社で使うために開発したサービスが「Mail Dealer」になる。

 ユーザーが求める問い合わせ対応のスピードというのは、この数年で格段に早くなっている。ラクスの調査によると、メール対応においてどのぐらいのスピードで対応すれば早いと感じてもらえるのかという質問に対し、2011年の時点ではおよそ半日以内だったのが、2014年にはおよそ3時間以内と求めるレベルが上がっているのだ。この背景には、スマホの普及により簡単に商品が買えるようになったことや、大手モールや企業が翌日配達・即日配達といったサービスを打ち出し、それが浸透してきたことなどがある。

 また別の質問では、問い合わせへの回答がなかったり、対応が不快だった場合、91%のユーザーが他のショップで購入を検討すると回答している。つまり、クレームが来るのはまだ良い方で、気付かないうちにお客様が去ってしまっている、機会損失をしてしまっている可能性があるのだ。

 そこでラクスは、問い合わせ対応を改善するための4つのステップを提唱、「Mail Dealer」にもそのための機能が備わっている。その4つのステップとは、1つ目は、対応漏れをなくすこと。そのために、メールの対応状況を管理、メンバー全員で共有できるようになっている。2つ目は、対応速度を上げること。そのために、何分以内に対応するというルールを設定、チェックできるようになっている。営業時間外のメールには自動返信で対応できる機能もある。3つ目は、対応品質を上げること。そのために、よくある問い合わせにはテンプレートを作成し、対応を標準化できるようになっている。4つ目は、特別感を演出すること。そのために、テンプレだけでなく、個別メッセージを添えることも大切だ。ここまでたどり着くためにも、1〜3のステップを滞りなく行うことが不可欠だろう。

 こういった機能を活用したノウハウ、成功企業の事例なども豊富にあるので、問い合わせ対応の改善を考えるEC事業者にとっては大きな助けになるだろう。

メール対応サービス、資料ダウンロードできます。


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