ホワイトクリスマスは売上減?雪と気温とECの関係

ECのミカタ編集部

2016年も残り2週間を切り、年末らしい慌ただしい日を過ごしている方が多いのではないだろうか。特に今週は、ECを始め小売業を営む事業者にとって、年末商戦の追い込みの時期にもあたる。

そんな時期の後押しとなるかもしれない情報がある。それは、気温とネットショップのトラフィックや売上の関係性だ。リアル店舗においては、天気や気温が消費行動に影響を与えることは知られており、「ウェザー・マーケティング」と呼ばれている。だが、ネットショップにおいてはどうなのだろうか。

調べたところ、気温とネットショップの売上に相関関係を示す、ある調査に行き当たった。この調査ではまた、ある天気の日にはネットショップの売上が落ちるという結果も示されている。この調査を参考に、年末から年明けにかけての、天候から見たネットショップの取るべき戦略を考えてみる。

売上が上がる気温と天気の関係が明らかに

 今回参考にしたのは、「Search English Land」というサイトに2013年の7月18日に掲載された「Does Weather Affect Site Traffic&SEM Performance?」という調査だ。この調査の中で、ネットショプのトラフィックおよび売上について気候および天気との関係が示されている。調査は、一年の中で季節と気候が大きく変化するアメリカ東海岸で、家電用品などを扱う小売店において行われた。

 その結果として、天気はウェブサイトの売上にほぼ影響しないが、気温とウェブサイトの売上には76%の相関関係が見られることが示されている。具体的には、気温が高い日ほど売上が上がるというものだ。また、天気の中でも例外で雪の日だけはウェブサイトの売上が低下する(11〜15%)という結果も示された。

 この調査は、華氏10度(摂氏-12.2度)から華氏90度(摂氏32.2度)程度までの温度変化の中で行なわれているようだ。気温以外にも風や湿度などの影響、また商材や国による習慣の違いもあるので、日本の全てのウェブサイトでそのまま当てはまる結果ではないが、この結果から仮説を立て、日本での検証を行うことはできるのではないだろうか。

 例えば、気温の低い日や天気の悪い日は外に出たくないからネットで買い物をするという人が増えそうなものだが、調査結果ではその関係は示されていない。もしかすると、気温が高い日は行動的になりやすいので、外出だけでなくネットでの検索や買い物にも積極的になるのかもしれない。あるいは、外出するためにネット検索をするうちに、ネットで欲しい商品を見つけて買い物につながることが多いのかもしれない。しかし、そうだとしても、雨の日は売上に影響しないのに、雪の日に売上が低下するのはなぜだろうか。雪の日は対策が必要なことが多いので、ネットショッピングどころではないのだろうか。

 こういった仮説を立て、1年、2年と売上との関係性を見ることができれば、自社のサイトだけの貴重なデータを得ることができるはずだ。

参考:Search English Land「Does Weather Affect Site Traffic&SEM Performance?」

年末から年明けにかけての気候と対策

 2016年、東京都心では54年ぶりとなる11月中の初雪が観測された。11月、12月と寒い日が続いている印象だが、年末から年明けにかけての気候はどうなるのだろうか。

 日本でも地域によって気候は様々なので、今回は関東甲信地方に絞って見てみると、12月15日に発表された気象庁の1か月予報(12月17日〜1月16日までの天候見通し)では、期間の前半は気温がかなり高くなる見込みだ(平均気温が高い確率60%)。特に、期間の1週目(12月17日〜12月23日)は気温が高くなる確率が高く(80%)、2週目(12月24日〜12月30日)は、平年並または高い確率がともに40%となっている。

 前述の「気温が高い日の方がウェブサイトの売上が上がる」という仮説が正しいとすると、今週は年末商戦の追い込みをかけるEC事業者にとってチャンスとなる週かもしれない。ただ、冬商材は暖かい日には売れにくいと言われることもあるので、気温の上がり方によっては前に出す商材に工夫も必要だろう。また、25日のクリスマス前後は気温が下がる予報もあるので、冬商材を集中的に推すならこのタイミングが狙い目かもしれない。

 また、集客や商品以外の部分で考えると、例えば、11月の東京都心での初雪の際には、LINEのトーク画面に雪が降る変更が実施された。LINE自体はECではないが、こういった取り組みも参考になる。EC店舗は実店舗に比べて季節による変化がなくなりがちだが、こういった季節感を感じさせる仕掛けも、店舗に賑わいや新しさを感じさせるプラスの効果がある。直接顔を合わせることのないEC店舗だからこそ、こういった点をより工夫していくことも大切だろう。


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