EC業界News1週間まとめ〜楽天決算で国内ECが復調/ペイオニアの本気!越境ECが国内ビジネスの様に手軽に
2/12〜18EC業界Newsをギュギュッとまとめました。
こんにちは。メディア編集部 石郷です。
さて、今週、読まれたのは、こちら。
楽天の河野奈保氏、ECカンパニーのプレジデントに就任
https://ecnomikata.com/ecnews/13535/
楽天、2016年度通期及び第4四半期 決算、発表〜三木谷氏が世界を語る〜
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13509/
その手口とは?あの店の店長、詐欺サイトで注文してみた
https://ecnomikata.com/ecnews/13558/
集客戦略に効果的!EC関連企業のLINEスタンプまとめ
https://www.ecnomikata.com/ecnews/13344/
「A!SMART」が不正対策強化、アミューズが守るブランド価値
https://www.ecnomikata.com/original_news/13154/
楽天の金融事業の好調さがSPUで生きる
今週、注目されたニュースでいうと、楽天の決算なのかなと思います。
2016年の第4四半期の業績のハイライトでいうと、連結売上収益は、2226億円で、前年同期比11.9%、non-Gaap営業利益が305億円で、前年同期比-13.6%((Q4/15のLyftとCarousellの評価益を除く)となっています。
国内ECを見てみると、売上収益901億円で前年同期比14.8%増で、営業利益が204億円で-19.3%となっている。このECと、コミュニケーション&スポーツなどのジャンルも含めたインターネットセグメントでみると、売上収益は1658億円で+14.6%で、営業利益(Q4/15のLyftとCarousellの評価益を除く)152億円でー21.6%となります。
ただ楽天の話すところでいうと、この数字は織り込み済みで、背景にあるのは、カードを使えば4倍、アプリを使えば5倍、といったスーパーポイントアッププログラムを強く打ち出し、まずはお客様が楽天市場を使う機会を増やし、その流通総額を増やす事に専念した事にあります。今はそうやって投資をして、新規顧客の開拓と、休眠顧客の掘り起こし、という部分に焦点を当ててくることで、それが自ずと楽天市場の価値を向上させて行くとしている。あわせて品質保持の施策を打つ事で、安心安全な売り場を構築し、そのリピートを増やすように仕向けて行くのです。
結果的に、エコシステムで恩恵を受けるのは楽天市場、EC
実際のところ、楽天の強みは、楽天市場だけでなく主に、楽天カードなどの金融にもあって、それにより、楽天市場のお客様メリットであるポイント還元などを、そちらの方で必要な範囲で、購入の後押しができるようなフォローをすることで、まわりまわって、結果、楽天市場の動きをよくしていこうというわけです。
それゆえ、売上収益を強調し、その国内EC流通総額が第4四半期では8545億円で14.7%増であることに重きをおくのである。国内ECが堅調な伸びを見せていることから、三木谷氏もその点に関しては、自信をみせたというわけなのだ。ちなみに、2016年自体で見ると、国内EC流通総額は3兆円となっています。
店数も4万4528店舗で、ほぼここ3年間その数字は変わることなく推移していることからすると、急激な伸びというよりは地道にしっかり足元を固めて、一店舗あたりの成長の度合いを大きくさせて行っていることは間違いない。
ここに部分をしっかり支えて行く存在、それこそが河野奈保さん。つい先日、ECカンバニーのプレジデントになりました。モバイルの立ち上げに尽力した彼女が、モバイルでのコマースを担う時代にプレジデントとなるその運命たるや。凛としていて正義感のある、溌剌な河野さんには、どうか、楽天どうこうではなく、EC業界の明日を切り開いてくれると期待したい。
Payoneerの日本進出で越境ECが他県とビジネスする感覚に?
個人的には、Payoneerの動きに興味がありまして、この会社は海外送金の効率化を徹底しています。つい先日、日本に事務所を構え、本格的に日本における事業強化を発表しました。僕は、他国とのやりとりに、限りなく垣根がなくなっていくなという印象を持っています。
海外進出で懸念点となるのは、企業や個人事業主が海外のマーケットプレイスへの出品など、越境ECを行う上で、相手先の外貨で支払われる売上金を受け取る環境が必要だということです。多くの場合は、受取金を受け取る際に、現地での銀行口座の開設を求められ、現地口座の開設には、現地法人の設立や煩雑な手続きがあり、費用も含めて事業者に大きな負担になっていた。それを一手に解決しようというわけなのです。
サービスの内容としては、Payoneerでアカウントが発行され、それにより、外貨で受け取り、そのアカウントで外貨を一元管理し、日本国内の口座に送金できるようになる。これができるのは、同社が世界の銀行と提携をし、磐石とも言える関係性を構築しているので、できることでかつ、信頼感があるからで、その手続きを一気に軽減しているということがあります。
また、ここで集まる様々な中小企業の集合体を、Payoneerでは一つの大きな取引としてやり取りすることで、決済にかかるコストも軽減できます。ここにかかるコストが減少するほどに、海外への展開の敷居が下がりますから、例えば、「日本にいるけど、売り上げのほとんどは海外で」ということがより現実味を帯びてきます。コストが下がりますから、現地にいる様々な支援企業的な存在と組む事も可能となり、ビジネスの幅が広がりそうです。
面白かったのは、Amazonがいい形で連携しているようで、日本のAmazonのマーケットプレイスで、データを取って海外にふさわしい企業をチョイスし、意欲的な店舗には、アメリカのAmazonへ出品を促しているようです。Amazonであれば、米国にも、FBA(フルフィルメントby Amazon)がありますから、出荷やそこにまつわるカスタマーサービスは、お手の物です。Payoneerにより、そこにかかる送金のコストも下がっているので、より国内と変わらないフラットな環境、とまではいかなくても、出品がしやすい環境は訪れます。
どうでしょう。売り先の幅が広がり、ビジネスの幅が広がり、すると、今まで埋もれていた商品にも光が当たるかもしれません。売り先は、より世界を見据えたものになって、ECの販売がよりボーダレスになったイメージを思い浮かべることができないでしょうか。
ネット企業は、社員の意識も大事。メイクショップの事件は次のページで
詐欺サイトについてどれだけ真剣に考えていますか?
そして、もっと店舗の現実に向き合いたくて、いろんな声を聞くように最近は心がけているのですが、気になったのが、詐欺サイトの話でした。ゲキハナの店長古屋悟司さんが、自分が運営するサイトで被害にあったお客様の報告を聞くや否や、「詐欺サイト」で購入してその実態に迫るその姿勢に、胸打たれるものがあり、記事を書きました。
ポイントはシンプルで、何も特別、テクノロジーを駆使しているわけではなく、人間の心理をうまく利用しているのです。複数モールで販売している、お店であれば、ひとつの店舗で商品が売り切れしたら、他のその商品をGoogleで、検索するわけです。商品名をそのまま、その詐欺サイトがわざと使うから、Googleはその詐欺サイトこそが、検索をしている人の声に応えるものと認識して、上に表示され、まんまと騙されてしまうというわけです。しかし、人間の心理といったように、クレカ決済がなく、銀行振込だったり、振込先が中国人の個人名だったりと不思議な点も多いので、そこらへんのお客様のリテラシーを高める工夫が大事かと思われます。
また、モール側もモールで販売した商品がいとも簡単に詐欺サイトで販売されないような、セキュリティを万全にすることもまた、使命なんじゃないかなと思ってみたりもします。
メイクショップで元従業員が情報を持ち出し
加えてもう一点、MakeShopで一部元従業員が情報を持ち出したというニュースが、ありました。中身は、店舗の運営者情報 28,001件(ショップID、企業名、住所、電話番号、運営者名、メールアドレス)のうち、13,495件の店舗で、売上に関する情報(ショップID、商品数、平均商品単価、ショップ会員数、月間流通額、月間注文数)が持ち出され、あわせて同社代理店様の担当者情報 4,579件(企業名、住所、電話番号、担当者名)、同社主催のセミナー参加者情報 220件(企業名、住所、電話番号、氏名)となっています。
今後は、外部記録接続不可能とする不正対策ソフトの開発や、社員教育の徹底などを行うとしており、同社発表ではすぐにその改善策も同時に示されていたことは、確認できました。その行動にもあるように、大事なのは、この事件を受けての同社の姿勢だと思われるので、そこでの挽回を期待したいと思います。
今日はこの辺で。
また、来週お会いしましょう。
どうか、笑顔あふれる素敵な一週間でありますように。