「ファッションおじさん」に感じる巧みなレコメンド術

ECのミカタ編集部

 AIとおじさん。いや。おじさんのAIというべきだろうか。どちらにせよ温度差のある奇妙なワードの組み合わせである。

 株式会社ニューロープは、ファッションを自動で解析する人工知能『ファッションおじさん』をリリースした。LINEでファッションおじさんに友達申請をしてチャットにファッションスナップを投稿すると、AIを搭載したおじさんが、そのファッションを全力で解析してくれるというもの。さらには着こなし術や類似商品まで案内してくれる。

 ファッションおじさんはニューラルネットワークに基づき、約100万枚のファッションスナップを教師データとしてこれまで学習してきたという。24時間365日、今日もその精度を高めている。おじさんは勉強熱心なのだ。

「ファッションおじさん」にLINEでファッションスナップを送る

「ファッションおじさん」にLINEでファッションスナップを送る

 利用方法としては、ファッションおじさんのLINE@アカウントにLINE上で友達申請する。そしてチャットにファッションスナップを投稿するだけだ。その送られてきた写真をファッションおじさんが数秒で解析してくれる。

 想定される用途としては、着こなしパターンのチェックや、雑誌やインスタグラムで見つけた「気になるコーデ」をアップして類似アイテムを検索する等、欲しいアイテムを探したい時も考えられています。500ブランドからの横断検索で類似品を探してくれるため欲しいアイテムを探したい人には便利な機能だろう。

 写真を送らないと、せがまれるのでついつい可愛がってしまうそうだ。リマインドといえば格好良いが、残念な事にこういうおじさんは現実の世界にも存在する。妙にリアルだ。おじさん以外にも候補はあったそうだが、スタッフ一同どうも愛着が湧いてしまったようで、「おじさん」でのリリースとなったという。

無機質なレコメンドから、温度感のあるレコメンドへ

 ニューロープは今後、この人工知能を自社で展開するファッションアプリ『#CBK』を中心に導入していくとしており、外部サービスに向けたAPIの提供も同時に開始するとした。

 ともすると無機質な印象を与えがちなAIという技術だが、逆サイドにいる温かみのあるキャラクターを採用する事で、その印象をガラッと変えることができる。「ファッションおじさんがオススメしてくれたから購入した」ということも増えてくるだろう。こういった切り口でのレコメンドもあるということをEC担当者は意識しておかなければならない。

 正解のない「ファッション」という分野において、他者の意見や感想に大きな安堵感のようなものを感じるのは理解できる。これまでは店頭のスタッフがその役割を担っていたのだが、その時代も変わりつつある。「人間の仕事」の価値観は少しづつ変化してきている。私の仕事も「ただのECおじさん」から「AI搭載のECおじさん」に移り変わる日が来るのかもしれない。少し怖いが、結構楽しみだったりもする。

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