アマゾンがゲーマーに人気のTwitchを 1000億円で買収
ゲーマーが集合するサイト、Twitch
Twitch(トゥイッチ)はゲーム放送局ともネット版攻略本とも言えるサイトだが、米Amazon.comはアメリカ時間の8月25日、ライブビデオ配信サイトのTwitch Interactiveを9億7000万ドル(約1000億円)で買収することで合意したと発表した。
今回の買収劇の前には、Googleが買収を提示したと報道されたこともあった。スタートしてからわずか3年しか経っていないTwitchへの注目度は、極めて高い。
Twitchの元になったのは、創業者のJustin Kan氏が提供していた「Justin.tv」というサービスだ。自身の生活風景を24時間ライブカムで中継し続けるというシンプルなものだが、そこで発生するハプニングやイベントにユーザーが共に参加するというスタイルが受けて、人気コンテンツとなった。
Twitchでは、ブロードキャスターと呼ばれる一般ユーザーがゲームをプレイする様子を無料でライブ配信することができる。「League of Legends」や「ポケットモンスター」といったゲームのプレイ動画が次々と配信され、見ているユーザーがコメントを書き込んで盛り上がる。人のプレイを見て参考にすることもできるし、買うかどうかを決める参考にもできる。
グーグルがあきらめたTwitchを獲得したアマゾンの幸運
これほどのサービスの買収をグーグルが行わなかったのは、なぜか? ウォールストリートジャーナル紙によれば、独占禁止法に触れるのを懸念したためだという。確かにグーグルがあきらめるとすれば、それくらいしか理由はなさそうだ。本当はTwitchのようなユーザー参加型のライブストリーミングサービスは、のどから手が出るほどほしいはずだ。
ゲーム市場は大きい。ハードも、ソフトも、販売ビジネスもだ。アマゾンもゲーム市場進出を狙って、2012年夏には「Amazon Game Studio」を立ち上げて、自社ブランドでのゲーム配信事業をスタートさせた。また、今年4月にはKindle FireやFire Phoneでの「Fire TV」の販売を始めている。しかし、「これぞ」という決め手に欠けていた印象は否定できない。その意味で、グーグルのあきらめはアマゾンにとっては幸運だったと言える。
アマゾンによればTwitch には7月だけで5500万人以上の訪問者が訪れ、100万人のブロードキャスターによってつくられたコンテンツを、計150億分間以上視聴していたという。
今後、Twitchはアマゾンにとってゲーム販売の重要な戦略的拠点となるだけでなく、巨額の広告収入を稼ぎ出すプラットフォームとなることが予想される。