ペット用品のDeLoreans。リピーターを育むサイト運営とは

利根川 舞

一般的に総合通販系のサイトは単品リピート通販系と比べ、リピート率が低い傾向にある。ところが、多くのファンに愛され、リピータを増やし続ける店舗があるという。「ECサイトの運営は初めてでしたし、最初からリピートしてもらう設計や仕組みができていたわけではありません。」そう語るのはお散歩バッグや犬用ベットなど、ペット用品を扱うDeLoreans(デロリアンズ)の穴澤 賢氏だ。

「自分の欲しいものを作ろう」をきっかけに人気ショップへ

DeLoreans:http://deloreans-shop.com/

「長年犬を飼っていまして、お散歩バッグなどを購入するのですが、デザインや機能的な面で気にいる物がありませんでした。ペットを飼われている方はイメージしやすいと思うのですが、ペット用の商品ってホネのモチーフが付いていたり、リボンが付いていたりと、シンプルで機能的なものがあまりないんです。この商品を作っている人たち、もしかして犬飼ったことがないのでは?と思ったりもしました。

そこで、自分が欲しいものを作ったらいいのではないかと考え、45歳の時に会社を立ち上げました。当時、フリーでライティングやデザインの仕事をしていましたが、ちょうど自分発信で何かやりたいと思っていたタイミングだったというのもあります。」

商品の試作を繰り返し、2015年11月1日にECサイトを開設。オープン当日には商品は完売、100件もの問い合わせがあり、2日目には対応が追いつかなくなってしまった程だという。

「その月にお散歩バッグが100個程売れたのですが、ご購入いただいた方のレビューを見ていると『自分で底板を入れてみたら、さらに使いやすくなった』というコメントを見つけました。次の商品リニューアルの際に対応することも考えたのですが、結局お散歩バッグを購入してくださった方に、底板をお送りすることにしました。利益は大切ですけど、長期的な信頼を得た方が良いのでは、と。

結果、レビューでは「機能的に大満足です」や「こういう散歩バッグをずっと探していて、やっと理想的なものが見つかりました」というコメントをいただくのですが、やはり実際に使った上での声を頂けるのが嬉しいですよね。」

自分が作りたいと思ったものを商品化し、早くも消費者の犬とともに暮らす人々の心をつかんだDeLoreans。2年目以降はもともと執筆していたブログの読者以外にも購入層を広げるべく、セミナーへ積極的に参加するなど、情報収集を行ったという。

スタッフと共に作り上げる、DeLoreansの今

穴澤氏の「自分の欲しいものを作ろう」からスタートしたDeLoreans。規模が大きくなるにつれて、スタッフも増えるわけだが、どのような教育をしているのだろうか。

「今はスタッフが3人います。それぞれ担当している仕事は違いますが、基本的に入社時に欲しい商品を1つずつ支給しています。何故かというと、商品に関する問い合わせがあった時に必ず答えられるように、商品を理解してもらいたいからです。

基本的に僕の考えを押し付けるというよりかは、任せちゃうんですよね、責任は取るから、判断はしてって。問い合わせの返信に関しても、ある程度できるようになってきたら、下手でもいいから雛形ではなくて、温かみのある、あなたのこと思っていますよっていうのが伝わる文章で返すように伝えています。間違ってもいいし、失敗してもいい。ミスは絶対起きることなので、もし起きたら原因を明確にして改善してくれればいいと思っています。

あとは、イベントや商品ページについても僕が独断で決めることは少ないです。自分の意見よりもスタッフの意見の方がいいなって思うこともあります。確かに僕に決定権はありますけど、君らにもあるから、と相談していると、DeLoreansがより良くなるような意見を言ってくれるので、助かっています。」

消費者視点の店舗運営がファンの心を掴む

「イベンドごとも半年後まで計画を考えられるのが理想ですけれど、最近になってやっと半年後のスケジュールまで組み立てられるようになりました。

毎年オープン記念として、ピンバッチにしたものを購入者特典としてプレゼントしています。以前飼っていた富士丸という名前の犬がいるのですが、その子がDeLoreansのシンボルマークになっていて、そのシンボルマークをかたどったピンバッチになっています。セールをするのではなく、付加価値をつける方が良いと思いますね。

今後も、モールなどに出店するのではなく、独自ドメインで身の丈にあった成長をしていければと思います。また、DeLoreansは犬を飼う人々の中では周知されてきていますから、里親募集の啓蒙や保護団体に売上の一部を寄付するなど、そういった支援も続けていきたいと思います。」

所謂ダイレクトマーケティングと言われる通販業界ではオペレーターと顧客との関係構築について語られることも多い。その一方でECにおいては業務の効率化が謳われることが多いが、穴澤氏の話を伺っているとやはり顧客との関係性の重要性を痛感する。

「もし自分であったらどうして欲しいか」という考えが、商品開発にも顧客対応にも一貫して現れている穴澤氏のお話。自分が犬たちと生活する上で嬉しいことはなんだろうか、犬たちはどうだったら嬉しいのか…。その思いが、商品開発や問い合わせ対応にまで根付いている。

”商売人や仕事人”であろうとすると、消費者だった頃の自分を見失いがちだ。その忘れがちな”自分がどうだったら嬉しいのか”を知ることが、消費者の心を掴む第一歩なのかもしれない。

 ECノウハウ


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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