宿泊・旅行業の電子商取引、市場規模は2割増の1.8兆円/経済産業省2013年度調査

EC市場の拡大で伸びる観光産業

経済産業省によると、2013年度の日本国内の消費者向け電子商取引(EC)市場規模は、前年比17.4%増の11.2兆円に拡大した。ECの浸透度合いを示すEC化率も0.6ポイント増の3.7%となり、市場規模とEC化率ともに右肩上がりで上昇している。

ほとんどの業種で前年を上回っているが、宿泊・旅行業・飲食業は22.1%増の1兆8260億円と大きく増加EC化率は1.26ポイント増の7.38%と上昇し、小売業・サービス業では最もEC化率が進んでいる。

このほか、医療・アクセサリー小売業は25.8%増の2200億円、医薬化粧品小売業は20.4%増の6030億円と、市場規模の伸び率が高かった。
企業間のEC市場も4.4%増の186兆円で、EC化率も0.4ポイント増の17.9%に上昇した。
すべての業種においてEC化率が上昇しており、現代という時代を反映している。

電子商取引の伸びは、スマートフォンの普及との関連も強いだろう。旅行関係でネットを通じて購入するものとしては、ホテルや旅館の予約、ツアーの予約、旅の楽しみとしてのレストランの予約などが考えられるが、全体的に底上げになっていると推察される。

外国からの観光客も回復傾向に

今回最も伸びが大きかった宿泊・旅行業・飲食業は、リアル経済にも影響が大きい。観光客が動けば、交通機関も利用するし、土産も買うからだ。車でまわれば、ガソリンも消費する。電子商取引がリアル経済の活性化につながるのだ。

ここ何年か観光産業の低迷の原因となっていた東北大震災が発生したのは、2011年3月11日のことだった。しかし、統計対象年度となった2013年はそれから2年しか経っていないにもかかわらず、回復してきていることを示している。

実際、今年はさらに観光客がもどってきており、新聞報道によるとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のある大阪中心地のホテルの部屋の稼働率は好調で、ホンコン、台湾、韓国、中国といった「なじみ客」のほか、タイやインドネシアからの観光客も増えていると言う。
外国人観光客数の回復は、全国的な傾向だという。

モノは日本から外国へ、お金は外国から日本へ流れる

宿泊・旅行業・飲食業に関する官界の記事としては余談になるが、経済産業省の越境EC市場規模調査のデータは興味深い。
これによれば、日本がアメリカから輸入した金額は1736億円、アメリカへ輸出した金額は4323億円と、モノは日本からアメリカに流れている。
また、日本が中国から輸入した金額は179億円、中国へ輸出した金額は3902億円と、これもモノは日本から中国に流れている。
一方、中国からアメリカへの輸出は2857億円、アメリカから中国への輸出は2857億円だ。

大筋で言えば日本は「売り」が多く、中国は「買い」が多い。日本の方が商品として魅力的なものがそろっていることを示している。
中国は「買い」が多い。国内に魅力的な商品が少ないとも、膨大な人口が必要とするモノを海外に求めているとも言える。
アメリカはその中間といったところだ。

リアルとネットが融合しているのが現代だが、ネット上の取り引きも、外国からの購買も、日本経済の活性化に役立っていると言えるだろう。