アジアのEC利用者は、約半数が顧客体験に満足していない。【UPS調べ】

吉見 紳太朗

(左)UPS ジャパン 代表取締役社長 兼 UPSサプライチェーンソリューション・ジャパン 代表取締役社長梅野正人
(右)UPSアジア太平洋地域 プロダクト&インダストリー・セグメントマーケティング・ディレクター サヒル・ジャギ

国際総合物流サービスをグローバルに提供するUPSは、調査会社コムスコアに委託して実施したEC消費者意識調査「UPS Pulse of the Online Shopper」(以下、本調査)を発表しました。同調査は、今回で6年目。調査対象は、アジア、欧州、米国のEC利用者14,915名を対象にオンラインアンケートを実施。調査結果は、「Constants(常に重要な分野)」「Movers(大きく成長した分野)」「Emergers(今後成長が見込まれる分野)」にまとめられています。

アジアのEC利用者の約半数が顧客体験に満足していない

本調査の結果、消費者のオンラインでの消費体験満足度は、アジアは57%と、米国の85%、欧州の81%と比較して低い結果となった。2015年調査時の46%から11%しか改善しておらず消費体験満足度に大きな課題がある結果になっている。

また、消費者がオンラインで商品を購入するには、PCやタブレット端末、スマートフォン、実店舗とあるが、どのカテゴリーにおいてもアジアの利用者満足度は低い結果となっている。

アジアが、米国、欧州と比較して消費体験満足度が低くい要因の一つとしてジャギ氏の言葉を借りれば、オムニチャネル化に対応できていないことのようだ。

「今後重要なこととして、オムニチャネルがあると考えています。購入体験・購買体験がどのチャネルを使っても一貫している。様々なチャネルを活用した購買をする中で、アジアは他の国より低い57%となっている。言い換えれば、欧米の店舗は、どのチャネルを活用しても一貫した顧客体験を消費者に提供出来ていると言えます。」(ジャギ氏)

日本においても、他のアジア同様58%の満足度と欧米として低くい。今後は、アジアのECサイトでは、どのチャネルにおいても一貫性のある消費体験を消費者に提供できるようにしていくことが、他社との競争優位となるのではないだろうか。

購入後の顧客体験が、今後は、重要になる

顧客体験を向上するためには何が必要なのか。今後は、購入前よりも購入した後の購入体験が重要である。多くの企業が、購入前の顧客体験に注意を向けるが、返品などの購入後の顧客体験に注意を向けている企業は少ないとジャギ氏は指摘している。

本調査の結果、アジアでは約67%もの人が、オンラインストアへの返品に無料サービスを重要視すると回答している。しかし、オンラインで購入した商品を実際に返品した消費者は、10人中4人にもかかわらず、返品時のサービスに「満足している」と回答47%と低い。

また、オンラインで購入した商品を実店舗で返品した際に、新しく商品を購入する「ついで買い」を行った消費者は、69%になる。つまり、利便性の高い返品サービスを実現することは、店舗にとってもメリットになる可能性があるとのことだ。

今後の注目点は越境ECとスマホ対応

今後の、ECにおける消費動向を考える上で、重要なのはスマホと越境ECのようだ。

というのも、アジアでのオンライン買い物客は、スマートフォン利用はますます浸透しているからだ。

本調査の結果からも、アジアでのスマートフォンで注文する買い物客の割合が、2015年調査の、55%に対し、今回の調査では77%まで上昇した。米国の48%、欧州の43%と比較しても高い値となっている。

そのため、消費者がスマートフォンで検索をした時に、検索結果に表示されるためにSEO対策は引き続き重要である。

アジアの、オンライン買い物客の55%が越境ECを利用していることが明らかになったという。

ジェシ氏は、「日本の事業者にとって、今までの日本市場にプラスアルファして、海外へのお客様に商品を購入してもらう必要がある」と指摘している。

どのような時に、国内で商品を購入せずに越境ECを利用するのか? 消費者が越境ECを利用する理由として「国内よりも安い価格で購入できるため」「国内にないユニークな商品を購入するため」「国内では、取扱いがないブランドや商品を購入するため」「海外の方が商品をより安価に購入できるため」が挙げられた。調査の結果から、ECサイトは多様な消費者のニーズに答えていく必要がある。

また、本調査の注目点として、アジアのオンライン買い物客はアジアのECサイトから購入する意向が強いことがあげられる。越境ECを利用した経験がある人のうち、77%がアジアのECサイトを利用したと回答。一方で米国のECサイトを利用したことがある人は31%との調査結果になっている。

ただ、アジア圏の中でも、越境ECの利用頻度には差が出ている。越境ECを利用したことがあると回答した割合が最も高かったのが、香港の82%で、次に中国の64%です。一方、日本は21%にとどまり、国内の商品を好むことが表れている。

実店舗は今後も重要な役割を担っていく

オンラインで消費者が商品を購入することによって実店舗の役割はどのように変わっていくのか。ジェシ氏は、今後も実店舗は重要な役割を果たすと指摘する。

本調査の結果からも、実店舗の重要性として、「商品を手に取る事ができる」「すぐれた顧客サービス」「早急に商品が必要な場合」「独自の品ぞろえ」が挙げられている。ただ、実店舗利用時の満足度においても、アジア47%(日本48%)と米国の65%、欧州の66%と低い結果である。

そのため、ジェシ氏は実店舗での顧客体験を向上させる必要があり、実店舗に来てもらうためには、「ECで購入した商品を実店舗で受け取る」事が重要と指摘している。調査の結果からも、日本の場合ECで購入した商品を実店舗で受け取りした割合は17%と多くはないが、その内56%が、商品を受け取る時に実店舗で「ついで買い」をしたと回答している。

まとめ

今回の調査結果では、一貫してアジアにおけるEC利用者の顧客体験が満足していないとの結果になっている。オムニチャネルが重要だと言われている中、越境ECにおいても海外ユーザーに一貫した顧客体験を提供するためにはどうしたらいいのか。2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピックが開催される日本として、重要な課題だといえるのではないだろうか。

記者プロフィール

吉見 紳太朗

メディア編集部 マーケチーム
17卒 入社後3部署を経験して今の部署に。
サッカーとお酒があれば生きていけると自負してます。
ここ最近、関西出身なのに関西弁でてないと言われたことが悩み中...

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