Amazonフレッシュ開始から1年。Amazonの生鮮食品強化はEC業界をどう変化させるのか

利根川 舞

左:食育インストラクター 和田 明日香氏
中央:アマゾンジャパン合同会社 ディレクター Amazonフレッシュ /Prime Now 事業本部長 白子 雅也氏
右:経済評論家 勝間 和代氏

Amazonが提供している「Amazonフレッシュ」がサービス提供開始から1年を迎える。そんな中、クックパッドやDELISH KITCHENなどとの連携によるサービス拡充、利便性向上のための施策発表した。

プライム会員数1億人突破!強化される食品ジャンル

現在、Amazonプライムは16カ国で展開され、プライム会員数は世界で1億人を突破したことが昨日発表された。Amazonのユニークアカウント数は世界で3億人を超えているが(*)、ユニークユーザーのうち三分の一がプライム会員ということになる。

Amazonプライムのサービスは多数あり、配送でのメリットやAmazonビデオやAmazonミュージックなどエンターテイメントの部分がよく目につくが、近年、展開を強化しているのがAmazonフレッシュだ。Amazonフレッシュは昨年の4月21日に開始し、生鮮食品や日用品を最短4時間でまとめて配送してくれる。

Amazonフレッシュというだけあって、鮮度へのこだわりも強く、川崎にある倉庫は6温度帯(常温・16度・7度・2〜5度・0度・マイナス25度)で管理できるだけでなく、季節によって管理温度が変わる食品も都度温度を変更しているという。また万が一、購入者が鮮度に満足しない場合や、賞味・消費期限の保証期限を過ぎた商品が届いた場合は、対象商品の代金を返金する「鮮度保証プログラム」や「賞味・消費期限保証プログラム」も設けている。

(*)過去1年間で1回以上お買い物をしたアカウント数

ユーザーの声を反映したサービスの拡大

ユーザーから寄せられた声

この1年で蓄積されたユーザーの意見は、新たなサービス展開へ組み込まれ、新たに次のサービスが始動している。

■利便性
・ミールキットや惣菜など、”時短”商品の拡充
4月19日からAmazonフレッシュ内にて新鮮な食材を使ったサラダや惣菜の専門店として人気の「RF1」のパックサラダや惣菜を販売。
・レシピ提案に加えて、レシピサイトからの購入も可能に
4月19日から『クックパッド』の「プレミアム献立」と『DELISH KITCHEN』のモバイルアプリにおいて、それぞれのレシピページから必要な食材をAmazonフレッシュで簡単に注文ができる。

■品揃え
・届いてすぐに調理できるよう、冷蔵の肉や魚(刺身等)の品揃えを拡充
・産地との取り組みを強化
高知県、福島県、埼玉県、栃木県等
・鮮度に徹底的にこだわった商品の拡充
当日精米の米等

■価格
・「今週のマルトク!」を開始
週替わりでオススメの商品を紹介
・「おためし品コーナー」を開始
実質無料で対象商品を提供

スーパーよりも新鮮と感じる品質の高さ

スーパーよりも新鮮と感じる品質の高さ

白子氏の発表後に行われたトークセッションでは、経済評論家の勝間和代氏と食育インストラクターの和田明日香氏も加わりオリジナルレシピの紹介を兼ねてクッキングデモが行われた。

自身もAmazonフレッシュのヘビーユーザーであるという勝間氏。Amazonフレッシュの魅力として、「Amazonは卸から直説Amazonの倉庫に入っているから、届いた時の鮮度が違う」と語る。また、過去には他社のネットスーパーを利用していたが、配送時間の柔軟性の高さからAmazonフレッシュの利用を開始したとのエピソードも披露された。

注目の集まる生鮮食品EC、Amazonは何をもたらす?

注目の集まる生鮮食品EC、Amazonは何をもたらす?アマゾンジャパン合同会社 ディレクター Amazonフレッシュ /Prime Now 事業本部長 白子 雅也氏

利便性の高いAmazonフレッシュではある一方で、Amazonとしては”調達に時間がかかるものなど、注文から消費者の手元に届くまでのリードタイムが長い商品は、すぐに発送できるものよりも売上が落ちており、今後どのようにスピーディーな対応をしていくかが課題であると白子氏は語った。

昨年、経産省が発表したデータによれば、食品のEC化率は2.25%と他のジャンルに比べて非常に低い数値であり、伸び代のある部分だ。2月にはオイシックスドット大地株式会社がらでぃっしゅぼーや株式会社を完全子会社化、3月にはRIZAP社がオフィス向け野菜宅配サービス「OFFICE DE YASAI」と共同販売を発表するなど、生鮮食品、中でも”野菜”への注目度は高い。

莫大な品揃えを誇るAmazonがどれほど食品ジャンルへと貢献していくのか。行く末の気になるところである。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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