潜入&独自考察 ゆうこす語る“共感”の重要性/ヤプリ社長語るスマホの最前線

石郷“145”マナブ(編集長)

 「共感が大事」とその人はいう。言葉の主が誰かといえば「ゆうこす」こと菅本裕子さんだ。わずか20代前半の彼女が800人もの人が詰めかけた、株式会社ヤプリの「モバイルマーケティングアップデート」というイベントの基調講演で、熱っぽく語るのだ。そして、この場に僕はやって来た。

アプリ経由でのECの利用が増加

 その現実こそが今という時代の象徴である。テクノロジーの進化は我々の日常を変化させている。人々のコミュニケーションのあり方にしても、人が影響を持つに至るまでの過程にしても、大きく変えているその原動力は、スマートフォンの持つアプリの力によるところが大きい。

 ヤプリの社長 庵原保文さんは登壇し、こう話している。「アメリカのアップアーニーによればアプリのダウンロード数はここ1、2年で2倍に伸びるというデータもある。特に非ゲームが伸びるといわれており、ビジネス、金融、ショッピングなど日々の生活に近いところが伸びている。現にジャストシステムの毎月の定点観測なのだが、ECを利用する人の数は2017年1月時は43%がアプリ経由であったのに3月では60%となっている。」

 モバイル社会となり、アプリが重要な位置付けになっており、故に、アプリ制作に携わるヤプリの存在感が増していることを彼は語気を強めて話した。

ゆうこすもまたスマホがもたらした時代の寵児

 最初に紹介した「ゆうこす」もまたスマートフォンとその中のSNSアプリを巧みに使いこなし、時代の寵児となった張本人である。基調講演で語った内容は極めて興味深い。この登壇の中でかつての自分をこう例えて表現した。可愛くてぶりっ子で男性が好む「男性向け商材」。

 HKT48に所属し卒業した後、彼女自身もその人気を背景に順風満帆かと思われたがそれは夢を儚く消えた。ゲーム「スーパーマリオカート」を一緒にやるファンイベントを開催すれば、わずか三人しか集まらないという体たらく。おかしい、なぜだろうと理由を模索する中で、彼女はあることに気がつく。それが冒頭話した「共感」だ。

 自らがぶりっ子のまま、男性に向けてそれをアピールし続けてもそれでは拡散は生まれないことに気がついた彼女。どうすれば共感が生まれるのか?と考えた末、“ぶりっ子したいけどできていない”人に照準を定めた。人の目を気にして、内心では可愛くぶりっ子になりたいのになりきれていない、そんな女の子のためだけに発信すれば、共感されるのではないかと仮定したわけだ。

 これが奏功した。そういった気持ちを持った限られた人の中ではあるが「ゆうこすって知っている?」と口コミが広がった。自分たちの想いをSNSを通して体現する彼女に文字通り「共感」して、気持ちを共にするようになるのに時間を必要としなかった。

データが証明する影響力、スマホ新時代到来

 とあるデータを彼女は披露した。いまや“男性用商材”として一方的に発信する彼女の姿はなく、常に彼女の気持ちは読んでくれるユーザー、読んでくれそうなユーザーと共に歩んでいることを証明する数値だ。写真はいずれもInstagramによるもの。片方はゆうこす が感謝の気持ちを伝える投稿で、もう一つは動画で自分の唇にリップを塗って使用感を見せた投稿だった。

 アクション数を見れば歴然だ。感謝の気持ちを伝える投稿は「8752」に対して、リップの使用感を見せた投稿は「81040」と10倍近い差が生まれた。続いて、写真の「発見」の欄を見てもらいたい。感謝の気持ちの投稿では彼女のフォロワーでない人でこの投稿を見た割合は12%しかいなかったのに対して、リップの使用感の投稿は68%となっている。

 つまり、リップの使用感を見せたものはユーザーにとって有益だからこそ、彼女のフォロワーをきっかけにアクションが生まれ、彼女のフォロワーでない人すらも何らかのアクションをし、それが拡散されて、10倍の差を生んでいるのだ。

 自分というカラーを通して、期待を裏切らないキャラクターを形成すること。そして、その上でその影響力をきっかけに、いかにユーザーの気持ちに立って、必要だと言われるだけの情報を提供するかなのだ。だから、彼女はInstagramでも2000文字は書くという。そうするわけは、見るユーザーにとって有益だからであり、目線がもはやメディアである。

 それもこれも、スマートフォンのアプリの中でのことである。これが10年程で出来上がった文化であり、コミュニケーションのあり方、影響力を持つに至るその過程が変わっていったと説明したその中身である。

そしてスマホは未来に向けて何がアップデートするのか?

 この「モバイルマーケティングアップデート」で発表されたところによれば、こうした時代により即応できるように、改良と改善を重ねており、ヤプリとしては大きく3つの領域を考えて開発しているという。

 一つは「オープン化」でヤプリだけにとどまらず様々なサービスと連携を強化して使われやすくすること。二つ目は「アプリ体験」の向上で使いやすくして行くということ。3つ目は「パーソナライズ」で、モバイル時代のCRMにふさわしいOne to Oneのコミュニケーションを推し進めていくことだとした。

 例えば、オープン化においてはイギリスの企業と連携して、アプリがよりエンタメ性に満ちたものになるべくアプリ内でARができるようにした。これによって、アプリ内でカメラが起動して、カメラで特定のものを読み込むと立体的に浮かび上がるようになっているのだ。

 そのほかアプリ内でチャットができるようなった。企業がチャットをしてやりとりをするには会話をコントロールする管理画面が必要とされるが、それにあたって、Zendeskを導入した。

 また、いろんなチャネルをまたいで、カスタマージャーニーして顧客とコミュニケーションして行くことになるわけだが、半年前からセールスフォースのマーケティングオートメーションとの連携をしている。ウェブとアプリをまたいでコミュニケーションをできるようにしたが、それをさらに進化させるために、ウェブ接客のKARTEとの連携が行われた。

 ウェブデータを集めて接客できる強みを持っているKARTEの力を使うことで、アプリでの接客ができるようになるというわけだ。そのほかにも、iPhoneXに対応させるための環境を整えるなど、時代に即応した動きを数々見せた。

EC事業者もまた時代に合わせて“アップデート”できているか?

 今から20年前に生まれたECではあるが、その当時にはこのスマートフォンは存在しなかった。一人一人が当たり前のようにして、このデバイスを持つようになり、よりECとの距離を近くしただけでなく、ECとリアルの距離も近づけ、引いては、お客様の情報を集める端末であり、接客ツールとなった。

 その意味で、このアプリの進化は人々の日常を変える要素を持っていて、またゆうこすのような考えもしなかったようなスターや文化をもたらすに違いない。多くのEC事業者においても時代に即応して是非とも“アップデート”して、時代の覇権を握りたいところだ。

記者プロフィール

石郷“145”マナブ(編集長)

ECのミカタ 編集長。キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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