AKB48がライブコマース進出 アイドルがアイドルとしているだけで満足する時代は終焉!?

石郷“145”マナブ

左から⼩⽥えりなさん・向井地美⾳さん・加藤玲奈さん

 この記者会見に来てみて、改めて思ったのは、今までの当たり前は当たり前でない、ということ。女性アイドルも新しい可能性を模索する時代なのかもしれない。株式会社Candeeは先ほど、ライブコマース「Live Shop!」を活用してAKB48グループメンバーのファッションコンテンツ強化を図り、メンバーが出演するライブコマース配信を6月末からスタートすると発表した。またそれにあたって、AKB48グループを代表して、加藤玲奈さん・向井地美⾳さん・⼩⽥えりなさんが特別ゲストとして登場した。

 ライブコマースは、ライブ配信でメッセージを双方向に発信することができ、かつリアルタイムに購入することができる。マスに対して発信し続けてきたAKB48がなぜにここに取り組む意味があるのだろうか。

ライブコマースにAKB48がチャレンジする理由は?

ライブコマースにAKB48がチャレンジする理由は?「Live Shop!」について説明するCandeeの鍛治良紀氏

 今回の企画においては、AKB48グループが公認するファッションブランドに「UNEEDNOW」と、「Live Shop!」というプラットフォームを活用し、メンバーが「可愛くおしゃれを纏う」をコンセプトに、商品の企画、販売を行うというわけだ。

 具体的には、「Live Shop!」にAKB48グループのメンバーが定期的に出演、ファッションをテーマにした番組をライブ配信し、ライブコマースにあるアンケート機能やコメントを活用して、UNEEDNOWにファンの声を取り入れていこうという。

会見では加藤玲奈さんがレースの服を2種チョイスすると、どちらが良いかを見ている人にアンケートする一幕もあった。

 多くの人が「アイドルがライブコマースをする」という視点だけで見てしまいがちだが、そうではない。AKB48がライブコマースに取り組む意味の回答がそこにあるように思う。これは、アイドルとしての活躍のフィールドを広げるための動きなのではないだろうか。

 もしも単純に今までのアイドルとしての延長戦でみれば、アイドルグッズを販売した方がいいものだ。しかし、敢えて「UNEEDNOW」というブランドを持ってきたというのは、少なからずAKB48のファンのうち、男性ではなく明らかに女性を意識した戦略であるように思う。

アイドルの持つ可能性を最大化させるかもしれないライブコマース

アイドルの持つ可能性を最大化させるかもしれないライブコマース

 つまり、今回の展開は、AKB48の中には女性のファンもいて、そのファンを取りに行っているというわけである。ライブコマースというのはコマースという側面だけではなく、メディアでもあり、ファンと発信者が交流するコミュニティである。

 双方向のやり取りの中で、ファンと発信者との関係性は強化されて行くわけだが、ここに「UNEEDNOW」を持ってきたということ自体が、女性ファンとのコミュニティも強化していこうというわけである。

 AKB48の向井地美⾳さんは自らの背丈の話に触れ、「小柄な人でも可愛く着こなせる服を作れたら」、と話した。アイドルであると同時に、今を謳歌する女性であり、それは貴重な女性の生の声でもある。いかに共感できるかどうかが要となるだろう。

 また、AKB48の中には、いわゆる王道のアイドルの女性もいるが、ファッションなどのクリエイティブに優れた女性も多くいるので、それを育成していこうという狙いも見え隠れするように思う。

 繰り返しになるが、ライブコマースはファンと新たな関係性を構築するメディアとしての要素を持っている。そのことによってコミュニティの可能性をさらに広げるように思う。

以前yappliが開催したセミナーで、ゆうこすが「”男性向け商材”から、女性への“共感””へシフトして、SNSで人気となった」と話していたが、そこにヒントがあのではないだろうか。既存のアイドルのあり方も変わって然るべきなんだろう。AKB48のライブコマース参入にはそんな狙いがあるように僕にはそう思えるのだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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