EC業界News1週間まとめ〜東急電鉄の券売機ATM化は変化の証/決済が重要視される中備えるべき事の本質

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週読まれた記事はこちら。
「プロカメラマンvs素人のスマホ」商品撮影の写真比較。
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【2018年版】Amazonプライムデーの目玉商品の一部が公開!
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ZOZOTOWN買取サービスの顧客対応現場を直撃
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【第9回】半年でCVR6%超え 開店直後のECサイトでやったこと
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既存の当たり前を違った視点で見てみる

つい先日、東急電鉄が「券売機をATM化させる」というニュースが話題に上がりました。切符を購入したりICカードをチャージしたりする為の券売機が、銀行のATM的な感じでお金を引き出せるようになるというわけです。要は、QRコードをかざすと、券売機から銀行に預けているお金を引き出せるというものです。がばっと現金が出て来るインパクトはそれなりにありました。

ただ、実際のところ、巷で聞かれる声はテクノロジーの使い方を間違えているってな声もあり、その意図としては時代はキャッシュレスに向かっているのに現金を引き出せる拠点を増やしてどうするんだって話なわけです。

確かに一理あるなと思っています。
東急の言い分としては、こうでしょう。純粋に考えれば、もう切符売り場がいらないという事なんですよね。駅に当たり前に存在する切符売り場ではICカードですませるわけですから、切符を買うという行為が見られなくなり、その存在意義が失われているわけで、そこを有効活用するための手段。

 僕が思うに、これも全てがデジタルに変わる過程の中での過渡期を示すものかなと。キャッシュレスでありたいけど、まだ日本では現金主義が多い中で、早い段階から券売機の使い道を銀行など金融と連携して模索しておこうって事ではないかと思います。

 東急は比較的、沿線価値を上手に高めてきた実績を見ても、わりと感度は高い方の鉄道会社に思っています。キャッシュレスになるのはわかった上でのことじゃないかなと思うわけです。

 例えばですけど、この東急電鉄の券売機は、QRコードを読み取れるように設計されているわけですから、例えば、LINEやヤフーなどのQRコードによるスマホ決済で処理できるようになってくれば、たちまち券売機はもののキャッシュレスの拠点にもなり、東急電鉄にとっては券売機をフィンテックの拠点にするつもりなんじゃないかなーと深読みしてみたりもしてみます。

 それこそ鉄道が鉄道にとらわれずにあらゆるジャンルに進出するための足がかりにしたいと思っていそうな予感がしていて、お金の部分に目をつけているのはなかなかセンスがいい方なんじゃないかなと思っていたりもします。

次に来るものから、自分たちなら何を備えるべきかを考えてみる

 では、決済ってそんなに大事なの?って思われる方もいるとは思うのですが、僕はそろそろ「決済の時代」が来るのではないかと思っています。去年のEC業界大図鑑でも書きましたが、キャッシュレスの流れになっていき、この裏側にあるには「データ社会」。ここにこの時代の核心があります。

 勿論、キャッシュレスの方が便利だよねという文脈はありますが、どの場面でどのようにお金を使っているかは、その人の属性を浮かび上がらせ、次なる提案を生み出し、そこに新たな価値を生みます。決済をきっかけに各社の囲い込みが始まるはずで、こことキャッシュレスは紐づいて来ています。クレカもそうだし、電子マネーもそう。

 それを持ってして、ECサイトは何を感じるべきかといえば、自分たちでは決済で価値を生み出せないですが、それによって属性に合わせた経済圏ができるので、そこに合わせた訴求の仕方が必要になって来るということ。そして、直接決済ではないように思えるのですが、新たな決済手段の浸透にならい、自分のお客様のデータを大事にしていくという意識が大事なように思われます。

 例えていうなら、自社サイトと各ショッピングモールに出店していて、それらのお客様の情報はきちんと紐づいているかどうか、それをベースにしてお客様にきちんとした提案ができているか、というすごくシンプルな話に至ります。先日も売れているショップの方と話をしていて、意外とそれができているショップが少ないのですという話です。

 これは前回の1週間まとめでも書いた話にも通じますが、リアルでの行動などもお客様の性質を浮かび上がらせる要素であって、そうやってあらゆる角度からお客様を見つめていく気持ちがこれからは大事なんだろうと思います。

 この間、とある人が言っていたのですが、みなさんには馴染みの店があるでしょう。そこでは、時に、皆さんの名前を呼んで、「お久しぶりです!」と店員の方が言ってくれたりしませんか?って話なのです。そこまで関係性ができていると、自然とその店にはよく通いつめているはずなのです。

 では自分の店舗に置き換えて考えてみた時に、「あなたの店で一番よく買ってくれているお客様の名前は?」と聞くと意外と答えられないというスタッフが多いそうなんです。馴染みの店の話で考えれば分かる通り、それができていないということは、お客様もまたあなたの店のことを見てくれていないということかもしれないと。

 この話は本質を突いているなと思いました。

あらゆるものがフラットだからこちらにもフラットな視点が大事

 他にも「はぐくみプラス」さんなどの例を挙げると、彼らは妊活の商品を売っているわけですが、赤ちゃんが生まれたら、お役御免なんです。でも、その後も肌荒れのための商材を提供するなどして、売れているわけです。大事なのは、多分、はぐくみプラスさんが肌荒れの商品をいきなりだしたら、売れないはずなんです。でも、コールセンターのスタッフが誠心誠意、妊活の時にお客様とのやり取りをして、信頼関係を勝ち得ているからこそ、その肌荒れの商品も売れるんだというわけです。

 たとえ、違ったモールなどで買ったとしても、その向こう側にいるお客様はイチ購入者である前に、一人の人間であり、一人のお客様です。

 オムニチャネルなどでリアルとネットの融合が叫ばれたりしますが、もっともっと世の中はあらゆるものがフラットになって、例えば、ネットだけのECサイトにしても、出しているショップ全てが一つのものとしてちゃんと機能しているかということなんだと思います。

 時代は変わって来ています。だから、最近はこういう声も聞かれます。最初1店舗にしか出していないけど、それでも一元管理を導入して、いずれ発展した時を思い描いておく必要性があるとさえ言われています。一元管理の会社を盛り立てるつもりはありませんが、本質的にはちゃんとお客様を見つめるための準備が必要なんだということなんだと思います。

 ネットはコストを最小限にしてスタートできるのですが、だからと言って、単細胞的に、それだけやればいいというのではなく視野を広く持って、先行きもちゃんと見据えた上でどんなお客様にアプローチしたいのか、アプローチできているかをどうやって確認するのか、という部分が今まで以上に大事になって来るように思います。


 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週、お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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