Amazonの配達物の9割投函可能 不在再配達なくしスピーディな受け取り

Amazonと日本郵便の本気をナスタが支援 三社共同で物流インフラ構築の向上目指す

ネットで買い物をして楽しみに到着を待つ、なかなか受け取りできずに溜まっていく不在通知…。そのような経験をされた方も多いのではないだろうか。
「外の洗濯機の中に入れておいてください」「ドアノブにひっかけておいてください」など、無茶なお願いをされる配達員の方もいると耳にする。そんな状況の打破を目指し、本格的な物流インフラ構築の向上を目指した取り組みが開始した。

Amazon は、日本郵便および住環境メーカーのナスタの二社と協力し、配達効率の向上および、より迅速かつ利便性の高い配送サービスをユーザーに提供するため、Amazonからの配達物の9割が投函可能なポストの開発と販売を展開。不在時にも荷物が受け取れすぐに商品を手に取ることができる施策として、発表した。
住環境メーカーのナスタがAmazonの協力のもと開発した次世代ポストは、「Qual(戸建て住宅用ポスト)」と「D-ALL(集合住宅用ポスト)」の二種類。今後デベロッパーを通じて「D-ALL」を集合住宅に設置するほか、「Qual」を本日よりAmazonにて販売開始とする。
受け口の幅などを一般的な郵便箱より約1センチほど広げることにより、大口のメール便などをポストイン可能とした。構造上の工夫で全体の大きさは従来と同じのため、既存の郵便箱と交換がしやすい。ナスタ社の調査によると、オンラインショップユーザーに配達されるメール便の約65%がポストに入らず不在、再配達となっているという結果が出ている。今回の施策で、日本郵便は再配達のコストを抑え、Amazonは通常配達でしか送れなかった大きさの商品をゆうパケットやゆうメールなどで対応し配送コストを押さえる、という二社両得の狙いがうかがえる。

これまで日本郵便は配達の効率化による配送サービスの質の向上とドライバーへの業務負荷の軽減を目指し、ナスタはポストの革新に挑戦し、Amazonはユーザーに向けより迅速かつ利便性の高い配送サービスの提供を目指してきた。物流インフラの向上を目指す3社の構想が合致した結果、この取り組みが実現に至った。また、ポイント還元などによる設備費の支援にも力を入れていくとのこと。

再配達コストと不在届のストレスなくす 業者とユーザー両視点での物流革命

配達、不在届による再配達、という従来変わらずに継続していた郵政の仕組みを根本から大きく変えようとする今回の取り組みより、日本郵便のヤル気と本気加減が分かる。またAmazonも、より踏み込んだユーザーへのアフターフォローサービスを充実させ、不動の首位をより強固なものとする姿勢がうかがえるだろう。民営化されたとはいえ、体制を大きく変化させるフットワークが重くなりがちであろう郵政を本気にさせ、実現に向け具体的な行動を起こさせたという面でAmazonの持つ影響力の大きさも改めて浮き彫りとなった。
「当面は20万戸への普及を目指し、長期的な視点で再配達コストの削減に取り組みたい」と、日本郵便社長の高橋享氏は会見で話した。今後、どのようなスピードと展開でこの施策が浸透していくのか、非常に楽しみである。