EC業界News1週間まとめ〜越境ECへの近道は楽天市場で一位を取ることの謎/CRM市場の成長も時代の必然

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週、読まれた記事はこちらです。

■ウォルマートと京東集団が物流企業に共同出資しエコシステム強化へ向けて加速
https://ecnomikata.com/ecnews/19703/
■アダストリア、[.st] で画像検索からの購入が可能に
https://ecnomikata.com/ecnews/19669/
■Apple Pay/楽天Pay/LINE Payの認知度は?【リエールファクトリー調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/19700/
■『Yahoo!検索大賞2018』中間発表(今年上期の急上昇検索ワード)が公表される
https://ecnomikata.com/ecnews/19699/
■訪日中国人観光客の買い物動向を明らかにする調査を実施【バイドゥ調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/19694/
■『ECサイトの使い分け』に関するユーザーの最新動向調査【ドゥ・ハウス調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/19694/

越境ECへの近道、それは楽天市場で一位を取ること?

 先日、浜銀総合研究所が発行する「ベストパートナー」という冊子で、NHNジャパンの斎藤さんと東海大学の小嵜さんと鼎談をやらせていただきました。そこでのテーマは、越境EC。ただ越境ECも大事なことなのですが、それ以前にやるべきこと、やれることってあるのかもしれないな、と思いました。

 興味深かったのは「越境ECで何をしたらいいか」という問いに対して、お二方からは「まず日本の「楽天市場」で一位を取ってから、それを考えるべきだと話す事がある」だという事です。中国の方はそういうところをチェックしてから転売して、そこから中国国内でヒットが爆発する事があるそうです。逆に言えば、世界的なブランドである必要はなく、日本人が誰でも知っていないものでも、売れてなかなか出店しづらい「 Tモールグローバル」に出店しているという話もあります。

 だから、越境ECそのものは特別な魔法の杖なんかじゃなくて、今日本で受け入れられているものの反響の範囲を広げて行くようなニュアンスで捉えたほうがいいんだろうなと思いました。言い換えれば、それはシンプルな話であって、まずどこで売るか以前に、自分たちの商品をどうこだわってお客様にどう伝えるかという事のような気がしています。

 その上で、お二方が言っていたのは「現地に行っていますか?」って話で、これまた行っていなかったりして、現場に密着していなかったりするのも悲しいかな現実のようです。売れるべき確たる部分が商品にあって、それを現地のお客様のニーズなり要望なりに、どうアジャストさせて行くかという話なのかなと思ったのです。

 最近、楽天との向き合い方が色々取りざたされていますが、逆説ではありますが、楽天市場に出店することは、この部分を逆手にとって、例えば越境ECを視野に入れて、楽天市場のネームバリューを活用するくらいの気持ちから入るのも一つ手段としてありなのかな、と思いました。

伝える手段が多様化

 ただ、この話は越境ECに限って言えることではなく、日本においてもテクノロジーが進化していき、チャットやメッセンジャー、アプリやメール、電話など、お客様に対して「伝える手段」が多様化して来た。だから自らの商品の魅力が大前提にあって、これを伝える事が大事になってきた。

 この辺は、以前取材でも取り上げたハヤカワ五味さんが話していましたが「内なるものを言語化していく」事が重要であって、内なるものを言語化していく過程で、誰を見据えて、どのツールを使ってメッセージを発信していくかなんじゃないかなーと思っています。

 繰り返しますが、一個の大事な商品があって、そこには十分なこだわりがある。商品の良さを見据えた上で、どういうユーザーに対してどう伝えて行くか。この間、一元管理をやっているアイルの本守さんと話していてこんな話を聞きました。

 「お兄系」と呼ばれるホストのようなタイプと「オラオラ系」と呼ばれるちょっとヤンチャなヤンキー風なタイプというのが世の中にはいて、それらの両者はいがみ合っている。「あんなのと一緒にするな」と。でも面白かったのは、ECサイトという文脈では、悲しい結末が待っていたというんです。

 それは、「両方のタイプともに同じ服を着ていた」という現実です。いがみ合う両者は「あんなのと一緒にするな」と言いつつも、同じ服を着ていたという現実はなんだか滑稽でありますが、それが人の真理をついています。同じ服を着ていたという現象が起こったその訳は、その服を扱う店舗はわざと、お兄系とオラオラ系でそれぞれ別の店舗を用意したのです。それぞれのお客様を踏まえて施策を打ち、メッセージを発信して、集まって着たお客様に響くように伝えていったわけです。しかしながら、同じ商品ですから両店舗の在庫は繋がっていて、両方から同じ商品が同じように売れていくというのです。

CRMでできる幅も広がる

Source: IDC Japan, 8/2018

 こういうメッセージ性はCRMの文脈でも大事であって、ネットがお客様にできるアプローチの仕方が多様化するほどに、ネットができるお客様との向き合い方も深くなっていき、結果、それが定期通販の重要性が高まる要因になってきているのかなと思っています。つい先日、IDC Japanが発表した国内CRM市場予測に関するリリースでは2017年における国内CRM市場規模は1056億4900万で、前年比10.1%増だそうで、それもなんだかうなづけます。ちなみに上の図は今後のCRM市場を予測したものでいかに伸びるかがわかるのとそこに可能性ある事を指し示しているような気がします。

 当たり前の話ですが、いくらの商品がどれだけの価値を持って受け入れられるかを考慮し、できる限りの演出をして、付加価値をつけて、何回かの購入で確実に清算できるだけの商品を生み出していく。その過程の中では、お客様とどういうやり方でどういうメッセージを発信して、いつも話していることにもなりますが、お店とお客様との間にコミュニティを形成していくかなのではないかと思います。

 いつしか商品を買うためのネットショッピングだったのがそのメッセージの受け止め方で、お店自体のファンとなっていき、その時お店はそのきっかけとなった商品以外で、どうやってお客様を魅了し続けていくか。あれこれと手広くやるのではなく少しずつ受け入れられる人の範囲を広げていく。先ほど、越境ECの文脈でもそのような話をしましたが、本質的には同じなのではないかと思います。

 その証拠に、ECにおけるショッピングモールもまた、チャットやストーリー性のあるメールを実装させる事が標準となりつつあって、お客様との環境や状況、そして買い続けたい心理にたどり着くように促しているようになってきています。一つの商品をどう買い続けられるようにしていけるか、また、一つの商品を買い続けたいと思えるお客様とのコミュニケーションはどうなのかも、大事になってきている事を示す動きなのではないかと思います。

 いずれにせよ、商品を前にして、何を伝えるか。その答えは自分達の顧客データの中にあります。あれこれ手を出す前に、一番買ってくれるお客さんの喜ぶことを考えることにじつは成長のヒントがあったりするのではないかな、などと思ったりしました。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる一週間でありますように。
8月24日13時半から、東海イービジネス研究会とコラボして、人気インフルエンサーのrinaさん、Candeeの執行役員鍛治さん、RIZAPグループの夢展望 祖一さんと「ライブコマース」についてじっくり語る会があるので、よろしければ、そこでお会いしましょう。参加者には「EC業界大図鑑」をプレゼントする特典があります。

では、また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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