ウォルマートと京東集団が物流企業に共同出資しエコシステム強化へ向けて加速

ECのミカタ編集部

2018年7月19日「88セール」のキックオフの様子

国市場を牽引するECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)(JD.com)」を運営する大手EC&小売インフラカンパニー京東集団(ジンドンしゅうだん)(代表:劉強東 本社:中華人民共和国 北京市 NASDAQ:JD)は、2018年8月9日、米ウォルマートと共に京東集団の関連会社である「達達-京東到家」に5億ドルの資金を共同出資したことを公表した。今回の共同出資により、京東集団と米ウォルマートのパートナーシップが更に強化された形となる。

パートナーシップ締結からさらに進展

今回の共同出資に先立ち、ウォルマートは「ボーダーレスリテール」の理念に賛同し、に「達達-京東到家」と戦略的パートナーシップを締結している。さらに同年10月には5,000万ドルを出資し提携を強化し、2017年10月には、ウォルマートの「京東到家」でのオンライン販売額は30倍に成長した。中国にある約200社のウォルマートの実店舗は「達達-京東到家」の配送サービスを利用しており、中国の30都市で1時間以内の商品配達が可能となっている。

さらに2018年7月には、京東集団とウォルマートはパートナーシップの強化を共同発表した。双方のユーザー・在庫情報・店舗情報を共通化し、オンラインとオフラインの融合を加速させることを目指すとしている。

より良いOtoO体験を

パートナーシップをさらに発展させている両社だが、2018年8月には、オンラインとオフラインを連動させた2018年大型ショッピングフェスティバル「88セール」を共同で開催するという。この「88セール」は、中国で2大ショッピングイベントである「618セール」や「独身の日(11月11日)ショッピングフェス」に次ぐ、大型のショッピングイベントとなるよう注力していく方針だ。

今回の共同出資に際して、京東集団の主席戦略官(CSO)である廖建文氏が次のようなコメントを述べている。

「京東は現在、ウォルマートを含む全世界の小売りパートナーと提携し、『ボーダーレスリテール』連合を推進しています。全ての消費者とブランド企業に対し、肩を並べてサービスを提供します。

千変万化の消費需要を満足させ、生活の中にリテールを溶け込ませ、リテール業のコスト、効率と体験の全面的な変革を行っていきます。今回の「達達-京東到家」への投資は、弛まないイノベーションと痒いところに手が届く運営を進めていくためです。連合のパートナーたちと手を取り合い、消費者のより良い生活のクオリティを実現していきます」

またウォルマートの中国総裁兼主席執行官である陳文淵氏は、次のように述べている。

「我々と優秀なパートナーとの緊密な提携は、店舗のデジタル化・技術応用を加速化させ、顧客のためにより簡単でより便利なショッピング体験を創り出していきます。『達達-京東到家』の提携で、今後はより良いO2O体験をもたらすでしょう」

巨大な物流を支える「達達-京東到家」

巨大な物流を支える「達達-京東到家」「達達-京東到家」の配送員

「達達-京東到家」は2016年4月に、京東集団傘下の「OtoO配送業務」を行う子会社「京東到家」と、中国のクラウドソーシング物流プラットフォームである「達達」との合併で設立した物流配送会社だ。京東集団が唱える「ボーダーレスリテール」の理念を実現させるための重要な役割を果たしている。

クラウドソーシング物流プラットフォームでは、「達達」のブランドを引き続き使用することで、誰でも「配送員」として登録ができ、登録者の空いている時間に自分のエリアで配送をすることができるのだ。このシステムを利用することで、99%のオーダーは60分以内で配達をすることが可能になるという。現在「達達」は中国の400以上の都市をカバーしており、120万社以上の企業と5,000万人を超えるユーザーにサービスを提供しており、1日の最大受注数は1,000万件を超える。

また、OtoOプラットフォームでは「京東到家」のブランドを使用している。オフラインの実店舗との提携により、生鮮食品・日用百貨などの商品を2時間以内に同じエリア内の消費者に送り届けることが可能だとする。現在「京東到家」は、北京、上海、広州等40の主要都市をカバーし、登録ユーザーは5,000万人を超え、月間アクティブユーザー数は実に2,000万以上だ。また、1日の最大受注数は100万件を超となっている。

EC先進国である中国。その巨大な市場をリードする京東は、ウォルマートとの提携深化を通して、さらに「ボーダーレスリテール(京東が提唱する、オンラインとオフライン=実店舗、物流機能まで融合させたビジネスの総称)」の実現へ向けて着々と階段を上っているようだ。伸び代の大きいとされる日本のEC市場も、この勢いをいかに取り込み、また対抗していくのか、そこへ向けても大いに注目すべきニュースと言えるだろう。

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