ネット広告市場の今後は?国内のインターネット広告市場に関する最新調査が実施される【矢野経済研究所調べ】
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のインターネット広告市場の、現況、参入企業の動向、および将来展望などに関する調査を実施し、その内容を公表した。以下その内容を見て行く。
拡大するンターネット広告市場
同社によれば、国内のインターネット広告市場について、規模は年々拡大しており、2017年度には約1.3兆円、2018年度には約1.5兆円を超えると予測する。PCブラウザ向け広告に比べ、スマートフォン広告が市場を牽引していると分析している。
広告種別では、検索連動型(サーチ)広告やアドネットワーク(ネット広告メディアのサイトを多数集めた広告配信ネットワーク)などが好調であることから、運用型広告が拡大している。また広告フォーマットでは、インフィード広告(コンテンツ配信用に加工したフィードと呼ばれるフォーマット内に表示される広告)や動画広告が拡大しており、メディア(媒体)としては、ソーシャルメディアが主流だ。
市場拡大の背景
同様に、動画広告の拡大の背景についても分析をしている。拡大の要因には、YouTubeをはじめとした動画プラットフォームにおける動画広告配信の拡大や、インフィード広告における動画フォーマットへの切り替えがあるとする。
動画プラットフォームにおける動画広告の拡大に関しては、動画閲覧者(インターネットユーザー)側において、動画コンテンツの充実による動画サイトの利用が進んでいる。こうした消費者(インターネットユーザー)行動の変化により、既存の広告主における動画広告の利用が活発化したほか、大手ブランド企業(広告主)においても動画広告の新規利用などの拡大を指摘している。
動画フォーマットへの切り替えの増加に関しては、インターネットユーザーの視聴環境の変化により、動画による広告でも負担なく閲覧できるようになっている。これにより、ソーシャルメディアをはじめとしたメディアにおいても、動画フォーマットが増加しているため、広告主における動画広告への需要も拡大についても言及。今後も消費者の動画視聴の増加、広告配信事業者による動画広告枠の拡大、広告主における動画広告需要が続くものとみられ、市場拡大の原動力になるものと分析している。
また、動画で表現するメディアは今後更に増えることが予測され、新たな動画プラットフォームが出現する可能性があるものと考える。こうしたなか、既存のアドネットワークなどにおいても、静止画から動画フォーマットへ移行していくことを想定している。
激変するネット広告市場
同社は将来展望について、インターネット広告国内市場規模は2022年度には約2.4兆円にまで拡大すると予測する。今後もインフィード広告や動画広告の拡大を背景に、運用型広告が市場全体の拡大を牽引するとみる。また、AmazonなどのECサイトが新たな広告プラットフォーマーとなり、インターネット広告市場の拡大に寄与するものと予測している。
日本でのインターネットの普及とほぼ同時に、国内でのインターネット広告の歴史は始まった。その後、回線のブロードバンド化やi-modeなどフィーチャフォンのプラットフォームで展開される閉塞網や、スマートフォンの登場によって、インターネット広告の自由度は大きく広がった。
調査にもある通り、デバイスの高機能化や回線のさらなる高速化によって、静的な広告から動画など動的な広告へと大きく変化してきているのが分かる。今後もそうした流れは加速していくものとみられ、EC事業という文脈においても、その流れを把握した上での広告施策が求められていくことになるだろう。
調査概要
・調査期間:2018年3月~7月
・調査対象:主要広告代理店、メディアレップ、アドテクノロジー提供事業者等
・調査方法: 同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
[インターネット広告市場とは]
本調査におけるインターネット広告市場規模は、インターネットの各種媒体に出稿された広告の出稿額を合算し、算出。
[市場に含まれる商品・サービス]
運用型広告(ディスプレイ、サーチ)、非運用型広告ほか