ECへの影響は?大王製紙がダンボール原紙全品種の値上げに踏み切る
大王製紙株式会社(住所:東京都千代田区)は、段ボール原紙全品種の価格改定を実施する旨を公表した。大手製紙会社がECの物品配送にも欠かせないダンボール価格の値上げに踏み切ったことで、その影響が注視される。
値上げ幅は全品種「+8円/kg 以上」
製紙大手の大王製紙は、段ボール原紙全品種の値上げを主旨とする価格改定についてその内容を公表した。今回の価格改定の概要は次の通りだ。
【価格改定の概要】
1.対象品種:段ボール原紙 全品種
2.改定幅:現行価格より+8 円/kg 以上
3.改定時期:2018年11月1日(木)出荷分より
原燃料価格及び物流経費の上昇が要因
同社は、今回の価格改定の理由について、次のように述べている。
「弊社は各種原燃料価格の上昇及び運送費等の物流経費高騰に対し、昨年8月1日出荷分より段ボール原紙全品種につき10円/kg 以上の価格修正を実施しました。しかしながら、各種原燃料価格及び物流経費は継続して上昇を続けており、あらゆる面でコスト低減に取り組んでまいりましたが、自助努力だけではコストアップ分を吸収できない状況となっています。
今後とも製品の安定供給や品質・サービスの維持・向上を継続していくために段ボール原紙の価格改定に踏み切らざるを得ないと判断いたしました。つきましては、上記の通り価格修正させていただきたく、諸般の事情をご賢察のうえ、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます」
以上、同社資料より。
ECに欠かせないダンボール価格上昇に備える
近年、紙の価格は上昇を続けている。一見、デジタル化時代に製紙価格が上昇するのは不思議に思うかも知れない。その主要因は製紙の工程で必須となる重油など燃料価格の上昇にある。
また、それ以外にも経済発展をとげて巨大な人口を有する中国市場での古紙需要の増加や、物流経費の高騰も製紙価格上昇の遠因となっているとの指摘も多い。また日本国内の状況で言えば、日銀の大規模金融緩和が継続して遂行され、デフレを完全に脱却するために物価上昇目標も設定されているが、現状では、その目標は達せられていないものの、今後の同政策がもたらす物価の上昇と、景気動向のバランスとの兼ね合いで、それが吸収し得るかといった点からも目が離せない。
いずれにしろ紙の価格が上昇している以上、EC市場で購入された物品を配送するために必須となる段ボールの価格が上昇することで、EC事業者や配送事業者の負担が増すことになる。送料や商品の価格に転嫁すべきかを含め、対策をせまられる状況にもつながるだろう。