「これぞECの底力」楽天うまいもの大会2018潜入 名古屋熱狂〜商店街の様な連携と最高級の品質

石郷“145”マナブ(編集長)

 ネット通販の素敵さは快適で便利でお得なものにもあるけれど、それだけでは良さを語りつくせていないように思う。その素敵さの本質は、街の商店街に佇む、大きくなくとも良い品を持った店に光をあてたことにある。

 そうしたことを体感できる機会が「楽天うまいもの大会」だと考えている。楽天株式会社(以下、楽天)が主催し、年一回、JR名古屋タカシマヤの催事スペースで、楽天市場の選りすぐりの店舗が集まる。今年は10月2日(火)から10月8日(月・祝)に開催され、出店したのは75店を数える。

 毎年約16万人もの人が詰めかけ、驚いたのが名古屋でタクシーに乗ると運転手が皆「ああ、あのイベントね」と口にするほど、根付いている。僕が向かった10月13日(土)も催事会場のあちこちで行列が見受けられた。

 冒頭、街の商店街に佇むそのお店と書いたが、決して全国区の知名度を誇らなくても、味には絶対的に自信があって、皆、お客様をうならせる実力がある。その意味では、75店舗すべてがネット通販での商品の素晴らしさを伝える、我らEC業界の“Hero”である。

自分達が強くならねばとECやってきた〜もつ鍋・水炊き 若杉

 実力は努力に裏付けられている。「もつ鍋・水炊き 若杉」松尾直幸さんと話をする機会があり「うまいもの大会」とは話が逸れるかもしれないが、こんな話を会場内で聞かせてくれた。

 「もつ鍋・水炊き 若杉」は博多に店を構えており、決して全国的に有名な店かといえば、そういうわけでは無いが楽天市場では代表店舗である。「もつ鍋・水炊き 若杉」はストイックに楽天と向き合いつつ、お客様を見据えて、商品力を向上させ、また、また買ってもらえるだけの接客を心掛けてきた。要は決めの問題であり、自分達がECで開花するのは楽天市場と決めて打ち込んだことが成功に起因していると思う。

 彼らは最初「もつ鍋」で上位にランキングされるようになり、時に「もつ鍋ブーム」などに遭遇した時代もあったけど、そこに流されることなく長く愛されるための味にこだわり、お客様へも真摯に向き合い続け、ブームに左右されない自分達のビジネスを確立した。

 松尾さんは「どのプラットフォームを使おうが自分達がそういう外的要因に左右されないだけのビジネスとしての柱を作ることが大事」と話していて、例えば、独自ドメインの店舗だから良いという訳ではなく、それも結局、Googleのルールに合わせているだけで、ある意味、Googleのプラットフォームに乗っているだけだと。

 楽天に感謝の意を見せつつも、そこに依存することなく、自分達としてどうビジネスをするべきなのか、という問いにずっと向き合って来た。だから、現状に甘んじることなく、「もつ鍋」で力をつけた後も、その力で「水炊き」にもチャレンジして、今やそこでの地位も掴んだ。今それに続く第三の柱を作るため、会社としては大きな投資として新たな工場の話も口にした。

 ネットというチャンスを活かし、例え、世間的に知られるブランドではなくても、きちんと生き残る術を身につけつつ、ブランドと称しても遜色しないレベルの商材を生み出して来たのだ。そこには常に向き合う本気の店の姿勢を見て取ることができ、それを鑑みれば、美味しさについては説明の余地などもなく、品質の保証はいうまでも無いのだ。

地元と変わらぬ愛情をネットでも〜ロリアン洋菓子店

 地元でしっかり地に足をつけている店舗がネットで飛躍し、そして同イベントでまたリアルな世界でのできることの幅を広げて、着実に積み上げ、評価をあげている店がある。「ロリアン洋菓子店」はその一つで、店長の小島有加里さんも最初はネットをやったときは右も左も分からなかったと振り返った。けれど、たどり着いた答えは「地元のお客様に接するようにネットでも接していこう」という“真心”だった。

 ただ、それだけ想いあっての店だから自分達の存在意義にこだわる。だからこそ、この店は何の為にあり、この仕事をしているのかと思い悩む時もあり、それもまたお客様との一つの経験が小島さんに自信をもたらした。

東日本大震災で気付かされた自分達の意義
 お客様とのエピソードが一つのドラマを生んだのである。それは奇しくも東日本大震災の時。到底あのような地震を誰もが予想だにしていなかった中、震災前に注文をした東北在住のお客様がいた。当然、いつもの通り、地震が起きるわずか数時間前に、その家に「ロリアン洋菓子店」のお菓子を届け、お客様もそれを受け取ったという。

 ところが事態は一変する。この日の午後2時46分に地震が発生。何もかもが失われていく中で、そこに住む人は絶望し、そんな中で子供達も疲弊していた。そんな中でスッと光が射す。東北在住のこのお客様は子供達に、この日の午前中に届いた「ロリアン洋菓子店」のお菓子を手渡したのだという。

 そして小島さんは嬉しそうにお客様の言葉を言う。「地震後、子供達がそのお菓子を見て、初めて笑顔を浮かべたのだと言っていました」と。お客様は、後日この日のことを感謝と共に、伝えて来たのだという。

 小島さんは思った。「私達の商品は誰かの為になれているんだ」と。地元で小さく佇むその「ロリアン洋菓子店」は地元の人はおろか、地域の垣根を超えて、日本で愛されるようになっていたのだ。

この店を愛するお客様と共に、新たなお客様と向き合う「栗のパフェ」

 ネットを通して、規模が少しばかり大きくなろうともその原点は変わらない。今回、同イベントで彼ららしい「飛びっきりの目玉商品」を提げてやって来た。小島さんは自分達のお客様とお菓子でコラボして見せたのである。それが「栗のパフェ」だ。お客様に欲しい商材を一緒に作りましょうと投げかけ、そして下の写真は、その「栗のパフェ」とお客様から寄せられたハガキであり、それは言うまでもなく、小島さんの宝物である。

 地元の店と変わらぬ愛を持って接していたからこそ、考えられないほどのアイデアが寄せられた。そこで出来た試作品に返信用ハガキをつけて、お客様に意見を聞けば、大勢のお客様が率直な意見を戻して来た。「こんなにも」と小島さんは驚いて見せたが、確かにそこには心が通っていることがうかがえた。ハガキはぎっしりと文字で埋められ、中には、イラストを描いてくれている人すらいた。それだけこの店を身近に感じてくれていたわけだ。

 今こそ集大成たる思いで、この場で自分達らしくこの商品で勝負をしてきて、会場内でも大きな反響を持って受け止められた。僕も食べたが、トッピングは栗が2種類。カップの中は何層にもなっていて、カスタードクリーム、抹茶ムース、生クリーム、なめらかな栗のペーストをたっぷり絞りったスイーツで、スプーンを一度入れると、その一口に様々な味が広がり、大変美味しく堪能させていただいた。

仙台の有力かまぼこブランドに負けず劣らず〜佐々直

 このイベントは一人一人のスタッフのステージであり、中には、東北復興ブースという、楽天と復興庁などで形成されるコーナーもあった。「佐々直」という店舗では、駆け寄るご婦人に、まるで親戚みたいに親身に愛らしく接する菅原亜依さんの姿があった。

 「佐々直」はかまぼこのお店であり、菅原さんは仙台の泉にある「セルバ」というお店で立っている看板娘としての顔もある。菅原さんは言う。「あの人に買った蒲鉾という特別な想いがそれが大手ブランドにはない商品への愛着を生み、継続して買っていただける土台となる」と。

 僕は故郷が仙台だからわかるが、仙台という地は「笹かまぼこ」に関して大手のブランドでひしめく場所で、だからこそ「佐々直」は人間味で勝負し続けているわけだ。味では決して遜色しないからこそ、どんなきっかけも大事にしようとするその姿勢がお客様の胸を打つ。

 「佐々直」精神は、彼女の慕われるキャラクターと共に、Twitterを通して発信して、多くのファンをつかんでいるのだ。僕も「写真を一緒に撮らせていただいていいですか」と依頼されて、ある意味「佐々直」ファミリーである。


 愛着。それはこの地でも遺憾無く発揮されていて、彼女の話すところによれば、とある男性のお客様は最初、自分の親を連れてきていて、一緒に写真に収まっただけなく、日にちを変え、友人を連れてきて、また会いにきてくれたという。その語り口は、もう親戚のようであり、彼女の存在が、この場所をお客様にとって特別な場所へと変えたのだと思った次第だ。

 彼女が言う「商品プラスアルファの特別体験が来場者の心を掴んでいた」のは事実であり、このエンタメ性を生み出すあたたかさもまた「楽天うまいもの大会」の真骨頂だ。

うまいもの大会が生んだ極上のハンバーグ

 横の連携で忘れてならないのは「大阪の味 ゆうぜん本店」である。もともとこのお店は製造工場であったわけだが、ECとの出会いを機に、自らの自慢の商品を直接、売ることを始めて今に至る。「大阪の味 ゆうぜん本店」店長である辻尾 正比呂さんは「うまいもの大会には特別な思いがある」と話した。中でも、彼が強調したのが、横の連携なのである。「皆、同じような境遇を潜り抜けてきたある意味、戦友だと思っている。だからこそ仲間意識も強い」と話す。

 楽天の存在がある種、コミュニティとして機能して、日頃からアドバイスをし合い、お互いを高める文化があるからこそ、それは同イベントでも生きているのかもしれない。ここでの決算の火蓋は、半年前から切られていて、複数の店舗を巻き込みながら、横のつながりを生かしたコラボレーションもこの店はやってのけたのだ。

 ゆうぜんはハンバーグを手がけているが、誰でも安心して作れて食べれる日常を意識して、買い続けられるハンバーグを手がけて来た。そこにファンが付いているわけだが、そこで飛躍の一歩として、自ら手がけるハンバーグに関して、半年前から同イベントに出店している企業と組んで、この会場のオリジナルのハンバーグを作成している。

 それが「A5ランク仙台牛と淡路玉ねぎ プレミアムハンバーグ」だ。淡路島に40箇所以上の畑を有し、有機肥料100%を使ったエコの「今井ファーム」からブランド玉ねぎ「かくしだま」を提供してもらい、このハンバーグの具に入れている。ハンバーグの肉自体も「肉のいとう」から仕入れていて、ここに長年、培われたハンバーグ製作のノウハウが加味されて、全ての力が結集されて、このハンバーグがある。

僕自身、家でハンバーグを調理して(形が崩れ気味なので全体を写していないのはどうかお許しを)、食べてみたが濃厚な味わいで、染み入る食感。

 早速、僕も私もいただいたが、ハンバーグにずっしりとした重量感があったのは、お肉が良質だということだし、また、玉ねぎが旨味を引き出し、最高品質と言っていい美味しさを作り出していた。

 同イベントが特別な場所である理由がわかった気がした。横の繋がりで、商品のアイデアを出し合い、それが店自体の新たなチャレンジとなって、このロケーションで発表する。おまけに、ここにはお客様もいるから、そのリアクションを目の当たりにして、その自分達の挑戦(仮説)を検証もできる場である。だから、彼は重ねて言うのだ。「こんな場所、催事は他にはない」と。

楽天市場だからこその連帯感と一体感

 同イベントは催事でありながら催事でない。まるで文化祭や体育祭のような一体感で、お客様を待ち構えていて、一言「美味しい」が引き出せれば、皆でガッツポーズをするようなあたたかな印象がある。自分さえ売れれば良いのではなく、この一体感こそが、この「楽天うまいもの大会」の全てではないか。

 何の為にものを売っているかと言えば、やっぱお客様の笑顔のためなんだろうと思う。ECというビジネスを通してお客様の心を掴んだ彼らではあるが、別にネットで何かをしたいわけではない。本当に良い商品を自信を持って生み出し、それを通してお客様とのやりとりを楽しみたいのだ。

 僕がこのEC業界にいて思うのはネットのテクノロジーの世界でありながらなんとも言えない、このアナログ感なのだ。泥臭いけど、不器用で、非効率かもしれないけど、あったかなこの雰囲気なのである。世界プレイヤーを獲得しても、物流で席巻しても、何をしようと構わないが、まずこの場でこの空気を吸って、ここに通い合うお客様と店舗の“体温”を感じた上での決断であって欲しい。会社を大きくして来たその礎がここにはある。

 このアットホームでアナログなこの場所こそ、ECの原点であり、ニッポンの輝きだと思っている。だから、未来永劫、失ってはならないシーンではないかと思うし、僕はこの「楽天うまいもの大会」を応援したいのだ。

記者プロフィール

石郷“145”マナブ(編集長)

ECのミカタ 編集長。キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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