デジタル金融サービス『Fintech』は日本でも浸透するか?【LINE調べ】

ECのミカタ編集部

LINE株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 出澤剛、以下「LINE」)は、Fintech(「Finance=金融」と「Technology=技術」を組み合わせた造語)に関する調査を実施し、その内容を公表した。

調査概要

・調査実施:LINE
・調査概要:LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
・調査テーマ:Fintechへの期待感と信頼度について
・調査対象:日本、タイ、台湾、インドネシア、韓国、英国、米国の18〜55歳男女
・有効回収数:5,000サンプル
・実施時期: 2018年3月5日〜12日
※グラフ・数表は小数点第一位を四捨五入し整数表記

世代間で意識の差

世代間で意識の差

調査対象の7か国では、64%が「Fintechでお金の管理や利用計画が簡単になる」と回答している。「Fintech関連のサービスを信頼している」と回答したのは63%、「どちらとも言えない」が30%だった、年齢別の回答においては、18〜34歳では69%、55歳以上では55%であったことから、Fintechへの信頼度は若い世代ほど高い傾向にあることを示していることがうかがえる。

Fintech関連の商品やサービスのうち、モバイルやアプリで利用したいものとしては預金口座が65%、送金が57%、当座預金口座が48%、保険が48%となった。保険の中での詳細に関しては、生命保険が65%、旅行保険が58%、住宅保険が50%という結果だった。

新興国はFintechに対して積極的

新興国はFintechに対して積極的

自国のキャッシュレス化について、「楽しみだ」という回答は全体平均では37%だった、タイは57%、インドネシアは56%、台湾は52%、韓国は45%という結果となっており、7ヵ国の中でも、これらの国はFintechに対して期待していることが推察できる。

これらの国では、金融サービスをモバイルで利用、購入することに対しても前向きな回答が目立っており、「預金口座をモバイルアプリで開設するだろう」と回答した割合は、7ヵ国全体では65%だったのに対し、タイでは83%、続いて、インドネシアでは77%、韓国では75%、台湾が69%という高い数字だった。

対照的なのは英国、米国、日本で、この3ヵ国では、キャッシュレス化について「非常に期待する」「期待する」と回答した割合の合計が、平均では39%だったのに対し、日本は24%、米国は20%、英国では調査対象市場内で最低の19%で、いずれも低い結果となった。

また、英国、米国、日本は、Fintech関連のサービスのモバイル利用についても全体の平均を下回った。モバイルで「預金口座を開設するだろう」と答えた人の割合は、全体での平均は65%だが、日本は最も低く49%、ついで米国が53%、英国が57%となった。モバイルでの投資サービスの利用に関する意欲は英国が最も低く28%、米国と日本は37%、全体平均は45%だった。

Fintechに対して保守的な日本市場

Fintechに対して保守的な日本市場

日本は、Fintechに対する信頼度と理解度が全体平均よりも低く、Fintechを「非常に信頼する」「信頼する」と答えた割合の合計が全体平均63%に対し、日本は38%だった。また、Fintechを「良く知っている」と回答したのは、全体平均44%に対し、日本は22%だった。

また日本は、他6ヵ国に比べ、窓口で銀行サービスを利用する傾向が高く、全体平均68%に対して、日本は80%だった。一方で、「既存の金融サービスの利便性の評価する」という回答は最も少なく、全体平均67%に対して、日本は31%となっており、ユーザーは変化を既存の金融サービスに充分に満足していないことが浮き彫りとなっている。

世界のFintech市場リードに向けて

LINEでは、これまで各国毎に異なるユーザーの様々なニーズを捉え、サービスの開発に取り組んできた。2014年12月には、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を開始し、現在では登録ユーザー数4,000万人を超えている。また、2018年1月には、金融事業領域をさらに強化し、ユーザーにとって便利で、安全な金融サービスを提供すべく、LINE Financial株式会社(以下、LINE Financial)を設立した。

現在、日本国内においては、「LINE Pay」のほか、必要な時に手軽に損害保険に加入できる保険サービス「LINEほけん」、身近なテーマへの投資を通じて資産づくりを行えるモバイル投資サービス「LINEスマート投資」、個人向け家計簿・資産管理サービス「LINE家計簿」を展開している。また、11月には、新銀行の設立検討開始に向け、LINE Financial、みずほ銀行を通じた共同出資による準備会社設立、およびスコアリングサービス「LINEスコア」、ローンサービス「LINEポケットマネー」について発表した。

LINEでは、今後も世界のFintech市場をリードすべく、事業展開の加速やサービス強化に向けた取り組みや体制づくりを積極的に行っていく方針であるとしている。

日本でもFintech浸透の素地はすでにある?

調査結果にある通り、「Fintechでお金の管理や利用計画が簡単になる」と64%が回答し「モバイルで利用したい」というニーズが高かったのは、銀行サービス、送金、保険であることがわかった。

またタイ、台湾、インドネシア、韓国はFintechに対して強い関心があり、地域による差が鮮明になっており、英国、米国、日本では、キャッシュレス化への期待値が全体平均を下回る結果となった。日本は他6か国に比べ、Fintechへの理解度が低い傾向にある。

先進主要国でFintechに対して消極的な傾向が強いのは、既存の金融機関や金融システムの歴史が長く、国民一般がそれらに対して一定の信頼を置いていることも考えられる。一方で日本の結果をみても、既存の金融サービスへの不満も根強くあることから、今後いかにFintechを提供する側がそうした不満を受け止められるかもサービス普及のカギとなってきそうだ、

EC市場発展の文脈からも、決済面などで親和性の高いFintechの浸透には今後も各方面からも視線が集まるところだろう。

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