モノに対する価値観は「所有」から「利用」へ。変化した新たな消費行動「SAUCE」とは【メルカリ×三菱総合研究所】
株式会社メルカリ(本社:東京都港区、代表取締役会長兼CEO:山田進太郎、以下メルカリ)は、株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝、以下MRI)とシェアリングエコノミーに関する共同研究を実施した。
共同研究では、フリマアプリ上で洋服や化粧品の取引を行うユーザーを対象にアンケートを実施し、フリマアプリ利用前後における行動心理・購買内容の変化が分析されている。
調査概要
[調査名]
シェアリングエコノミーに関する意識調査概要
[調査方法]
WEBアンケート
[調査期間]
2018年9月21日〜9月27日
[調査対象者]
フリマアプリで「洋服」の取引経験者
※20代以上の男女、フリマアプリ利用頻度が3ヶ月に1回以上
フリマアプリで「化粧品」の取引経験者
※20代以上の女性、フリマアプリ利用頻度が3カ月に1回以上
[回収サンプル数]
1,642件
フリマアプリ利用者は新品購入時に「売却」を意識
新品購入の際、将来売却することを意識するかという問いに対し、新品洋服購入時の場合65%、新品化粧品購入時の場合50%が、将来売却することを意識すると回答。「あとで売却する」という意識は新品購入する商品選択において大きく影響を与えていることがわかった。
新品購入頻度にも変化
フリマアプリ利用後、36%が洋服の新品購入頻度が変わったと回答し、うち19%は購入頻度が増加、17%は購入頻度が減少したと回答。化粧品の場合、28%が新品化粧品の購入頻度が変わったと回答し、うち14%は購入頻度が増加、14%は購入頻度が減少したと回答。
新品購入頻度が減少したユーザーと同程度、増加ユーザーがおり、従来考えられていた「節約手段」以外の利用目的を持っていることがうかがえるとしている。
「後で売れる」が新品購入も後押しか
新品購入頻度が増加した理由のなかで洋服、化粧品両方で上位にランクインするのは「フリマアプリでの売れ行きが良いから」、「フリマアプリで小遣い稼ぎができるようになったから」。調査結果から「あとで売却できる」という心理が働くことで、商品購入に対する心理的ハードルが下がる効果があると推察できるとしている。
20~30代はより高額の新品を購入
フリマアプリ利用後、52%が購入する洋服の価格帯が変わったと回答し、うち28%が高価格帯にシフトし、24%が低価格帯にシフトしたと回答。化粧品の場合、33%が購入する化粧品の価格帯が変わったと回答し、うち18%が高価格帯にシフトし、15%が低価格帯にシフトしたと回答した。また20、30代で見ると、洋服の場合45%、化粧品の場合36%が高価格帯にシフトしたと回答している。
売却額を加味することで、商品購入の予算が増え、従来よりも高価格帯の商品を購入する消費傾向がうかがえるとしている。また、その傾向はシェアリングサービスを日常的に利用していると想定される20代・30代により強く表れていると言える。
新たな消費モデルを、MRIでは「SAUSE」と定義
調査結果にもあるように、モノのシェアを日常的に行う消費者は、「売却」を意識して新品を購入する傾向がみられ、消費者の一部は、売却金額を念頭におくことで新品購入が増加、あるいは購入する商品ブランドが高価格帯に遷移していることが見てとれる。
メルカリでは、フリマアプリを介して「モノのシェアリング」を行う消費者は、モノに対する価値観が「所有」から「利用」に変遷することによって、従来とは異なる消費行動をとることが明らかになったとしている。
これらシェアリングサービス普及後の従来とは異なる新たな消費モデルを、MRIでは「SAUSE(ソース)」と定義した。
調査主幹研究員 株式会社三菱総合研究所 宮川貴光研究員からは次のようなのコメントが出されている。
「個人の遊休資産を貸与・売買するというサービスの特性上、シェアリングはこれまで『過剰消費の是正』あるいは『節約手段』といった文脈で語られることが多い産業でした。しかし、今回の調査結果では、必ずしも上記の意図だけで利用されている訳ではなく、むしろ消費の拡大に繋がるような行動心理も一部では生じていることがわかりました」
このようにリユースECは従来、「節約のため」といった利用者のマインドがとりざたされ、市場としても「リユース」の名が示す通り、資源の有効活用という面がクローズアップされてきた。しかし今回の調査では新たな消費モデルを生み出しつつあるという一面が浮き彫りにされたようだ。今後さらにどう日本の消費マインドに変化をもたらすかにも注目と言えそうだ。