2020年度のラストワンマイル物流市場規模は2兆300億円 ECのラストワンマイルを支える物流市場に関する調査が実施される

ECのミカタ編集部

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、ラストワンマイル物流市場を調査し、分野別の物流スキームと動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

[調査期間]
2019年1月~6月

[調査対象]
BtoC物流に関わる事業者、管轄省庁等

[調査方法]
同社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用

通信販売がラストワンマイルの半分を占める

通信販売がラストワンマイルの半分を占める

調査では、ラストワンマイル物流市場を「通信販売」、「ワンタイム型デリバリー(ピザや寿司などの出前、ファミリーレストラン・ファストフード等の既存店舗を活用したデリバリー事業等)」、「定期販売型デリバリー(在宅配食サービスや生協の個配など配送先や配送頻度などがある程度決まっているデリバリー事業等)」、「個人間宅配」の4分野としている。このうち、通信販売分野が市場全体の概ね半数の割合を占める。

2018年度のラストワンマイル物流市場規模は前年度比113.7%の1兆8,300億円と推計されている。国内では、宅配便がラストワンマイル物流を担う大きなインフラとなっており、宅配便の取扱個数の拡大、ならびに配送単価の高騰とともに、ラストワンマイル物流市場規模も拡大している。

台頭するシェアリングデリバリーサービス

台頭するシェアリングデリバリーサービス

シェアリングデリバリーサービスとは、様々な外食店舗から消費者までの料理のデリバリーを代行して担うサービスをさす。外食店事業者は、同サービスを利用することでシェアリングデリバリーサービス事業者のプラットフォームに店舗名を掲載することができ、新たな販路の拡大にもつながる。

また自社でデリバリーを行う初期投資コストや管理運営コストの負担がないというメリットもある。こうしたことから、これまでデリバリー事業を展開していなかった中小外食チェーンの利用が多く、さらにデリバリー事業を展開している大手外食チェーンでも自社だけでは対応しきれない地域の店舗などでも活用されている。なおシェアリングデリバリーサービスは同調査におけるラストワンマイル物流市場規模には含まれていない。

2020年度の市場規模は2兆300億円

同社ではラストワンマイル物流市場は市場全体の半数を占める通信販売が拡大傾向と見られることから、これに牽引されるかたちで今後も堅調に推移すると予測している。

その一方、通販市場の荷物量はいずれピークを迎える可能性があること、また配送を担う人員不足やドライバー不足に対する根本的な解決策がないことが課題であるとしている。

今後はIoT・AI・ロボット(ドローン等)を活用した新しいアプローチで物流を構築する新規参入事業者が登場することでこうした課題が解決に向かえば、市場はさらに活性化していくと考えると結んでいる。

それらをもとに同社では2020年度のラストワンマイル物流市場規模は2兆300億円を予測。2018年度のラストワンマイル物流市場規模は約1.8兆円としているので、2年で約2,000億円の市場拡大が見込まれることになる。

引き続きEC市場の活況もありラストワンマイル物流はひっ迫した状況が続きそうだ。社会問題ともなっているそうした状況に対応するためにも、今後も引き続き官民あげた対策の実行が求められる局面と言えるだろう。


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