ECを支えるバックヤードが主役!「BACKYARD FES.2019」開催

利根川 舞

9月20日(金)〜21日(土)にかけて二子玉川ライズ中央広場と iTSCOM STUDIO & HALLにて「BACKYARD FES.2019」が開催された。

ネットショップ向けに『CROSS MALL』を提供する株式会社アイル(以下「アイル」)が主催するこのイベントは、ネットショップを陰で支える”バックヤード”に焦点を当てたイベントだ。

開催3回目の今年は約30店舗が出店

開催3回目の今年は約30店舗が出店

ECサイトでは、問い合わせなどをしない限り、購入者は人とコミュニケーションを取ることもないまま、簡単に商品の購入ができる。これはECの一つの魅力とも言えよう。しかし、そのECサイトの運営はもちろん、手元に商品が届くまでには多くの人が携わっている。

「BACKYARD FES.」はそうした、普段は裏方にいるバックヤード担当者が実際に店頭に立ち、お客様と接することで、お客様の生の声を聞きくことができる機会であるとともに、お客様にECサイトを支える人々を知ってもらうことができる機会なのだ。3回目となる今回はワークショップやグッズ販売、フード&ドリンクの提供で約30店舗が出店し、会場を盛り上げた。

商品+αの価値を提供

商品+αの価値を提供

20日には「これからのEコマース」をテーマに3つのセッションが展開。第二部のセッションでは株式会社パーシヴァルCMOの酒匂雄二氏をモデレーターに迎え、各店舗の”バックヤード”について語られた。

登壇したのは、壁紙屋本舗を運営する株式会社フィル(以下「フィル」)の番頭 林耕一郎氏、EC企画運営 丁稚の久木佐奈恵氏、クラフトビール「よなよなエール」などを販売する株式会社ヤッホーブルーイング(以下「ヤッホーブルーイング」)ネット事業 統括ディレクター 望月卓郎氏、おもいやり隊(お客様相談室)リーダー 道本諭始氏。

冒頭でテーマに上がったのは「会社が継続して成長するための秘訣」だ。これに対して、壁紙屋本舗の林氏は次のように話す。

「色々と要因はあると思いますが、うちの企業理念に”おもろいことを全力で”っていうのがあるんですが、そこに尽きるかなと。社員が”おもろい”って思っていないことをお客さんに”おもろい”って思ってもらえないですから、自分が”おもろい”と思っているのが大事ですね」

またヤッホーブルーイングの望月氏は、「色々と要因はあるけれど、日本で一番個人のファンが多いビールメーカーになりたいと思っています。普通のビールメーカーは法人との取り引きで、個人との取り引きはないと思うんですけど、我々はどれだけ個人のお客さんが面白がってくれるかを考えているんです」と語る。

そしておもいやり隊リーダーの道本氏は「やるべきことに注力できるようにしています。事務的な処理に当たる部分は自動化し、お客さんとのコミュニケーションの時間を作っていますね」と続けた。

両社に共通するのはお客様に、商品とはまた別の価値を提供していることと言えよう。そして、その価値を提供するために、両社とも社内コミュニケーションを活性化させていることなど、”バックヤード”を軸にそれぞれの取り組みが具体的なエピソードとともに語られた。

通常、トークセッションと言えば、1社1名となるのが通常だが、第二部のセッションでは各社2名での参加ということで、お互いを語ることもできる。そうすることで、普段は見ることのできない”バックヤード”での関係性を垣間見ることができた。

社内からの推薦で決定!バックヤードアワード

社内からの推薦で決定!バックヤードアワード「BACKYARD AWARD」受賞者のみなさん

20日の夜には、バックヤード業務に携わる担当者を表彰する「BACKYARD AWARD」の表彰式が開催。この賞は、各店舗・会社の経営者や店長、同僚からの推薦で受賞者が決定する。

受賞者発表の後には、推薦者からのメッセージが読み上げられるのだが、中には涙する受賞者も。社内での表彰制度を設けている企業は多数あるだろうが、こうして第三者の前で社員を表彰する取り組みにも、”バックヤード”に焦点を当てるというコンセプトが感じられた。

昨今はポップアップショップや出展イベントも増え、店頭に立つEC事業者も増えてきている。しかし、「BACKYARD FES.」では”バックヤード”に光を当てることを目的にしたイベントであるがゆえに、手元に商品が届くまでに多くの人が関わっているという事実を購入者に意識してもらうことができる。

そうなれば、「この商品はどんな人が作っているんだろう」「このサイトの向こうにはどんな人がいるのだろうか」と思考を巡らせる購入者も出てくるのではないだろうか。「BACKYARD FES.」はECを支える”バックヤード”担当者のモチベーションを上げるだけではない。EC事業者・消費者問わずECに関わる人々が楽しめ、心に変化をもたらすイベントなのだ。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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