EC購入デバイスとしてパソコンからスマホへのシフトがより鮮明に ニールセンが「消費者のマルチスクリーンの利用状況」を公表

ECのミカタ編集部

視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2019 (Nielsen Digital Consumer Database 2019)」をもとに、消費者のマルチスクリーン利用状況についての分析結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2019 (Nielsen Digital Consumer Database2019)は、デバイス(スクリーン)とコンテンツ(サービス)の両面から、その利用状況を調査することで、今日の消費者が、「どのデバイスから」「何を視聴し、どんなサービスを利用」しているのかを俯瞰できる基礎調査データです。 2012年より継続調査を行っている。

本年度の調査は2019年9月6日~9月9日にかけて実施され、スマートフォン、パソコン、タブレットのいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の15歳(高校生)以上の男女、計2,984人を対象に調査が行われた。

サンプル数は上記3デバイスからのインターネット利用者の人口構成比によって割り当てられ、インターネットユーザーを代表するように割りつけられている。

進むスマホからのネット利用

進むスマホからのネット利用

年代別のデバイスの利用状況を見ると、どの年代でもスマートフォンからのインターネット利用が最も多くなっていた。40代以下では80%以上の人がスマートフォンからインターネットを利用し、50代でも利用率は80%近くとなっていた。昨年まではパソコンの利用がスマートフォンを上回っていた60代以上でも、スマートフォンの利用率は5ポイント増加し、最も利用されているデバイスとなった(図表1)。

「ネットでの買い物はスマホで」が主流に

「ネットでの買い物はスマホで」が主流に

各デバイスの利用目的を見ると、2017年と比較して各デバイスの利用目的の順位に大きな変化はなかったものの、利用する人の割合には変化が見られた。

ショッピング関連のカテゴリーに注目すると、2017年には約半数の人が「商品を購入するため」にスマートフォンよりもパソコンを利用していたのに対し、2019年にはパソコンが7ポイント減少、スマートフォンが4ポイント増加し利用デバイスが逆転した。「買い物に関する情報を得るため」には2017年から既にスマートフォンの利用がパソコンを上回っていたが、2年で更に3ポイント増加し、パソコンとの差が広がった(図表2)。

実店舗購入前に、まずはネットで検討

実店舗購入前に、まずはネットで検討

次にデジタルネイティブとも言われる30代以下のショッピング関連の動向に注目すると、オンラインでの購入経験の多いカテゴリーでは実店舗で購入する際にもオンラインで検討していることが分かった。

特にファッション、化粧品、電化製品は実店舗で購入する際にも、オンラインで検討する割合が最も高く、それぞれ約半数となっていた(図表3)。

高まるクチコミへの信頼度

高まるクチコミへの信頼度

最後に30代以下がどのような情報を信頼するかを情報ソースごとに見ると、1位は「知人からの勧め」、2位は「オンラインに投稿された消費者の意見」、3位は「ブランドのウェブサイト」となり、それぞれ2017年から信頼度が増加していた。

中でも「オンラインに投稿された消費者の意見」は2017年から12ポイント増加し、最も増加率が高くなっている情報源となっていた。また2017年と比較してデジタルメディアは全般的に信頼度が高まっていた(図表4)。

「どのような情報接触で態度変容するのかが重要」

調査結果にあるように、どの年代でもインターネット利用デバイスはスマートフォンが主流になってきており、30代以下の約半数は「化粧品」「電化製品」「ファッション」を実店舗で購入する際にオンラインで検討していることが分かった。また30代以下では2017年からデジタルのトリプルメディアの信頼度が全般的に増加していた。

同社アナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。

「インターネット利用デバイスとして、スマートフォンはその利用者数を拡大し、どの年代でも最も利用されるデバイスとなりました。中でもショッピングに関連する目的でスマートフォンを利用している人は年々増加しています。少し前までは、じっくりと検討する場合や高額な商品を購入する際には、パソコンを利用する傾向がありましたが、スマートフォンを使っていつでもどこでも手軽に情報収集し、購入する傾向が高まっていることが分かります。

また、実店舗で商品を購入する際にオンラインで情報収集し検討をする人が、多くのカテゴリーで3割近くいることが分かりました。消費者が購入の検討をする上で、オンラインかオフラインかという購入経路に関係なく、デジタル上での情報の重要性が増していると言えます。そのような中で、昨年のデジタル広告費がテレビと並んだことが話題になりましたが、消費者が信頼するメディアとしても、オンライン上の口コミ、ブランドのウェブサイトなどデジタルメディア全般が向上していました。

広告メディアとしての信頼が向上することで、より消費者の態度変容への影響が高まることが考えられます。企業は、消費者に行動を起こさせるために、従来型のメディアも含め、自社のターゲットがどのメディアでどのような情報接触で態度変容するのかを考慮した上で、統合コミュニケーションプランを考えることが一層重要になっています」。

本格的な5Gの普及を前にして、すでにECにおいてもユーザーがアクセスするデバイスとしてスマートフォンの比重が際立って高くなってきている。こうした状況を踏まえて、よりパーソナライズされた施策、スマホフレンドリーな施策が求められる時代となっているようだ。


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