サイバーエージェントが動画広告市場の近未来を予測 2023年には5,065億円規模に達すると推計
株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:藤田晋、東証一部上場:証券コード4751)は動画広告に特化した研究機関であるオンラインビデオ総研において株式会社デジタルインファクト(本社:東京都文京区、代表取締役社長:野下智之)と共同で、国内動画広告の市場動向調査を行った。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
調査主体:株式会社サイバーエージェント
調査時期:2019 年9 月から 2019 年11 月
調査方法:動画広告市場関係者へのヒアリング、調査主体ならびに調査機関が保有するデータ、公開情報の収集
調査対象:動画広告市場
調査機関:株式会社 デジタルインファクト
出展元:サイバーエージェント
同調査では、インターネットを通して配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し市場規模予測を算出しされている。
成長を続ける動画広告市場
ユーザーによるオンライン動画視聴の普及が進む中、良質な動画コンテンツの提供が広がり、よりユーザーの日常に寄り添ったものとなった。また動画広告も広く受け入れられるようになり、企業による動画広告の利用は一般的な手法として定着している。
広告フォーマットにおいては、ソーシャルメディアを中心としたアウトストリーム型の動画広告の普及が一段と進み、また動画コンテンツ内で再生されるインストリーム型の普及も進んだ。
これら広告フォーマットの動画化が進んだことで、より一層、安心・安全な動画広告の出稿環境の整備を求める広告主の要望が高まり、その配慮がなされた動画広告商品の需要は大きく増加している。
さらにユーザーの年齢や性別などに合わせ、適切なコミュニケーションを図ることが出来る媒体の選択肢が広がった。これらを背景に、2019年の動画広告市場は、引き続き高い水準で成長を遂げている。
動画広告市場推計 <デバイス別>(2018-2023)
2019年は、良質な動画媒体や動画コンテンツに配信される動画広告や、SNSにおける動画広告の需要が大きく増加し、ユーザーとの動画広告を通じたコミュニケーションにおいては、よりコンテンツとして受け入れられやすいクリエイティブを試行する取り組みが活発に行われた。
また広告主が動画広告をより効率的に活用し、ユーザーとコミュニケーションを取るための広告配信手法や、広告効果を適切に計測するための環境整備も進んだ。
これらを背景に、2019年の動画広告市場規模は、昨年対比141%となる2,592億円に達する見通しだとしている。さらにモバイル動画広告需要は昨年対比147%の2,296億円にのぼり、動画広告需要全体の89%を占める見込みだ。
今後もスマートフォン動画広告が動画広告需要全体の成長をけん引し、2023年には5,065億円に達すると予想されている。
動画広告市場推計<広告商品別>(2018-2025)
2019年は、広告主にとって自社のブランドを毀損することのない、安心・安全な動画広告への需要が大手媒体を中心に大きく増加した。特徴として、尺の短いフォーマットの利用が定着し、縦型フォーマットなど媒体の特性に合わせたフォーマットの利用が進んでいる。
また大型スポーツイベントに合わせたライブ配信とタイアップした動画広告を取り扱うなど、ユーザーにとって身近なところで、動画広告を活用したコミュニケーションが見受けられた。ゲームやコミックなどのアプリケーション内で提供される動画リワードにおいては、有力なゲームアプリでの導入も進みユーザーに広く受け入れられ、その需要も増加している。
動画広告は、媒体特性に合わせて最適な広告商品やフォーマットによる提供が行われており、広告主は、媒体特性に合わせた最適なクリエイティブによるコミュニケーションのあり方を試行する動きが見受けられる。
拡大する動画広告市場と変化するニーズ
同社からは調査を受けて次のようなコメントが出されている。
「5Gの普及とともに、通信速度の高速化が進むことで、ユーザーのスマートフォンを中心とするインターネットコンテンツの視聴は、より動画中心へとシフトすることが予想されます。これに伴い、今後も新しい動画媒体や動画広告フォーマットが普及することで、広告主における動画広告を活用したプロモーション活動での選択肢はさらに広がることが期待されます。
さらに、安心・安全を前提とした適切な場所や適切なユーザーへの広告配信のほか、横断的かつ一元的な効果計測のニーズはますます高まっており、これらの取り組みが業界全体で進められることにより、動画広告市場は引き続き高い水準の成長を継続することが予想されます」
EC市場でも顕著になってきているようにモバイルからのネット利用は今後も進むものとみられる。そうした中でより大容量のデータをやりとりできる5Gサービスの本格開始もあり、動画広告の活用や、よりパーソナライズされた広告展開が求められることにもなるだろう。あわせてネットだからできるデータをもとにした定量的なアプローチや、デバイスを横断した施策もさらに重要になって行くことになりそうだ。