【新型コロナ】危機の中で拡大するEC利用 GfK Japanが家電・IT市場を対象とした最新レポートを公表

ECのミカタ編集部

GfK Japan(東京:中野区)は、全国の有力家電・ IT 取扱店の販売実績データ等を基に、新型コロナウイルス感染拡大の影響があらわれた2020年2月以降における家電およびIT市場の販売動向を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

家電小売市場でのECへの顧客流入が発生

同社によれば足元の2020年3月における家電量販店および総合量販店の店頭販売は金額前年比13%減となった。新型コロナウイルスの感染拡大による不要不急の外出自粛、商業施設の営業時間短縮などが影響を及ぼしたとしている。

関東・甲信越地区においてはより縮小幅が大きく同15%減となった。特に首都圏で初めて週末の外出自粛要請が出された3/23週の販売は、全国における金額前年比が18%減であったのに対し、関東・甲信越地区は同25%減となり、その後も低調が続いた。店舗の休業や時短営業に加えて、インバウンド需要の減少が首都圏の販売縮小に影響したとみられると分析している。

一方で、インターネット販売における3月の金額前年比は18%増となった。外出自粛により自宅でも購入できる通販の需要が高まった結果、店頭販売とは対照的な動きをみせた。

家電量販店店頭の販売動向

家電量販店店頭の販売動向

次に家電量販店の店頭販売における製品カテゴリ別の動向をみると、感染予防対策の需要拡大を背景に、電子体温計や空気清浄機の販売が急伸していることが分かった。

2月上旬にクルーズ船での集団感染が判明した頃から感染有無を確認するために検温の需要が高まったとみられ、電子体温計の販売本数は2-3月期で前年の3.1倍となった。さらに、一時的な急伸ではあるが2/24週では前年の7.5倍を記録した(図1)。

空気清浄機の販売台数は2-3月期で前年比18%増となった。成長をけん引したのは加湿機能搭載モデルで、同モデルに絞ると前年比は同39%増となった。例年この時期は花粉対策として購入される場合が多いが、適度な湿度を保つことが感染対策となることから、加湿機能付き空気清浄機の需要が拡大したと考えられるとしている。

また、2月末に政府からの休校要請が出されて外出自粛のムードが高まる中、調理家電においても需要変動がみられた。3月のホットプレート・たこ焼き器の販売台数は前年比35%増、ホームベーカリーは同22%増となった。家族そろって過ごす時間が増加したことにより、こうした調理家電の需要拡大につながったと考えられると分析。

冷凍庫の販売台数も伸長しており、週末の外出自粛要請が出された3/23週は前年の2.9倍、翌週は同4.0倍を記録した。冷凍食品などのまとめ買いにより、これまで以上に保存スペースを必要としている消費者は少なくないようだとしている。

テレワーク拡大によりIT製品の売上が伸長

さらに政府による平日の在宅勤務推奨などをうけてテレワークの実施が拡大するにつれ、自宅での仕事に使われるIT製品の販売が伸長している。例えば、オンライン会議へ参加する際に使用されるUSB接続のウェブカメラをみると、3月の販売台数が前年の4.1倍となった。

こうした需要増はテレワークを実施する勤労者が多い大都市圏において顕著にみられ、3月のPC用モニタ販売台数は全国で前年比32%増となる中、関東・甲信越地区では同51%増に達した。

足元では7都府県に出されていた緊急事態宣言が全国へと広がり、外出自粛の気運は益々高まるだろうとして上で、全国的にテレワークの利用や在宅時間が増えることで、関連製品の需要は引き続き高水準で推移すると予想している。

危機の中で拡大するEC利用

レポートにあるように、2020年3月の家電量販店および総合量販店における店頭販売の金額前年比は13%減だった。一方でインターネット販売は同18%増と急伸した。また新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、感染予防対策やテレワークに関連する家電製品の需要が急増した。

新型コロナウイルスによる感染拡大に関連した市場調査は各社から出されているが、今回の同社の調査によっても、リアル店舗での売り上げが大きく落ち込む一方で、その落ち込みを上回る形でECでの購入が増えている。コロナ禍との戦いが長期化をすることが予想される中で、こうした傾向はより一層高まり、また継続されることになりそうだ。

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