楽天が2020年12月期第1四半期決算短信を公表 売上収益は前年比18.2%増

ECのミカタ編集部

楽天株式会社は2020年5月30日に2020年12月期 第1四半期決算短信を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

コロナ禍での決算

楽天グループの第1四半期連結累計期間における売上収益は331,443百万円(前年同期比18.2%増)、Non-GAAP営業損失は18,136百万円(前年同期は117,977百万円の営業利益)となった。

当該、第1四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって急速に悪化しており、極めて厳しい状況下にある。日本経済においても、同影響による経済活動の低下を受け、企業収益においても急速な減少がみられるなど、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクも顕在化している。

一方で、感染症拡大防止の観点から、各自治体による施設や店舗への休業要請、外出自粛要請等が発令される中で、人との接触機会を減らしながら、商品を購入、サービスを享受することが出来るインターネットサービスや、ネット金融サービスへの人々の需要は高まっており、同サービスを提供するIT企業に期待される社会的役割は一層増していると同社は述べている。

このような環境下、同社グループは、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムを活用した事業経営により、感染症の影響による事業リスクの分散を図るとともに、引き続き、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネスの展開、AI等を積極的に活用したサービスの開発・展開を進めてきた。

送料無料ラインには約80%の店舗が参加

インターネットサービスセグメントにおける売上収益は190,678百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント損失は4,431百万円(前年同期は110,691百万円の利益)となった。

インターネットサービスの主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益のさらなる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略、送料込みラインの統一施策の導入、自社物流網の整備・強化等に注力した。海外インターネットサービスにおいては、ブランド認知度の向上及び事業の拡大に向けた取組を続けている。

フィンテックにおいては、『楽天カード』会員基盤の拡大に伴うショッピング取扱高やリボ残高が伸長し、売上収益及び利益の増加に貢献したほか、銀行サービスにおいては、ローン残高の伸長に伴う貸出金利息収益の増加や事務の効率化等により、マイナス金利政策の環境下にもかかわらず、売上収益及び利益拡大が続いている。証券サービスにおいては、2020年2月及び3月の月間新規獲得口座数が2カ月連続で過去最多数となるなど、会員基盤の急速な拡大が続くと同時に、国内株式市場における手数料収入、FX手数料等の増加により、売上収益及び利益の増加に貢献した。

モバイルにおいては、世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークを提供する携帯キャリア事業として、2020年4月8日より本格的なサービスを開始した。2020年1月には音声・データ通信サービスを無償で利用できる「無料サポータープログラム」において、最大20,000人の追加募集を行い、ネットワークサービスエリアでの利用を通じて、安定性の検証を含めた品質の向上に努めたほか、基地局の開設等を加速させているとしている。

「共通の送料込みライン」については3月18日より、楽天市場において3,980円以上購入した場合送料込みとなる送料込みラインを導入し、2020年4月末時点において、全体の店舗の約80%がプログラムに参加していると説明している。

元々、全ての店舗に導入を予定していたがコロナの影響で準備ができた店舗から順次の導入となっている。

三木谷氏は「今後の予定では、状況を見ながら全ての店舗に適用するかは考える、実際導入した店舗の収益伸び率を見ると、全ての店舗が自発的に導入してするよう説得を進めていく」と述べた。

進むワンデリバリー構想

また同社は、包括的な物流サービスを提供する「ワンデリバリー」構想のもと、自社物流施設への楽天市場出店店舗商品の受入れ拡大やラストワンマイルにおける自社配送エリアの拡大等、自社物流網の整備・強化に努め、配送業者による物量制限、配送料金値上げによる影響の中長期的な緩和を図るとともに、送料込みラインの統一施策の導入により、顧客と楽天サービス出店者双方の利便性向上に注力しているとしている。

激動の令和で試される楽天

このように楽天は新型コロナウイルスによる感染拡大の影響下にある決算を公表した。コロナ禍では「巣ごもり消費」が広がる中、EC市場全体へのニーズが高まっているが、一方で旅行やレジャー、飲食といった産業は特に大きなショックに見舞われている。

それを裏付けるように楽天でもインターネット・ショッピングモール『楽天市場』や医療品・日用品等の通信販売等を行う『Rakuten 24』などにおいては、いわゆる「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりにより、取扱高に押し上げの効果が見られたそうだ。

一方で、インターネット旅行予約サービスの『楽天トラベル』においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、外出自粛等の影響を強く受け、特に2020年3月以降の予約低迷、キャンセルが相次いだ。海外インターネットサービスにおいては、ブランド認知度の向上及び事業の拡大に向けた取組を続けている。

また「送料無料ライン」について公正取引委員会による調査などが行われ、楽天も当初の一律導入から各店舗が選択できる形での導入に転換した。その結果、約8割の店舗が参加する情勢となっている。参加している店舗は、他店との競争や売り上げ確保の観点から、送料無料ラインを導入せざるを得ないとの実情も垣間見え、一般での同問題からの関心の低下とは裏腹に、本質的な課題は今後も残りそうだ。

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