内閣府「地域経済動向」を公表 景況判断は「持ち直し傾向」、個人消費は地域によってバラつき
内閣府(内閣府政策統括官、経済財政分析担当)は、令和2年9月7日に、最新となる「地域経済動向」レポートを取りまとめ、その内容を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
景況判断は「持ち直し傾向」
まず、地域別の景況判断(景気の変化方向)についてだ。レポートによれば、景況判断としては、前回5月の調査と比較し、全ての地域で「持ち直しの動きがみられる」としている。
また、鉱工業生産(沖縄は観光)については、多くの地域で「一部に持ち直しの動きがみられる」との表現になっている。さらに雇用情勢については、全ての地域で「感染症の影響により、弱い動きとなっている」としている。
個人消費は地域によってバラつき
個人消費については、次の通りだ。
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消費について、2020 年4-6月期の百貨店・スーパー販売額(実質・季節調整値)の動きをみると、北関東(前期比 2.9)、甲信越(同 0.7)等で全国(同▲7.2)を上回る一方、近畿(同▲12.9)、南関東(同▲10.5)等は下回った。
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地域別消費総合指数(実質・季節調整値)においては、地域でばらつきがみられる。
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カード支出に基づく消費動向は、緊急事態宣言下の4月を底に上向き基調。
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乗用車の新規登録・届出台数は、全地域で5月を底に前年比のマイナス幅が縮小している
引き続き難しい「かじ取り」が求められる
調査結果にあるように、全体の景気判断としては、「持ち直し傾向」にあるとしつつ、個人消費については、地域別消費総合指数(実質・季節調整値)においては、地域でばらつきがみられ、カード支出に基づく消費動向は、緊急事態宣言下の4月を底に上向き基調だった。
緊急事態宣言の発令で一気に冷え込んだ経済だが、その解除後に一気に消費が戻りつつ、その後の「第2波」とも言われる、新型コロナウイルスの感染再拡大などがあり、再び冷水を浴びせられている状況にある。一方で、個人のカード支出による消費が上向きであるのは、ニューノーマル下におけるEC需要の高まりと関連していることが推察できる。
中央政界では、安倍首相が辞意を表明し、野党でも合流の動きが加速するなど、動きが激しいが、新首相とその政権、そして次の総選挙後の政権についても引き続き、感染防止と経済の回復の両立という、難しい「かじ取り」が求められることになりそうだ。