ZHD、売上14%増も減益。ショッピング事業は取扱高33%増

森田春香

「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の状況(Zホールディングス決算資料より抜粋)

Yahoo!ショッピングなどを展開するZホールディングスは3日、2020年度第3四半期決算を発表した。売上収益は、ECの取扱高増加の影響で前年同期比14.9%増。営業利益は、投資を積極的に行ったことやシステム刷新により8.1%減となった。

ECの事業拡大へ大型キャンペーン実施

売上収益は2754億円で前年同期比14.9%増だったが、営業利益は478億円と前年同期比8.1%減となった。

売上収益増の主な理由は、コロナ下でのコマース事業の取扱高拡大によるもの。営業利益減は積極的な投資のほか、カード事業の既存システム刷新に伴う除却損を計上したことが要因だ。

Yahoo!ショッピング、PayPayモールは引き続き成長

Yahoo!ショッピング、PayPayモールは引き続き成長

Yahoo!ショッピングは、積極的な投資を行ったことで新規購入者数が前年同期比4割増、客単価も同3%増だった。

PayPayモールは加盟店数が286万カ所に拡大。登録者数は3491万人に達している。

第4四半期の施策詳細 通期は前年比5%増の1600億円を目標に

2020年度通期の営業利益目標は、1600億円(前年同期比5.1%増)という。

ZHDはコロナの影響が続く2020年度下半期を「事業拡大機会」ととらえ、第4四半期はより攻めの姿勢へシフトしていくという。

第3四半期は「超PayPay祭」 などの販促施策へ、108億円の積極的な投資を行った。
その結果、ショッピング事業取扱高は33.7%増、リユース事業取扱高7.4%増だった。1桁後半%の成長は、じつに4年半ぶりだという。

第4四半期の投資予定は210億円で、主な内容は以下の通りだ。

eコマース物販領域
・年度内における大型キャンペーンの実施
・ストア向け配送キャンペーンの実施
・その他、取扱高拡大にむけた販促施策 等

クレジットカード領域
・新サービス/機能開始に伴う
会員数拡大にむけた販促施策 等

その他
・銀行口座数拡大にむけた販促施策
・LINE統合に伴うブランディング 等

メディア・検索領域
・統合マーケティングソリューションの拡販施策
・アプリインストール促進の販促施策 等

EC領域では、「年度内における大型キャンペーンの実施」に注目したい。EC需要が高まる春に向けて、Yahoo!ショッピング、PayPayモールともに先行する他社を追いかける。

また新型コロナの影響で先延ばしになっていたLINEとの統合も3月に控える。相乗効果をどこまで生み出せるかに注目だ。

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