約6割が売上減少と回答「アドテク2021:ニューノーマル時代のデジタルマーケティング」を公表
Criteo(クリテオ、本社:フランス、日本代表取締役:グレース・フロム、以下Criteo)は、回答者の8割以上がマーケティング予算の意思決定者を含む日本のマーケティング担当者を対象に、2020年10月に調査を実施したレポート「アドテク2021:ニューノーマル時代のデジタルマーケティング」を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
約6割が新型コロナの影響により売上が減少
マーケターの約6割がCOVID-19の影響により、2020年の売上が減少したと回答した。その一方で、約3割がウェブサイトでの売上が増加したと回答し、2021年のデジタルマーケティングへの予算配分を同レベルに維持または増やす可能性が広がる。
また、マーケタ―の半数以上が、デジタルマーケティングキャンペーンは計画通りに進行中と回答した。さらに50%が既存顧客維持、47%がデジタルマーケティング活動増加のためマーケティング部門の重要性が高まったと回答した。その一方で、イベントや実店舗、屋外でのキャンペーン、採用などには積極的ではないことが見受けられた。
73%が「ウェブサイトの売上はマーケ計画に最も影響を与える」
73%が、ウェブサイトの売上はマーケティング計画に最も影響を与える指標の1つであると回答した。他にも顧客獲得コストやリピート顧客の売上があげられており、オンライン売上とサイト訪問・再訪を促進することが、今後のビジネスにとって重視する点であることを示しているようだ。
また3分の1以上がオンラインでのプレゼンス拡大とビジネスのデジタル化が主な優先事項であると回答した。今後COVID-19の影響から回復するためには、運用コストの削減と新規顧客の獲得が主な目標としてあげられている。さらに半数が、デジタル広告キャンペーンを実施する上で消費者のニーズや彼らの興味・関心との関連性を高く維持することが重要だと回答した。
そのほか、今回の調査で公表されているデータは、次の通りだ。
◆2019年の同時期と比較して、過去6カ月間に次のマーケティングチャネルにどの程度支出しましたか?
◆過去6カ月間と比較して、今後6~12カ月間に次のマーケティングチャネルにどの程度支出する予定ですか?
◆COVID-19の影響から回復するために、御社が掲げる主な目標を教えてください。
◆2020年第4四半期のデジタル広告キャンペーンを実施する上で、次の要素はどの程度重要ですか?
2021年マーケティング戦略3つのポイント
同社は、既存顧客を維持するほか、関係性を維持しつつブランドイメージを崩さない適切なコンテンツでアプローチをし続けることが同じくらい重要だとしている。その上で、2021年マーケティング戦略3つのポイントを示した。
◆2020年の収益損失を挽回
2020年の落ち込みからビジネスの立ち直しを図るにあたり、新旧顧客とエンゲージメントを高め、収益に直結する活動に注力する。新規顧客への売上を拡大するとともに、最近の購入者に次に購入したいと思わせるような商品を提案し、休眠中のオンライン・オフラインの顧客とリエンゲージすることが重要となる。
◆新たなオーディエンスにリーチし、継続的に新規顧客を獲得
新しい生活様式が求められるなかで、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取る「BOPUS(Buy Online, Pick Up in Store)」など受け取りオプションの充実を求める人が増えており、新規オーディエンスとオンラインでつながる方法は無限だ。リーチの最大化を目指しつつ、既存顧客と行動が似ている人とつながり、「インマーケット」なオーディエンスにリーチすることが重要となる。
◆広告の内容・品質を担保
ブランドセーフティを確保した上でマーケティング予算を投下し、適切な広告のコンテンツを、適切な広告枠に配信し、マーケティングゴールの達成を目指すことが重要となる。そのためには「目的とクリエイティブを一致させる」「ブランドセーフティを確保してリスクを減らす」「購入意欲が高まったユーザーにリーチする」ことが求められる。
ロイヤルな顧客を増やしていくことがより一層大切に
Criteoのチーフ・インダストリー・ストラテジストである中村祐介氏は次のように述べている。
「2020年に影響を受けた多くの企業やマーケターにとって、2021年は工夫を凝らし回復に注力していく年になるでしょう。先行きが不透明な中でも事業を回復していくには、消費行動の変容やオンラインショッピングの普及、OMOに機会を見出し、新規・既存を問わず顧客にリーチし、ロイヤルな顧客を増やしていくことがより一層大切になっていきます。また、広告の品質を担保しながら適切なメディアへ配信し、ブランドセーフティを確保することも引き続き需要性を増すことが予想されます」
このように新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大により、マーケターの多くが販売チャネルやマーケティング戦略の変更を余儀なくされるものの、回答者の約半数が2021年の全体としてのデジタルマーケティング予算は昨年と変わらないと答えたことが明らかになった。
また、パンデミックの影響によりマーケティング機能の重要性が高まったと62%が回答し、50%がマーケティングの重要性が高まった理由として既存顧客の維持をあげた。コロナ渦でEC需要が増加した背景も踏まえ、マーケターは社会変化や消費者の行動変容を捉え、デジタルマーケティング戦略を最適化していくことが求められることになりそうだ。