新興国のEコマース連合「グローバル・ファッション・グループ(GFG)」創設へ

世界各国のECサイトを統合する巨大サイト

南米、インド、ロシア、中東、東南アジア・オーストラリアのファッション通販サイトが参加する「グローバル・ファッション・グループ(GFG)」が、創設される予定だ。
これはスウェーデンの投資会社キネヴィックと、ドイツのインターネット関連企業ロケットインターネットが発表したもの。両者の投資先のファッション通販サイトの運営会社5社を統合し、新会社「グローバル・ファッション・グループ」を創設する。設立予定は年内だ。

「グローバル・ファッション・グループ」に統合されるのは、南米の「Dafiti」、インドの「Jabong」、ロシアの「Lamoda」、中東の「Namshi」、東南アジア・オーストラリアの「Zalora」の5社。
新興国に焦点をあてつつ、五大陸で展開。3,300億ユーロ(約45兆)のファッション市場と25億人を超える人口を抱える23ヵ国をカバーする。

5社は、新興市場におけるファッションeコマースでトップのポジションを得ることを目標に、専門知識の共有や配送に必要なインフラの構築、プライベート・レーベル・ブランドの開発、モバイルアプリの開発で相互に協力して、グローバル展開をめざすという。

国民性より生じる趣味嗜好という壁を超えられるか

2014年6月30日時点で、GFGは460万人のアクティブユーザーと7,000人を超える従業員を擁している、という。
2014年の上半期、GFGのウェブサイトには、3億5,300万人のユニーク ビジターが訪れ、840万件の注文を受け、4,360万ユーロの流通総額が発生した。2013年のGFGの国際財務報告基準 (IFRS)収益は、406万ユーロに達している。

ただし、どの程度強力なECサイトになるか、現時点では見えてこない。

ファッションは、国や地域、民族により好みがある。日本人のファッションと中国人のファッションも近いようでいて、やはり違う。
異なる国々のECショップが合併するメリットは、何だろうか?
たとえば楽天がグローバル戦略をとるのと比較すれば、もともと各国でよく知られていた分、有利だろう。
だが、ロシア人がインドのファッションをそれほど買うとは思えないし、足並みが揃うとも限らない。
IT系の技術などを補完し合うためだけの統合なら、他のECショップにとって脅威になるとは思えない。ただの「足し算」であり、「掛け算」にはならず、経営体として巨大化するだけという見解もある。

原材料を大量ロットでより安く購入するようなアドバンテージはありえるが、全体的な意図は不明瞭である。しばらく様子見といったところだろう。