単品通販(単品リピート通販)とは?ビジネスモデルや成功事例についても解説
近年、楽天やアマゾンの総合通販ではなく、単品通販という手法を用いてECサイトを運営する企業が増えています。
本記事では、EC市場へ参入を検討している企業担当者向けに、単品通販のビジネスモデルや売上を伸ばすためのポイントを紹介します。
単品通販とは
単品通販とは、ECサイトで販売する商品やジャンルを1つに絞って販売する手法です。
これには1種類の商品を販売するだけでなく、同じブランドで複数種類の商品を販売する場合も含まれます。
主に健康食品や化粧品など消耗品が多く、これらのジャンルが単品通販市場の大半を占めています。
単品通販のビジネスモデル
単品通販の特徴は以下のとおりです。
- 取り扱う商品(ジャンル)が絞られている
- 商品ごとのランディングページがある
- 1つの商品に対しての説明や情報量が多い
- 主な商品ジャンルは健康食品や化粧品などの消耗品
- 少ない資本で始めやすい
単品通販は、販売する商品を1つのジャンルに絞り、狙った年齢層やターゲットに自社のオリジナル商品を購入してもらうことを目的としています。
そのため、幅広いユーザーからサイトの認知をしてもらう必要はなく、効率的に狙ったターゲットに訴求できるメルマガや、ダイレクトマーケティングを行っていくことが重要です。
また、リピート購入を促すため、初回特典やお試し価格を設定し、継続的な定期購入につなげることが主な戦略です。
さらに、特定の商品しか扱わないため、総合通販よりコストを抑えて始めることができ、資本が少ない企業でも取り組みやすいです。
総合通販との違い
総合通販の特徴は、以下のとおりです。
- 取り扱う商品(ジャンル)は多い
- カタログ形式
- 1つの商品に対しての説明や情報量が少ない
- 商品ジャンルは多岐にわたる(家電、アパレルなど)
- 初期コストは膨大にかかる
総合通販は、多くのジャンルの商品を並べ、幅広い年齢層に訪問を促し、お気に入りの商品を購入してもらうことを目的としています。カタログ形式で商品情報が簡潔にまとめられ、家電やアパレルなどさまざまな商品を網羅するのが特徴です。
まずはサイトを知ってもらうことが大切なので、広告やSEO対策などで多くのユーザーを呼び込む施策を立てることが重要です。
商品を多く取り扱い、大規模に展開していかなければいけないため、初期費用や維持コスト、人件費がかさむので参入障壁は高いといわれています。
一方、単品通販は特定の製品に特化し、顧客との長期的な関係を築きやすいのが特徴です。
単品リピート通販・単品定期通販と呼ぶことも
単品通販は、顧客に特定の商品を継続して購入してもらう傾向があるので、「リピート通販」や「定期通販」とも呼ばれます。
定期通販では、定期的に商品が配送されるため、顧客側は都度購入する手間が省かれ、ECサイト側は安定した収益を確保することができます。
このビジネスモデルでは、初回購入後にいかに継続購入につなげるかが成功のカギとなります。
補足:単品販売と型番販売について
単品販売とは、特定の商品を1つずつ販売する形式で、主に消費者に特定の商品だけを購入してもらうビジネスモデルを指します。
単品販売では、商品の種類が限られており、広告やマーケティングもその特定商品に集中しやすいという特徴があります。
一方、型番販売とは、型番(モデルナンバー)を使って、同じ商品を大量生産し、複数の販路で販売する方式です。
型番販売は主に家電や家具などの産業で用いられ、同一の製品を広範囲にわたって安定的に供給するために使用されます。これにより、消費者は複数の販売店やECサイトで同じ型番の商品を比較購入できます。
単品販売は特化型の商品に適しており、型番販売は多くの市場で流通する商品に向いている、という違いがあるといえるでしょう。
単品通販のメリット・デメリット
単品通販には、ビジネスを展開するうえでのメリットとデメリットが存在します。
特定の商品にフォーカスすることで、ブランドの差別化や専門性を高めやすい一方で、商品数が限られているため、リピート率や商品開発力が重要な要素となります。
メリット
まずは、メリットから紹介します。
自社のブランドが確立しやすい
総合通販で商品を販売すると、さまざまな商品と比較されるため価格競争が起きやすくなり、価格を下げざるを得ないという状況があります。
単品通販であれば商品にかけた想いや成分、製法などの情報を伝えることができるため共感してくれるユーザーを顧客化させたり、自社がアピールしたいブランドイメージ像を自分たちで作りあげてアピールしたりできます。
そのため、ユーザーからも「どんな商品なのか、どの年齢層向けなのか」が伝わりやすくなるというメリットがあるのです。
収益予想が立てやすい
単品通販は、新規の顧客よりもリピート顧客やサブスク購入してくれる顧客を対象としているビジネスモデルのため、収益が立てやすい点もメリットに挙げられます。
デメリット
続いてデメリットです。
売れなかったときのリスクが高い
単品通販は、リピート顧客やサブスク顧客が増加すれば売上を期待できますが、商品が全く売れないと、限られた商品しか扱っていないため売上が立たなくなってしまうケースがあります。
また、ユーザー1人の減少が、売上に影響しやすいというデメリットもあります。
ターゲットが限定される
単品通販は、ターゲットをしっかり設定して販売することで反響が期待できますが、逆に、間違ったターゲット設定をしてしまうと、認知度が上がらないという点がデメリットです。
総合通販に比べて取り囲めるユーザーが少ないため、事前に戦略を立て効果的なマーケティング施策とプロモーションを行い、自社のファンを増やしていくことが大切です。
単品通販の市場規模
単品通販は、サブスクリプション型サービスの普及や消費者の価値観の変化により成長しています。
2018年の国内サブスクリプション市場は約5,627億円、2023年には8,623億円に達すると予測されています。特に健康食品や化粧品の定期購入が市場の成長を支えています。
参考:サブスクリプション・サービスの動向整理 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
単品通販に向いている商材
ここでは、単品通販のビジネスモデルと相性の良い商材を紹介します。
化粧品・医薬部外品
化粧品や医薬部外品は、肌の悩みや美容のケアを目的として消費されるため、リピート購入が多く、単品通販に向いています。
特に、スキンケア商品やシャンプー、トリートメント、日焼け止めなどは、効果を実感しやすく、消費者が継続して購入する傾向があります。
また、個人の肌質や美容ニーズに合わせてカスタマイズされた商品は、他社との差別化が図りやすく、継続的な購入を期待できるでしょう。
健康食品
健康食品も、健康維持や美容目的で定期的に購入されることが多い商材です。
特に、ビタミンサプリメントやダイエット食品、プロテインなどは継続的に摂取することで期待した効果が得られやすいため、定期的なリピート購入が期待できます。
また、健康食品の市場は年々拡大しており、消費者の健康意識の高まりに合わせて成長している分野といえます。
美容機器
美容機器も、単品通販に適した商材の1つです。特にフェイスケアやボディケアのための美容機器は、自宅で手軽に使えることから需要が高く、一定期間の使用で効果を実感できるため、リピート購入が期待されます。
美顔器や脱毛器、スチーマーなどは一度購入しても消耗品の追加購入や新製品へのアップグレード需要が見込めるため、単品通販に向いているといえます。
【一覧】単品通販を行う有名企業
日本国内の単品通販で売上を伸ばしている企業を一覧で紹介します。売上を構築している主力商品のほとんどが健康食品や化粧品です。
企業名 | 売上高 | 主力商品・素材 |
---|---|---|
サントリーウエルネス | 818億円 | セサミン |
ディーエイチシー | 493億円 | ビタミン・ミネラル |
ファンケル | 407億円 | 香醋 |
やずや | 185億円 | 基礎化粧品 マイルドクレンジングオイル |
山田養蜂場 | 180億円 | ローヤルゼリー |
えがお | 170億円 | 黒酢 |
わかさ生活 | 160億円 | ブルーベリー |
キューサイ | 135億円 | 青汁 |
世田谷自然食品 | 120億円 | 総合 |
朝日緑健 | 119億円 | 青汁 |
どの企業もリピート購入やサブスク購入をするユーザーを大切にし、同じ商品だけでなく別の商品を勧めたりするなど、ユーザーを離さない施策を徹底的に行っています。
自社のファンが増えれば増えるほど、安定した収益確保へとつながっていくでしょう。
単品通販の成功事例
単品通販では、特に、定期購入プランや顧客ニーズに応じた商品展開が成功のカギとなります。
ここでは、代表的な単品通販事業者の成功例を通して、どのような戦略がとられているかをみていきましょう。
オルビス
オルビスは、化粧品の単品通販で成功を収めた例です。特に肌悩み別に特化したスキンケア商品が人気で、顧客のリピート購入を促す施策を強化しました。
成功の要因は、定期購入プランの導入により、顧客が割引価格で商品を購入しやすくした点と、継続購入のインセンティブを提供したことです。
DHC
DHCは健康食品の単品通販で成功しています。特にサプリメントの定期購入プランが好評で、顧客の健康状態に合わせた商品を提供し、継続的な利用を促しました。
成功の要因は、個別のニーズに対応した商品ラインナップと、定期購入による割引制度にあります。
単品通販を成功させるためのポイント
単品通販の手法でECサイトを構築していく方に向けて、売上を伸ばすためのポイントをいくつか紹介します。
ターゲットを明確にし、集客をする
先述のように、ターゲット設定を間違えると、いくら良質な商品でも売上を伸ばすことに苦戦します。
限られた商品で収益化していくためにはターゲットを明確にすることが最重要です。「どんなユーザーに使って欲しいか」「ユーザーはどの経路から商品を認知できるか」などあらゆる目線で施策を立てましょう。
また、ECサイトの集客方法で一般的なのはWEB広告です。すでに自社の商品に興味をもってくれている人に後押しする広告や、知らない人に認知してもらうための広告など、さまざまな広告があるため、商品のフェーズに合わせて適切な集客方法を検討しましょう。
リピート購入につなげる
単品通販で売上を伸ばしていくにはリピート購入やサブスク購入をしてくれるユーザーが必要不可欠です。
例えば2回目以降購入するとクーポンが付与されたり、サブスク購入をすると通常より安く購入できたりなど、ユーザーにとってメリットとなるプランを提示すると効果が期待できます。
商品のリピートが少ない場合は、お客様アンケートの実施や競合、価格面で課題点を洗い出して改良していきましょう。
お試し・トライアル購入で初回購入のハードルを下げる
新しい商品を購入する際に「まずはお試しで使用してみたい」というのがユーザーの心理です。
特に健康食品や化粧品は個人差で合う、合わないがはっきり分かれるジャンルです。
そのため、まずは自社の商品の良さを知ってもらうためにお試しサイズで安価に購入することができたり、初回購入のみ割安で購入できたりするなど、購入のハードルを下げることは有効的な手段といえるでしょう。
ユーザーにとってメリットがあるサービスやプランを提供することを意識すれば、自然と自社のファンを増やしていけるでしょう。
自社に適したEC運営をしたいなら、ECのミカタへ相談するのがおすすめ
通販市場の中でも、少ない資本と明確なターゲットに訴求できれば、高い収益性を期待できる単品通販。
これから通販市場に参入しようと検討している場合は、単品通販のビジネスモデルを理解したうえで、自社が売り出そうとしている商品に単品通販という打ち出しが合っているかをよく検討することが重要です。
またリピート顧客を増やしていくためには、ユーザー視点を忘れずに商品の開発やサービス・プランの提供をすることを忘れてはいけません。
単品通販を成功させるためには、明確なターゲティングと、リピート顧客を増やすための戦略が不可欠です。
ECのミカタでは、各企業さまがもつ課題や希望に合った支援事業者とのマッチングサービスを提供しています。
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