商品認知の情報源は「ECサイト」が46.8%でテレビを超えてトップ、若年層ではSNSの存在感も増大
Glossom株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:足立 和久)は、消費者の購買行動におけるSNSやインフルエンサーの影響度合いやその内容を時系列に分析する「ソーシャルコマースに関する定点調査2021」を全国の10代~70代の男女10,000名を対象に実施。その結果を公表した。
ECサイトの利用率はほぼすべての性年代で8割越え
ECサイトの利用率は15~19歳で77.0%と8割近くにのぼっており、それ以外のすべての性年代で8割を超えた。特に50代男性で91.6%、60代男性で91.1%と高年齢層における利用率も高く、性年代を問わずECサイトの利用が浸透し、存在感が増している。
また、ECサイトの利用頻度に関しては15~19歳、20代男性で月3回以上と若年層が利用回数をけん引。1回あたりの平均利用金額に関しては、40代~60代の高年齢層がリードしており、月での平均利用金額も高くなっている。
商品・サービス認知の情報源は「ECサイト」がトップで46.8%
商品・サービスを購入する際の「知るきっかけとなる情報源」として最も割合が多かったのは、「テレビ番組・テレビCM(39.3%)」を抑えて「ECサイト(46.8%)」であった。
ECサイトが小売として実店舗と同等、もしくはそれ以上の影響力を持つようになり、企業が容易にECサイトを構築できるサービスやCRMツールが充実することで、ユーザーを囲い込むコマースプラットフォームとして存在感を増している。
「テレビ番組・テレビCM」と並ぶ割合となったのが「検索エンジン(38.8%)」で、欲しい商材があった際に検索して商品を認知する行動が一般的になっていると考えられる。また、「SNS(30.5%)」は「店舗(32.7%)」に次ぐ影響力を持っていることがわかった。
性年代別にみると、15~19歳男性、15~19歳、20代女性では商品・サービスの認知に際しての情報源として「SNS」の割合が最も高い。40代~70代の高年齢男性では「ECサイト」、50~60代女性は「テレビ番組・テレビCM」を情報源とする割合が最も高く、性年代によって認知経路の傾向が異なる。
各購買プロセスの乖離が最も小さい情報源は「SNS」
商品・サービスを購入する際に「知るきっかけとなる情報源(認知)」と、「買う際に参考にする情報源(検討)」の割合を比較すると、ECサイトでは「認知」を1としたときの「検討」が0.85、テレビ番組・テレビCMは0.57と大きな乖離があり、ECサイトのほうが認知から購入の後押しまでの各購買プロセス間の乖離が小さい。また、SNSは認知・参考・後押しの各購買プロセスの乖離が他情報源と比べ最も小さくなっている。
認知・参考・後押しのどのプロセスにおいても15~19歳男女、20代男女、30代男女についてはSNSを通じての情報取得が他年代と比較して高いことから、若年層では購買の際の認知・参考・後押しがSNSを通じて行われることが一般的になっていると考えられる。
SNSをきっかけに知る商品・サービス
SNSをきっかけに知る商材をみてみると、女性では日用品、食料品、化粧品などの非耐久消費財の割合が高い。また、15~19歳、20代の若年男性ではゲーム・アプリについての割合が高くなっており、若年層を中心に、日常ニーズがある分野でSNSを起点とする購買行動が一般的になっている。
商品・サービスの購入の際知るきっかけとなる情報源の内訳を見ると、若年層ではSNSでの発信内容を情報源とする割合が高く、特に15~19歳、20代、30代の若年層女性ではインフルエンサーからの情報発信を情報源としている割合が高くなっている。
インフルエンサーの影響が特に強いSNSはInstagram
インフルエンサーが発信している内容に影響を受けるSNSの種類をみてみると、女性ではすべての年代でInstagramが最も高く、特に若年層でその傾向が顕著となっている。
Instagramの利用時間が伸びている背景にはインフルエンサーが発信する情報の取得が積極的に行われていることが背景にあることが明らかになった。男性は女性よりもYouTubeからの情報取得の割合が全年代で高く、15~19歳女性ではTikTokからの情報取得の割合も高くなっている。
影響を受けるインフルエンサーの発信内容は「商品のレビュー」がトップ
商品・サービスを購入する際に影響を受けるインフルエンサーの発信内容については全年代において「商品のレビュー」が最も高く、女性では次いでライフスタイルや食事に関する投稿から影響を受ける割合が高い。
また、インフルエンサーが発信する内容のうち通常投稿とPR投稿から影響を受ける度合いに関してはすべての年代で「PR投稿と通常投稿の両方から影響を受ける」が最も高くなっており、発信内容以上にインフルエンサー自身への共感が有効に働いていると考えられる。
若年層では男女ともにPR投稿と通常投稿の両方から影響を受けている率が高いが、女性は年齢が上がるにつれ通常投稿のみから影響を受ける割合が上昇している。
インフルエンサーに影響を受ける理由は、「お得な情報を知ることができるから」という理由より、「商品の使用感や使用例、口コミなどの情報を得ることができるから」という理由の割合が高く、インフルエンサーという第三者を通して商品やサービスの理解を深める行動がみられる。
インフルエンサーから影響を受けた後の行動は「ネット検索」
SNSにおいてインフルエンサーの発信内容から影響を受けた後の行動として、「インターネットで検索する」割合が最も高く、次いで「SNS内でさらに検索する」が高くなった。
商材別では自動車・バイク、住居などの耐久消費財では「企業・ブランドのホームページを見る」割合も高く、金額が高く検討期間が長い商品ほど参照する情報源の数が多い傾向にある。使用感や使用方法が重視される傾向にある化粧品では、「SNSでさらに比較する」割合が他商材と比較して高くなった。
本調査では、購買行動において、商品の認知から購入に至るまでの消費者の行動にECサイトやSNSが大きな影響を及ぼしているという実態が明らかとなった。とりわけ、商品・サービスを認知する情報源として、「ECサイト」がテレビを超えてトップになったことは象徴的だ。
2020年に電通が発表した「2019年 日本の広告費」において、インターネット広告費がテレビ広告費を上回ったように、すでにインターネットは日本最大の広告媒体となっている。今後もECサイトやSNSの影響力は増大を続け、購買プロセスの全段階において、生活者に影響を及ぼすだろう。